第56期王位戦七番勝負第4局 Feed

2015年8月18日 (火)

王位戦七番勝負では「Twitter」上でもプロ棋士による解説を配信しております。下記のリンク先からお楽しみください。1日目の解説担当は阿部隆八段です。

【日本将棋連盟モバイルTwitter】 https://twitter.com/shogi_mobile/

阿部隆八段

「おはようございます。本日の解説を務めさせていただきます。よろしくお願いいたします。戦型予想は個人的に広瀬八段の四間飛車穴熊がそろそろ見たいですね。天王山の第4局でその可能性は低くないと思います。そうなると羽生王位も居飛車穴熊で持久戦ということになりそうです」

おはようございます。第56期王位戦七番勝負第4局は1日目の朝を迎えました。本日のスケジュールは以下の通りです。

  • 9時 対局開始
  • 10時30分 午前のおやつ
  • 12時30分 昼食休憩
  • 13時30分 対局再開
  • 15時 午後のおやつ
  • 18時 封じ手(1日目終了)

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(JR博多駅。明日の現地大盤解説会は、この9階・JR九州ホールで行われる)

引き続きインターネット中継は棋譜・コメントを銀杏記者が、ブログは夏芽が担当します。どうぞよろしくお願いいたします。

2015年8月17日 (月)

最後は塚田九段、豊川七段、安食女流初段による「対局の見どころ」。

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塚田 「広瀬八段は3連敗でなかったので少し気が楽になったのではないと思います」

豊川 「すみません、今日は緊張してしまって。先生、明日の戦型はいかがですか」

塚田 「これまで相居飛車の戦いでしたが、広瀬八段の四間飛車穴熊ではないかと思います。しばらく封印していますが、出してくるのではないかと」

豊川 「僕は矢倉だと思います。横歩取り△8四飛型、角換わり、横歩取り△8五飛戦法と違う戦型が出てきました。ところで、ちょっと調べてきたのですが、羽生王位は王位戦で先手のときは62勝22敗なんです。後手のときは59勝34敗。ところがここで驚愕の事実。対局者がいないので言ってしまいますが、広瀬さんは先手のときに26勝9敗で、羽生さんよりも勝率が高いんです。でも、明日は後手番。で、後手番は14勝13敗。羽生さんの先手と広瀬さんの後手では勝率が2割も違うんです。だけども、羽生さんは広瀬さんや豊島さんら若手相手に連戦が続いて、暑い夏に大変ではないかと思います。広瀬さんは20代。前回の対局は終盤のうっちゃりでした。 第4局は大事な一戦。ここを勝った方がこのまま番勝負も制するのではないかと思います。安食さんの予想はいかがですか」

安食 「広瀬さんはスタイルを変えられていますが、私は振り飛車党なので、振り飛車穴熊を見てみたいなと思います」

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豊川 「私は家からランボルコギーニ、いや自転車で来たんですけど、福岡へ来るまでのお二人の印象はいかがでしたか」

塚田 「飛行機の席が別々だったので、特別どうこうはなかったのですが、トイレから帰ってきたときに羽生さんの席を見たら、本を読んでいたんですよ」

豊川 「まさか、コミックなわけはないですよね。チェスの本ですか」

塚田 「正解。たぶん英語の本だったと思います」

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安食 「飛行機に荷物を預けるときに、広瀬さんと一緒になって話をしたんですけど、マイペースで普段と変わらない様子でした。大勝負を前にしている感じではなかったです。リラックスした感じで」

塚田 「前回勝ったのは大きいと思います。あの勝ち方は大きい。1勝2敗でもいい配置。次に勝てば負け負け勝ち勝ちでいい流れですから」

豊川 「あさって、ここで14時から大盤解説会を担当します。すごい将棋になりそうです。羽生さんはチェスの本を読んでいるふりをして、詰将棋を解いていたかもしれませんよ」

(文章書き起こし:銀杏記者、写真:夏芽)


以上で本日の更新は終了いたします。明日は9時から対局開始です。明日も王位戦中継サイトをよろしくお願いします。

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◆羽生善治王位の挨拶◆

「王位戦は全国各地を転戦するので、必ず九州も来ています。非常に将棋が盛んだと感じています。 2日制、8時間の対局で1手の重みや大切さをかみしめて対局に臨んでいます。対局の2日目に大盤解説会が行われます。夏休みの時期でもありますし、小さいお子さんから年配の方まで楽しめるのが魅力です。ファンの皆さまに楽しんでいただけるように気迫のこもった将棋を指したいと思います」

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◆広瀬章人八段の挨拶◆

「福岡は私も将棋が盛んなイメージがあります。福岡出身の棋士や在住の棋士が多く、普及熱心な指導員の方が多いことが要因かと思います。私は2年前の王位戦対局では、副立会人としてきました。そのときに小学生と3面指しをしたのですが、とても将棋が強く、礼儀正しかったんです。普及の指導が行き届いていると強く感じました。そのときは副立会人でしたが、対局者として来ることができました。2年前に関係者やファンの方に「挑戦者として来てください」と言われて、「はい、頑張ります」と答えましたが、現在の棋界は各世代で強い方ばかりなので、実際のところ挑戦者として来られるかどうか分からないと思っていました。ですので、こうしてこの場に立っていられることを光栄に思っています。七番勝負も第4局とあって、中盤戦、そして終盤戦に差し掛かってきました。これからは1局の勝敗の重みがより増してきます。自分の力を出し切って、力いっぱい戦いたいと思います。七番勝負のゆくえは分かりませんが、全国のファンの方に納得していただけるような将棋を指したいと思います」

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(博多織工業組合理事長・寺嶋貞夫様からの記念品贈呈)

二人への記念品として、770年以上の歴史を持つ日本でも代表的な伝統工芸品である博多織で制作したネクタイが贈呈されました。1600年に黒田長政が筑前を領有するようになってから、幕府への献上品として毎年3月に博多織が献上されるようになりました。贈呈されたネクタイは博多織で制作し、献上柄が入っています。献上柄は真言宗の独鈷と華皿をあしらった模様が入っているのが特徴です。

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(花束贈呈。ここで両対局者は前夜祭をあとにした)

(挨拶文書き起こし:銀杏記者、写真:夏芽)

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(左から藤田彰一三段、塚田泰明九段、羽生善治王位)

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(同じく左から広瀬章人八段、豊川孝弘七段、安食総子女流初段、島朗九段)

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◆日本将棋連盟常務理事・島朗九段の挨拶◆

「福岡は社交辞令でなく、いろんな意味でファンの方の熱さ、実業界での皆さまの応援、指導者の皆さま、子供たちの良さはそれぞれ突出しているのではないかと思います。2-1で佳境を迎えた一局です。世代間の戦いですが、清潔感のあるお二人の対局を見ていただけるのが対局者の励みになると思いますが、塚田さんや豊川さんが盛り上げ、安食さんのスマイルで解説会も楽しくなると思います。羽生さんと広瀬さんの戦いは最初に辛抱して、最後は美しい九州を疾走する「七つ星」のような素晴らしい終盤戦を毎局見せてくれます。ファンの皆さまには魅了されてほしいと思います」

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(日本将棋連盟福岡県支部連合会会長・原田義昭様による乾杯の音頭)

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(挨拶文書き起こし:銀杏記者、写真:夏芽)