(藤井聡太王位は開幕3連勝。防衛まであと1勝)
――対局1日目の感想。
藤井 似たような形は経験があったんですけど、本譜の展開そのものは経験がなくて。△8六歩と突き捨ててから角を引いて、▲4六銀(41手目)に当初は△6五歩と仕掛けるつもりでしたが、あらためて考えてみると、あまり自信が持てない気がして。本譜△3四歩と受けるようでは8筋の突き捨てをとがめられそうな形で、ちょっと自信のない展開になってしまったかなと思いました。
――△5五歩(52手目)を突いたあたりは。
藤井 ▲6六銀(51手目)には△6四歩とかが自然ですけど、受け止められて歩が足りないかなと思ったので。△5五歩も攻めとしては軽いので、少し苦しめかなと思ったんですけど、勝負手のようなイメージでやっていました。
――▲5五銀△4五銀(63-64手目)のあたりの駆け引きについて。
藤井 ▲5五銀に第一感は△同銀▲同角でしたが、陣形をまとめるのが難しい気もしたので。△4五銀も働きがあまりよくないですけど、△3二玉と整えて、どこかで反撃のタイミングをうかがえればと思っていました。
――△5七歩成(76手目)のあたりは。
藤井 こちらの3二玉の形は2三からの逃げ道があって、攻め合いのときに生かせそうな展開になったので、そのあたりは楽しみが出てきているのかなと思いました。△2七銀打(82手目)で攻め合いになって、少しいけていそうな感じはしました。
――本局全体について。
藤井 序中盤の手の組み合わせが非常に難しくて、考えていても分からないことが多かったので、これからしっかりと振り返りたいと思います。
――次局に向けて。
藤井 第4局は少しだけ間が空くので、しっかりとよい状態で迎えられるように取り組みたいと思います。
(挑戦者の永瀬拓矢九段は追い込まれた)
――対局1日目の感想。
永瀬 互いに構想力が問われる将棋なのかなと思いました。
――2日目午前の攻防について。
永瀬 ▲5五銀(63手目)の組み立てではあったので、昼休前に指してしまいましたけど、△4五銀と出られてみると読みが前に進まなかったので、局面としておかしかったのかもしれないなと思います。
――▲5三歩(71手目)のあたりの手ごたえは。
永瀬 どうやれば難しいのか発見できなかったので。8八銀の壁銀が残っていて、だいぶ厳しいのかなと思いました。
――△5七歩成(76手目)のあたりは。
永瀬 全然ダメなのかと思ったんですけど。楽しみがない展開になってしまったのかなと思います。
――本局全体について。
永瀬 矢倉対雁木で、先手が主張できるか難しいかなと思ったんですけど、中盤の組み立てがよくなかった気がするので、そこらへんは改善点が多いのかなと思います。
――次局に向けて。
永瀬 しっかり準備をしたいと思います。