対局翌日の29日朝、藤井聡太王位の防衛一夜明け会見が行われました。
――熱戦から一夜明けての心境は。
「今期の王位戦は苦しい将棋が多いシリーズだった。その中で結果を出すことができて、永世称号が得られたのはうれしく思う」
――これから追い求めるもの、理想の将棋は。
「経験の少ない展開でも、局面の急所を見抜いて考えていけるような力をつけていきたい。そのうえで新しい局面や面白い局面を切り拓いていけたら」
――今期七番勝負の盤外で印象に残ったことは。
「函館と唐津にはじめて訪れ、食事や街の雰囲気を楽しめた。シリーズを通して、前夜祭では地元の方々に温かい歓迎をいただいて、励みになった」
――昨日の勝ち方を振り返って。
「終盤の入口で誤算があったが、踏みとどまって軌道修正して勝ちに近づけた。ミスをできるだけ減らしていくのが理想だが、実際はミスや誤算が生じる。それをリカバリーできたのはよかった」
――王座戦と竜王戦は、主に関西での対局が続く。関西に対する思いは。
「奨励会に入った頃から、関西将棋会館に通っていた。馴染みある地域で、タイトル戦を戦う機会を多くいただいたのはありがたい。よりよい内容の将棋を指せるように、しっかり取り組んでいきたい」
――2つ目の永世称号を得て、羽生善治九段の存在は。
「永世称号の話が出るたびに、羽生九段の偉大さを改めて実感する。対局の内容や立ち居振る舞いを含めて、少しでも近づけていきたい」
――王座戦を迎えるにあたって、永瀬拓矢九段とどのように戦うか。
「永瀬九段には普段から練習将棋を指してもらっていて、強さを感じている。序盤で遅れを取らないようにするのが必要。チェスクロックの対局では、残り時間が少なくなったところミスが出る。時間配分も意識したい」
本局のブログ更新は以上です。伊藤園お~いお茶杯第65期王位戦七番勝負は藤井聡太王位の5連覇、永世王位の資格獲得で幕を閉じました。
第66期は既に開幕し、現在予選が行われております。そちらも新聞三社連合加盟各紙の観戦記などでお楽しみください。
(書き起こし=武蔵)