両者の熟考合戦を越えて、少しずつ着手のペースが早くなってきました。渡辺明九段が下段飛車に構えたところで、控室の高見七段から「これなら後手を持ってみたい」との声が。
(高見七段は持参のスマートフォンの継ぎ盤機能を使い、記者に分かりやすく解説してくださった。後手が5二金型にしたことがポイントだという)
「28手目△5二金が5三地点を厚くして、▲4五歩以下の攻めを防いでいました。そして31手目▲6六歩と指させて、先手に仕掛けを諦めさせた。後に△6三銀~△6二玉と組めれば8一飛が後手陣によく利いて、後手としてはまずまずの展開です。先手がよくないということではありませんが、後手番が苦労をすることの多い現代将棋の中で、僕ならこの局面で後手を持ってみたくなります」