■佐々木大地七段
――1日目を振り返って。
佐々木 6八玉型の相掛かりもやってみようと思って。先に横歩を取られてこちらの主張をどこかでつくらないといけない展開になって、危険な筋もあったので、リスクを負った序盤になったかなと思いました。ちょっと想定と違う形になって、▲7七金(29手目)から▲8六金(31手目)はその場で考えてという感じですけど、あまり成算はなかったです。
――▲4五角(49手目)は一つの転換点になった。
佐々木 後手の駒が前に出てきたので、飛車を取れる展開になればこちらも狙いができるかなと思って。ほかに有力な手もわからなかったので、あまり見ない筋なんですけど、それに懸けるしかないかなと思いました。
――飛車角交換を実現したあたりの形勢判断は。
佐々木 △5四角(50手目)と打たれて後手玉が広くなったので、できれば5筋をキズにしたかったので、飛車角交換の図は難しいと思ったんですけど、方針を決めていなかったので踏み込むタイミングが難しかったです。飛車は持ったものの駒損なので、ちょっと自信ないかなと思っていました。
――▲2四歩(77手目)のあたりは。
佐々木 ちょっと自信ない局面に思っていたので、(応手が)3択あるので実戦的に迫ろうかなと思いました。
――▲5三角(85手目)は読み筋だったか。
佐々木 ▲3二銀成のルートをメインに読んでいたので、最初からそれを込みで▲4一銀(81手目)と打っていなかったので、たまたま見つけたという感じですね。
――2日制で初勝利となった。一局を振り返って。
佐々木 先手番で一つやってみたい形ではあったんですけど、なかなかポイントがわからずに終始難しいと思っていました。
――次局に向けて。
佐々木 次も近いので、変わらず開き直って淡々と指したいと思います。
■藤井聡太王位
――1日目を振り返って。
藤井 水面下で激しい変化が多くて、どう判断すればよいかわからないところが多かった気がしています。
――△7六飛(20手目)は長考になった。
藤井 △7六飛のあと△8六歩もあるかと思いましたし、あるいは横歩を取らずに△7三桂と跳ねて飛車を引くとか、手の組み合わせが多くて、何がよいかわからなかったというところでした。
――封じ手を振り返って。
藤井 飛車を切る手も考えたんですけど、かなり駒損の形で成算が持てないかなと思ったんですけど、本譜は△5五飛(32手目)の配置が悪くて、ちょっとずつ苦しくなってしまう展開にしてしまったかなと思います。
――2日目、▲4五角(49手目)のあたりは。
藤井 2日目は午前中からこちらの態勢が悪くて、苦しいかなと思っていたんですけど、▲4五角は見落としていて、打たれてみると飛車を取られてしまう形で、厳しかったかなと思います。△5四角(50手目)も玉のコビンが開いてしまうのでありえない手かなと思ったんですけど、何をやっても苦しい局面にはなってしまっているかなと思いました。
――その後の形勢判断はどうだったか。
藤井 苦しいとは思ったんですけど、一応は攻め合いの形になったので、アヤをつけられればと思っていました。▲6一飛(79手目)から▲4一銀(81手目)という組み立てが気がついていなかったので、急所をつかめていなかったのかなという気がします。▲4一銀のときに△2二金とか頑張るべきだったのかなと思うんですけど、本譜はすぐに終わってしまったので、その点は少し残念に思っています。
――一局を振り返って。
藤井 1日目から長考を重ねる感じになったんですけど、2日目、△5五飛と回ってから配置の悪さに苦労する展開になってしまったので、そのあたりの組み立てに問題があったかなという気がします。
――次局に向けて。
藤井 本局は課題が多い内容だったので、立て直せるように頑張りたいと思います。