2022年8月

2022年8月25日 (木)

感想戦
(感想戦)

豊島九段

藤井王位

豊島九段

藤井王位

以上で、お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第4局の中継を終了いたします。次戦、第5局は9月5、6日(月、火)に静岡県牧之原市「平田寺」で行われますので、お楽しみに。本日はご観戦ありがとうございました。

終局後
(インタビューのあと、両対局者は大盤解説会場に向かった)

大盤解説会場

藤井王位

「本日は大盤解説会に多くの方にお越しいただきまして、ありがとうございます。本局は構想の立て方や形勢判断がとても難しい将棋で、長考しても分からないところが多かったと思います。また一週間少し辺りで第5局があるので、そちらもしっかり、いい状態で臨めるようにやっていきたいと思います」(藤井)

豊島九段

「多くの方にお越しいただきまして、ありがとうございました。何回か悪手があって競り合いの将棋にできなかったのは残念ですが、多くの方にご心配をおかけしましたけれども、今日の対局は体調的に問題なく指せたので、また次局以降も頑張っていきたいと思っています」(豊島)

一礼
(多くのファンの拍手の中、両対局者は会場をあとにした)

終局直後
(終局直後の様子)

藤井聡太王位

■勝った藤井聡太王位のコメント

── 角換わり腰掛け銀で、▲4五銀(43手目)から銀交換になりました。
藤井 ▲4五銀から銀交換になって、こちらが手得をした形にはなったのですが、それを生かせるかどうかは難しいと思っていました。

── そのあと▲4七玉(51手目)~▲5五歩と、中央を手厚くする構想でした。
藤井 先手なので主張を作りにいかなくてはいけないと思って▲5五歩と突いたのですが、ただ、△6三角と打たれてみると4七の玉が不安定なので、ちょっと失敗したのかなと思っていました。

── 封じ手の△8六銀(56手目)については。
藤井 予想していた手ではなかったのですが、ただ、打たれてみて、こちらがどう指すのか難しいと思っていました。

── ▲5六角(59手目)の手応えは。
藤井 手が広いところで、▲5六角もいい位置なのかどうか分からなかったです。

── そのあと8筋から殺到される形になりました。
藤井 △8八飛成(66手目)に▲5八金寄では、あまり自信が持てる展開ではないのかなと思っていました。

── ▲2二銀(79手目)から挟み撃ちにする構想は。
藤井 銀打ちで後手玉にもプレッシャーをかける形になったので、その辺り、流れとしては悪くないのかなと思って指していました。

── 終盤▲3三銀成(89手目)~▲4一銀が鋭かったのですが。
藤井 本譜の形が詰まなければ、という風には考えていました。

── 一局を振り返って。
藤井 序盤から見慣れない形で、局面の判断であったり、構想を立てたりが難しかったと思います。

── 次戦に向けて。
藤井 第5局は10日後ぐらいということで、それまでにしっかり準備をして、またいい状態で臨めればと思います。

豊島将之九段

■敗れた豊島将之九段のコメント

── 角換わり腰掛け銀の序盤戦、▲4五銀(43手目)から銀交換になりました。序盤の駒組みはいかがでしたか。
豊島 ちょっと手が遅れているのでそんなに自信はなかったですが、仕方のない展開とは思っていました。

── 先手が▲5五歩(53手目)から盛り上がる構想はいかがでしたか。
豊島 △6三角(54手目)があまりよくなかったかもしれません。もうちょっと待つしかなかったかもしれません。指す手は難しいですが、△7二金と指さないといけなかったかなと思います。それでも5筋の位を取られているので、最終的には打開されてまずくなっているかもしれないけど、本譜はよくなかった気がします。

── △8六銀(封じ手・56手目)は強手で驚きましたが、大変と思った中での選択でしたか。
豊島 △6三角だけ打ってじっとしているのもどんどん先手の形がよくなっていきますし、どうやってもよくならないかなと。△8六銀はまずいかもしれないですが、一番可能性がある手と思って選びました。

── △8七歩成(60手目)に▲6八銀と先手が対応したあたりはいかがでしたか。
豊島 先手の対応はいろいろあると思いました。そのあと、△3五歩(68手目)と手拍子で指してしまったのがよくなかったです。▲5八金寄(67手目)のところでもっと考えないといけなかったです。銀桂損なので悪いかもしれないです。△3五歩に代わる手も難しいですが、そのあと▲3四歩(71手目)と突かれてから長考になったのは、時間の使い方がよくなかったですね。

── そうすると、△9九竜(72手目)のあたりは苦しいでしょうか。
豊島 △9九竜は竜の利きがなくなるのでまずいですが、△2二銀と引いてもよくならないですし、やっぱり△3五歩(68手目)がよくなかったですね。

── 本局全体を振り返っていただけますか。
豊島 封じ手直前の構想がよくなかったのと、▲5八金寄(67手目)の局面で考えないといけなかったですね。

── 次局、静岡県牧之原市での対局に向けてひとことお願いします。
豊島 また切り替えてがんばりたいと思います。


(書き起こし:翔/写真:夏芽)

お~いお茶杯第63期王位戦七番勝負第4局▲藤井聡太王位-△豊島将之九段は95手で藤井王位が勝ちました。

終局時刻は17時48分。消費時間は、▲藤井聡7時間15分、△豊島7時間39分(持ち時間各8時間)。

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これで七番勝負の成績は藤井王位3勝、豊島九段1勝となりました。

第5局は9月5日(月)・6日(火)に静岡県牧之原市「平田寺」で行われます。

▲4一銀

△3七歩の局面で長考していた藤井王位は、▲3三銀成△同桂に▲4一銀という鋭い捨て駒を放ちました。(1)△同玉は▲4三銀で後手の受けが難しく、(2)△6二玉は▲7三銀、(3)△6一玉は▲7三桂で、それぞれ先手の寄せが決まりそうです。

木村九段
(木村九段は藤井王位の▲4一銀に「さすがですね」とつぶやく)

△3七歩

局面は88手目△3七歩まで進み、豊島九段が懸命に手をつないでいます。▲3七同玉は△5八角成で逆転模様。しかし、控室では▲3九歩と受けに回れば後手の攻めが細いと見られています。

この局面で藤井王位は30分を超える長考。両者とも残り時間は1時間を切りました。

豊島九段