(豊島九段は初日から3時間弱の大長考に沈むも、実らなかった)
【藤井王位のインタビュー】
――序盤から振り返ってください。
藤井 角換わりは予定でした。どういう形になるかはわかっていないですが、本譜のような形なら仕掛けていこうかと思いました。
――53手目▲1五香は2分での着手でした。ある程度、想定内でしたか。
藤井 この形は本譜の攻め筋をやってみようかと思っていました。
――ここで挑戦者が△1五同香に3時間弱を使いました。56手目△1八香成にも飛車取りを手抜いて攻めていきます。手ごたえは?
藤井 封じ手の前後を考えて▲2三歩成(63手目)から▲7四歩(65手目)をやってみようかなと思ったんですけど、その時点では本譜の▲6二金(73手目)に△4一玉という逃げ方は見えていなかったので、進んでみるとうまくいっているかわからないなと思って指していました。
――封じ手の59手目▲3四桂は2時間弱の長考でした。
藤井 本譜がやっていけるかどうか、あるいは一旦▲2七飛と逃げたほうがいいのか、比較が難しいと思っていました。
――本譜の順は手ごたえがあったから選ばれたのでしょうか。
藤井 終盤なので、わからない変化が多かったです。
――73手目△4一玉のあたり、終盤はどうですか。
藤井 本譜は後手玉を逃してしまうので、わからなかったです。△7六歩(82手目)からの攻めをうまく対応できるかなのかなと思っていました。
――そこから後手の反撃が続きますが、どうでしたか。
藤井 手が広くてどういう対応がいいのか、わからなかったです。▲2五桂(95手目)に△8九銀と打たれたときにしのげるかどうか、かなり際どいと思っていました。▲2三歩(97手目)のあたりで詰めろが続く形になったかなと思います。
――改めて本局を振り返ってください。
藤井 ▲1五香から▲7四歩で踏み込んでいったんですけど、そのあとは終盤がかなり考えないといけない変化が多くて、長考した場面も多かったんですけど、なかなか判断しきれないところが多かったなと思います。
――来週にある第3局の抱負をお願いします。
第3局にかけて対局が続く形になるので、しっかりよいコンディションで臨めるようにしたいと思います。
【豊島九段のインタビュー】
――▲3五歩(45手目)に△同歩と応じて、藤井王位が▲1五歩と新しく工夫して戦いが始まりました。あのあたりはいかがでしたか。
豊島 こちらが注文をつけて先に長考しているのでは、準備不足というのでよくなかったかなと思います。
――いまおっしゃったように、53手目▲1五香に△同香が大長考でした。
豊島 2九飛がいい位置なので香車を成らないとしょうがないかと思ったんですけど。そのあとにいろいろ嫌な攻め筋があるので、まずそうな感じがしたんですけどね。仕方ないかなと。
――飛車取りを手抜いて攻められるのは?
豊島 それでまずい可能性はあると思っていました。
――56手目△1八香成では△7二香など、控室ではほかの選択肢もあるのかなと検討していました。
豊島 それだと後に飛車を2四に逃げられる変化とか出てくるので。確かにこちらは右側の形(7筋)はいいですけど……。考えたんですけど、あんまり自信はなかったです。
――封じ手は▲3四桂でした。1日目を終えたあたり、形勢判断はどうでしたか。
豊島 自信がないといいますか、まずい順があったらしょうがないかなと。
――△5一銀の犠打など、かなり辛抱された印象です。
豊島 ほかの手はだめかなと思ったので、仕方ないかなと。
――82手目△7六歩と攻めたあたりは?
豊島 そのあとは難しそうな気もしたんですけど、本譜で見切られているのかもしれません。▲2五桂(95手目)は詰めろじゃないので、攻めていけそうな感じはしたんですけど、そのあとに(水面下で)▲8五桂と跳ねる変化があって玉が広いので。△6九飛(94手目)と打ったあたりはそこまでわかっていなかったです。最初は▲2五桂が詰めろじゃないならと思っていたんですけどね。もうちょっとうまい攻め方があったかもしれないですけど。
――本局を振り返って、いかがでしょうか。
豊島 基本的にはまずくて、悪かったような気がします。最後にチャンスがあったかどうかです。調べてみないとわからないですけど、基本的には苦しかったかなと。
――第3局の抱負をお願いします
豊島 すぐに次があるので、コンディションを整えて頑張りたいと思います。