感想戦終了後、豊島九段の囲み取材が行われました。
── 藤井聡太王位への挑戦権を獲得した感想は。
豊島 (今日の将棋は)調べてみないと分からないところもありますが、途中で結構まずい手を指してしまった感触はあったので、最後まで集中して指すことができたのはよかったと思います。
── 昨年の失冠後、半年でタイトル戦の舞台に戻ってこられました。
豊島 無冠になって、タイトル戦に出られるかどうか分からない状況だったので、うれしく思います。
── 半年で戻ってこられたことについては。
豊島 失冠したあと、12月あたりは成績も内容も悪かったので、もう少しかかるのかなとは思っていました。
── 藤井王位へのリベンジマッチになります。
豊島 王位戦は前回1勝4敗でしたし、竜王戦は0勝4敗なので。竜王戦が終わったあとも、そこまで内容が改善できている感じはないので、1ヵ月弱でしっかり頑張って内容をよくしていきたいと思っています。
── 昨年の藤井王位との「十九番勝負」はどのような糧になったと感じていますか。
豊島 実力不足を痛感しましたし、自分の将棋を変えようと思うきっかけにもなりました。
── いま現在の藤井王位については。
豊島 非常に充実されていて、竜王戦のあとも内容のよい将棋で、結果を出されている印象です。
── 一年前のご自身と比べて、ここが変わったと思う部分はありますか。
豊島 いろいろ駄目なところに気づいて改善している途中という感じです。一年前は結構気づいていない点もたくさんあったので、そこは違うのかな思います。
── 王位戦のイメージは。
豊島 2日制の七番勝負ですし、夏場の対局が続くので、体調に気をつけながら指していけたらと思います。
── ファンの方々にどのような将棋を見せたいですか。
豊島 やっぱり接戦で最後までどちらが勝つか分からないような戦いをしていけたらと思います。
── 第1局の愛知県犬山市は、ご出身の一宮市と近いところですが。
豊島 (犬山市は)結構昔ですけど、年末年始に家族でご飯を食べに行ったりとかはありました。
── 王位戦は全国と転戦するシリーズですが。
豊島 いろんな場所で対局できるので、それは楽しみです。
── 先ほどおっしゃっていた自分で「変えよう」と思っていたところとは。
豊島 はっきりと言語化するのは難しいのですが、20代の後半のときと比べて、うまく指せたと思う将棋の感じは変わらないのですが、さえない将棋、ひどい将棋が増えている印象があって。いろいろとつまずくポイントがあるので、それと1個1個潰していっている感じですね。
── 年齢的な変化ということですか。
豊島 藤井王位とのタイトル戦が終わった後も結構負けが続いたので。自分では年齢どうこうは思っていなかったのですが、そういうところもあるのかなと。
── AIを使った研究についての変化などは。
豊島 微妙な変化はありますが、そこまで大きく変わった感じはないです。ソフトは新しいものも出ていますが、以前と比べると、大会後にすごいソフトがたくさん出てくる、という感じではなくなっているので。フリーソフトで出してくださる方もいらっしゃるのですが、以前と比べると……いう感じはありますね。
── 2018年に(第59期)王位を奪取されたころと比べて成長したと感じる部分はありますか。
豊島 経験を積んだことで、知らない局面になっても割と形勢判断とかどういう風に指し進めていくかとか、判断できる局面は増えた感じがしています。