2020年6月23日 (火)

驚きの組み立て

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控室では△5四桂(74手目)に対するうまい対応を探していました。平凡に飛車を追うなら▲7六歩ですが、△8五飛▲8六歩△4六桂▲8五歩△7七歩(参考図)で7筋の空間に歩を打たれます。

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参考図で▲7七同金は、△7九角▲5九玉△3八桂成▲同金△3五角成と銀を抜いて技が決まります。

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本譜は▲6七桂(75手目)が妙手。以下△4六桂▲7五桂と取り合いになれば、△7七歩が生じない仕組みです。永瀬二冠は△4五飛と逃げましたが、藤井七段は▲3七桂△4六飛▲同歩△6六桂▲2九飛(81手目)と桂を跳ねて催促し、飛車を下段に引く余地を作りました。

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不安定な先手玉ですが、飛車が受けに働いてなかなか耐久力があります。藤井七段はこの複雑な組み立てを時間切迫の中で読んでいました。