石田和雄九段に王位戦の思い出を伺いました。
「私が王位戦で一番活躍したのは第22期です。王位は中原先生。私は挑決リーグ白組にいまして、4回戦で3連勝同士で対戦したんです。これに勝てば優勝するかもしれないと思うと、自然と気合いが入りました。ところが負けちゃうんですよね。大山先生ははじめは好きなようにやらせてくれるんですけど、のらりくらりとかわされちゃったんだよなあ。結局、大山先生が優勝して挑戦するんだけど、いまでも心残りですね。それで私が挑戦していれば、地元の中日新聞に載せてもらえたんだから。
私は愛知出身なんで、家では中日新聞をとっていたんです。王位戦が始まったのは奨励会に入る前(1960年、石田和九段が奨励会に入会したのは1962年)。第1期は大山康晴-塚田正夫戦で、わくわくしながら見ていたなあ。第3期の大山康晴-花村元司戦は、棋譜を控室に伝えるお手伝いをさせていただきました。昔はコピー機とかビデオカメラがなかったからね。第7期の大山康晴-有吉道夫戦では記録係。両方とも八事の八勝館でやったのを覚えています」