2014年8月
北海道の味
決断の▲6五歩で未知の局面へ
17時過ぎ、羽生王位は40分の考慮で▲6五歩と突きました。この手はTwitter解説で山崎八段が予想していた手です。前例は▲2五歩だったので、これで未知の局面に入りました。
「▲6五歩は決断の一手です。代えて▲6三角や▲2五歩△同銀▲4六角のような手なら、少なくともすぐには悪くならない。対して▲6五歩というのは、相手も△7三桂で桂が働いてくる、▲6四歩と取り込むと6筋に歩も立つようになる、と非常にリスクも高い手なんです。つまりすごく強い手なわけです。この手を指したということは、良くしてやろうという意思を表明したようなもので、もうこれは相当な局面を迎えたと言えますね。この手を指されたら、木村八段もすぐには指せないでしょう。このまま封じ手を迎える可能性が高いと思います」(先崎九段)
(八雲)
札幌の将棋道場
先手の攻め、後手の受け
図は16時30分頃の局面。
木村八段が長考で△2四銀と上がったのに対して、羽生王位は▲4五歩から開戦。展開は先手の攻め、後手の受けではっきりしているようです。
後手の指した△2四銀は、ディフェンスラインを上げたような意味で「積極的に受けにいった意味があります」と先崎九段。「ただ、私は△2四銀という手は好みではないですね。銀がそっぽにいって、手持ちの銀を4四に打っているわけですから。とはいえ、角換わりの後手番というのは、どちらにしろ苦労するもので、どういう局面にして苦労するかは好みの問題です」と、現局面の見解を語ってくれました。
進んで、後手の放った△5九角は、先手陣の6八金型の弱点を突いた筋で、▲3八飛と寄らせたことで先手の攻めを緩和する狙いがあります。「後手は入玉含みで指す方針ですね。ただ、先手もそれほど忙しいわけではないので、攻め筋は広いです。後手の飛車を目標にする方針も有力ですね」(野月七段)
(八雲)