2013年7月29日 (月)

意表の銀

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15時30分、行方八段が再び長考に入っている。羽生王位が▲1六歩(図)と突いたところで、実戦例が多い指し手は△9四歩だ。

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△1四歩(A図)も位を保つ意味では自然な手だが、後手だけが先に端に争点を作ることになる。それを利用しようと▲6八角と指したのが電王戦第5局▲三浦弘行八段-△GPS将棋戦だった。
15時35分、行方八段の手が盤上に伸びた。指し手は△9四歩でも△1四歩でもない△8四銀。珍しい手だ。この手が波乱を呼ぶことになるのだろうか。Twitter解説の澤田五段はこの手も予想していた。次のように解説している。
「▲1六歩には比較的少ないですが△8四銀(△9四歩を入れる手もある)もあります。以下▲6四角△同歩(1)▲4一角△7三銀▲6三角成△4二金寄(B図)。(2)▲6三角△7三銀▲4六銀(C図)が一例です」

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先手が▲4一角~▲6三角成で馬を作る順。後手は馬の捕獲に動き出す。B図以下▲5五歩△5三金寄▲同馬△同金▲5四歩△同金▲3五歩が一例で、先手は駒損になるが攻勢をとることができる。

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こちらは角を6三に置き、銀で力をためて▲5五歩~▲3五歩と攻めを狙う順だ。

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(文)