再開してすぐ、羽生王位は▲1六角(図)を着手した。▲4三角成と▲3八角の両狙いで、後手は垂れ歩を払われてしまってはたまらない。そこで△3九歩成▲4三角成(下図)と進んだ。
見てわかる通り、この角打ちは後手にすんなり歩を成らせるだけに大胆な手ともいえる。先手はその代償に馬を作り、後手の飛車に圧力をかけている。控室で真っ先に話題に上がったのは、ここから△2九と▲同飛△3八角▲3九飛△2七角成▲3五歩△2八馬▲4九飛△2七馬▲3九飛(参考図)……の変化。
14時15分頃、控室では検討が進み、左図から△5三金が有力と見られている。馬をどこに逃げても、△3二飛からさばくつもりだ。
後手が馬で飛車を追うと、千日手になる可能性もある。このことについて、杉本七段からTwitter解説の増田六段に「千日手になる変化はありませんかね?」と質問が出ると、増田六段は「千日手になる変化はありますが、羽生さんは打開すると思います」と答えた。
(石川陽生七段=右が控室に現れた。杉本七段と検討中)
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