図は11時15分頃の局面。深浦王位が▲9九香と端に勢力を足した手に対し、広瀬六段が玉をかわした局面。ここから▲9三香成△同歩▲3四桂までパタパタと進んだ。勝浦九段は「早いなあ。15時には終わっちゃうんじゃないの? もっと考えてよ」と、カメラの向こうの対局者に語りかける。「でも、最近の将棋は激しくなってからが長いですから」と返すのは島九段。
▲3四桂は飛角の両取りで、局面は一気に激しさを増してきた。「これはもう終盤戦だねえ」と勝浦九段。島九段が「飛車寄りますよね」と△3二飛を示す。以下▲4二桂成△3五飛▲4三成桂△5七香が進行の一例。確かにそう進めば、すでに局面は「相手玉にどれだけ早く迫れるか」というスピード争いになっている。ここまでの消費時間は▲深浦4時間28分、△広瀬5時間9分。
(島九段(左)と鈴木宏彦さん(右)。鈴木さんは本局の観戦記を担当する)
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