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2017年1月

2017年1月21日 (土)

前夜祭(3)

【対局者挨拶】

Img_0792里見香奈女流名人。
「皆様こんばんは。里見香奈です。今日はお忙しいなか、こんなにたくさんの方々にお越しいただきまして、ありがとうございます。また、この女流名人戦を開催するにあたって、主催いただいている報知新聞社様、特別協賛をいただいているユニバーサルエンターテイメント様、出雲市様をはじめ、地元の皆様には本当に感謝しています。ありがとうございます。
出雲市で対局できることは、私にとっていちばんうれしい対局であります。こうして地元の方とお話できることが、リラックスできますし、励みにもなります。ありがとうございます。
将棋のほうはいいときも悪いときもありますが、こうして変わらずいつも温かく見守ってくださる方々がいると思うと、いつでも前向きになれます。
明日は自分の力をすべて出しきれるように、盤上に一生懸命集中して、気持ちを切らさずに対局をしたいと思います。
普段はなかなか恩返しすることができませんが、いまはひとつひとつ、自分の出来ることをやっていければと思います。本日はどうもありがとうございました」

Img_0824挑戦者・上田初美女流三段。 
「皆様、改めましてこんばんは。挑戦者の上田初美です。まずはじめに長年、女流名人戦を主催していただいている報知新聞社様、そして出雲市様、特別協賛をいただいているユニバーサルエンターテイメント様に厚く御礼申し上げます。
この出雲での女流名人戦は7年目ということで、恒例になってきているなと感じています。日程を見たときに、第2局が出雲ということで「アウェーだね」と言われることがよくあります(笑)。ただ先ほどいろいろな方のご挨拶でも触れていただきましたが、4年前に来ていまして、実はその1年前と2年前にも聞き手として来ておりまして、そのときも「頑張って」と、温かくお迎えいただいたことをよく覚えています。出雲は心の広い方が多いということで、それは身を持って実感しておりますので、明日は思いっきりぶつかっていければと思っております。
女流名人戦は今期で43期目ということで、長年にわたって主催していただけているというのは本当にありがたいことでして、数少なかった女流棋士もいまは60人前後となりました。そのトップにいるのが里見さんでして、三段リーグも戦われていてあと一歩で男性棋士と同じ土俵に入れるという、歴史に挑戦している方でもあります。それが、女流棋士全体を応援していただける方と、個人を支えてくれる方と、どちらもいないと難しいものではないかと思いますが、今回、報知新聞社様と、出雲市様の2つが力となって、里見さんがこうしていま戦われているのではないかと思います。里見さんから先ほど全力でぶつかっていきたいというお言葉をいただきましたので、私も負けずに真正面からぶつかっていきたいと思います。また明日、いい将棋が指せるように頑張ります」

【花束・記念品贈呈】

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Img_0882返礼に両対局者の記念色紙が贈られた。

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(書き起こし=潤、写真=八雲)

前夜祭(2)

Img_0754乾杯の様子。前夜祭には130人が参集した。

【演奏披露】

Img_0760出雲楽友会・今岡美穂(ピアノ)、妹尾寛子(サクソフォン)、福代亜弥(パーカッション)。

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(八雲)

前夜祭(1)

【主催者挨拶】

Img_0686佐野俊郎・株式会社報知新聞社執行役員ビジネス局長
「皆様こんばんは。本日は大変お忙しいなか、第43期岡田美術館杯女流名人戦の第2局前夜祭にお越しいただきましてありがとうございます。私は本日、東京から空路で参りましたが、昨日の夕刻の2便が欠航になっておりまして、今日、ひょっとしたら来れていなかった可能性もありまして、この場にいれたことにホッとしております。
本棋戦は1974年に女流棋戦を盛り上げようというところから始まりまして、第42棋から冠名をユニバーサル杯から岡田美術館杯と変更して、2年目を迎えております。これもひとえに将棋ファンの皆様や、関係者の皆様のご支援の賜物と、深く御礼申し上げます。
今期は里見香奈女流名人の8連覇が懸かっております。挑戦者の上田初美女流三段は、激戦のリーグ戦を勝ち上がってこられました。お二人の対決は4年ぶり。そのときはフルセットの激戦で、今期もそういった戦いが見られるのではないかと期待しているところであります。
箱根町で行われた第1局では、熱い戦い、熱い攻防が見られ、上田女流三段が鬼手▲5一角を炸裂させて先勝されました。そしてこの第2局は、里見女流名人の地元、出雲市で行われます。ここでイナズマを発揮されて、タイに持ち込むか、はたまた上田女流三段が連勝されて、女流名人のタイトルに迫るか、いまからワクワクしているところで、その期待に応えていただける戦いになることを確信している次第です。最後になりましたが、本棋戦に携わっていただいている日本将棋連盟様、特別協賛のユニバーサルエンターテイメント様、岡田美術館様、ならびに関係各位の方々に、この場をお借りして厚く御礼申し上げます」

Img_0700東和男・公益社団法人日本将棋連盟常務理事
「皆様こんばんは。まずはじめに、世の中をお騒がせし、ご心配をおかけしていることを深くお詫び申し上げます。いろいろご意見があろうかと思いますが、これからも将棋界をご支援いただけますよう、お願い申し上げます。
この出雲市での開催も恒例になっておりまして、長岡・出雲市長様、出雲市の関係者の皆様におかれましては、盛大に歓迎をいただきましてありがとうございます。
昨年度は清水市代女流六段が挑戦者になられてこの出雲にこられましたが、そのときに私がこの前夜祭で挨拶したことは『里見さんの地元ということで、たくさんの里見ファンがおいでだと思いますが、清水さんのことも応援していただければ』とお願いしましたところ、たくさんの清水ファンがいらっしゃいまして、驚いたのとホッとしたのと両方ありました。今期は上田女流三段が4年ぶりに挑戦ということで、同じようにたくさんの方がいらっしゃると思います。明日の勝負をどうか見守っていただけたらと思います。
先ほど報知新聞の佐野様よりお話がありましたが、第1局では上田さんに▲5一角という手が出まして、私も当日ネットで対局を見ていましたが、棋譜の入力ミスではないかと思うほどの手でした。のちにタイトル経験者や若手の男性棋士にあの手について尋ねてみたところ、まったく思い浮かばなかったという声ばかりで、私がもしあのときに上田さんに変わって席について指していたとしたら、私は絶対に里見さんに負かされていたと思います。これはあんまり自慢してもしょうがないですが(笑)。それほどすごい手で、第37期名人戦第4局の中原-米長戦で指された中原先生の▲5七銀に匹敵するぐらいの、それぐらいの手ではなかったかと思います。
上田さんは久しぶりのタイトル戦ということですが、気力充実が感じられ、絶好調という感じで、里見さんも明日の対局では気を引き締めて臨まれるのではないかと思います。また、里見さんは女流五冠で、皆様の注目されるところは、六冠達成。全冠制覇ですね。これがなるかというところで興味をお持ちではないかと思います、そのためにも明日の対局は大事になってくると思います。明日の対局では里見さんの気迫も感じながらご覧いただければと思います。
あと、里見さんは三段リーグも戦われておりまして、以前、NHKで『ふたりっ子』というドラマがありましたが、私は当時、台本のチェックをしておりまして、その物語では女の子が将棋を覚えて興味を持ち、奨励会に入って三段リーグを抜けて四段になり、最後はタイトル戦を戦う夢物語だったわけですけれども、里見さんは三段リーグで結果を残せば、それを現実のものにしてしまう立場にあります。女流六冠制覇、また四段になれるかというところも注目していただいて、ご声援をいただければと思います。明日の対局は絶好調同士の両者で、どちらかが敗者にはなってしまいますけれども、勝者、敗者にかかわらず、皆様にはご声援をいただければと思います。
最後になりましたがこの女流名人戦を主催していただいております報知新聞社様、出雲市様、そして特別協賛をいただいているユニバーサルエンターテイメント様には、改めましてこの場をお借りして将棋連盟から御礼申し上げます。ありがとうございました」

Img_0720長岡秀人・出雲市長
「ばんじまして。これは出雲弁で、夕暮れどきの挨拶であります。
7回目の出雲での女流名人戦を迎えることとなりまして、皆様と一緒に楽しませていただきたいと思っている次第でございます。
出雲での最初の女流名人戦は、平成23年でした。当時は女流名人位戦だったと思いますが、里見さんが女流名人を持っておられるかぎり、出雲で女流名人戦を行うと宣言しておりまして、先ほどからプレッシャーを掛ける挨拶が多いですかね(笑)。
上田さんようこそ。4年前の対局では特に第5局が大変な名局だったとうかがっておりまして、今期も第1局、素晴らしい対局だったと聞いております。
この出雲というところは、心の広い人が住み、国を譲るくらいの気持ちを持っておりまして、その意味ではアウェーと思われずに、日頃の力を十分に発揮していただければと思うところであります。
こうして開催できますのも、報知新聞社様、将棋連盟様、特別協賛をいただいておりますユニバーサルエンターテイメント様、そして昨年に続いてお越しいいただいております第1局の開催地であります岡田美術館の小林館長様、ようこそお越しいただきました。また、明日の大盤解説会などもお世話になります。どうぞよろしくお願いします。
私どもは、里見さんの元気な姿を見れるということでそれがいちばんの楽しみでありまして、今日も後援会の方々をはじめ、地元の方々がたくさんお見えであります。我々の思いとしましては、どんなことがあろうとも里見さんが常に平常心で力を発揮していただけるように、特に里見さんが故郷に帰ってきたときには、あたたかくお迎えしようというのが基本路線でして、そのうえで勝っていただければこれに越したことはありません。
将棋の歴史というのは江戸の中期から始まって、男性棋士の時代はほぼ400数十年というところにあります。女流は40数年で、この長い歴史のギャップの中で、誰が歴史を打ち立てられるかというところで、こういうことを言うとまたプレッシャーになりかねませんが(笑)。明日の対局では記憶に残る名勝負を期待しております」

【特別協賛社挨拶】

Img_0733_2小林忠・岡田美術館館長
「失礼いたします。岡田美術館はまだ開館して4年目の幼い美術館で、箱根町に開館しました。この岡田美術館の本社がユニバーサルエンターテイメントでございまして、藤本社長が将棋に愛着が深い方で、ユニバーサルエンターテイメント杯でこの女流名人戦を協賛させていただいてきたわけですけれども、伝統ある将棋という日本の古典文化を預かるということで、本当の美術館でずっとやろうということから日本将棋連盟様、また報知新聞社様にお許しをえまして、昨年から岡田美術館杯とさせていただきました。
第1局はこちらほどではありませんが、寒い箱根町ながらその寒さを吹き払うような熱戦となりました。この第2局は私も去年に引き続きまして、出雲市にお邪魔いたしまして、出雲市における将棋熱に感動している次第です。この前夜祭は、箱根における倍ほどの皆様がお見えになられており、大変盛大な催しになっていることに対して、長岡・出雲市長様をはじめ、出雲市の関係者の皆様に厚く御礼を申し上げる次第でございます。明日からの対局をやさしく、温かく見守っていただくことをお願いしまして、挨拶と代えさせていただきます」

【対局関係者紹介】

Img_0740立会人・大盤解説 畠山鎮七段(中央)、大盤解説聞き手 村田智穂女流二段(右)、記録係 山口絵美菜女流1級(左)

【乾杯】

Img_0747原成充・日本将棋連盟島根県支部連合会 会長

(書き起こし=潤、写真=八雲)

対局場検分

対局場の出雲文化伝承館に移動し、15時頃から検分が行われました。
検分では、対局で使用する盤・駒の具合や、対局室の照明、室温などの状況が対局に支障がないかを確認します。

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Img_0615里見香奈女流名人。

Img_0628挑戦者・上田初美女流三段。

Img_0631立会人の畠山鎮七段が、やや照明が暗いと指摘。隣の部屋側の照明のフードを外すなどの対応がとられた。

Img_0643過去に6回、出雲文化伝承館で対局経験のある里見女流名人が、過去に照明が暗いときにどう対応したかを思い出してアドバイスしていた。

Img_0645上田女流三段はひざ掛けをリクエスト。

Img_0657検分終了後は、両対局者が駒箱の裏に揮毫した。

このあと18時30分から前夜祭が行われます。

(八雲)

記念撮影

Img_0590出雲空港から宿泊ホテルに立ち寄ったあと、関係者一行はJR大社線(平成2年廃止)の旧大社駅に向かいました。
出雲大社の門前町にある旧大社駅は、純和風の趣のある建物で、観光名所になっているほか、国の重要文化財にも指定されています。

Img_0436旧大社駅で里見女流名人と合流。

Img_0447記念撮影が行われた。

旧大社駅の模様は明日のブログでも紹介いたします。

(八雲)

出雲へ

Img_0405東京組の関係者一行は9時55分発のJALで出雲へ向かった。前夜まで中国地方は雪が降り、飛行機が飛ぶか心配されたが、当日は好天となり問題なし。ただ、使用機材の変更があったため、出発が30分ほど遅れた。

Img_0401こちらの飛行機で出発。なお、羽田から向かうのは上田女流三段のみで、里見女流名人は現地にて合流する。

Img_0410出雲縁結び空港には11時40分頃到着した。

(八雲)

2017年1月20日 (金)

五番勝負第2局は1月22日(日)対局

里見香奈女流名人に上田初美女流三段が挑戦する第43期女流名人戦五番勝負は挑戦者が先勝して第2局を迎えました。女流タイトル五冠の絶対的強者である里見女流名人に対して、上田女流三段が先攻したことで、シリーズは激闘を予感させる展開を見せています。
対局は1月22日(日)島根県出雲市「出雲文化伝承館」で行われます。対局開始は9時、持ち時間は各3時間、先手は里見女流名人です。立会人は畠山鎮七段、記録係は山口絵美菜女流1級。大盤解説会聞き手は村田智穂女流二段が務めます。

【関連リンク】

・スポーツ報知(主催)
http://www.hochi.co.jp/hobby/shogi/joryumeijin/

・株式会社ユニバーサルエンターテイメント(特別協賛)
http://www.universal-777.com/corporate/culture/shogi/

・出雲文化伝承館(対局場)
http://izumo-zaidan.jp/tag/izumobunkadensyoukan/

中継は棋譜・コメント入力を潤、ブログを八雲が担当いたします。
どうぞよろしくお願いいたします。

2017年1月15日 (日)

感想戦

Dsc_0744 (先勝した挑戦者の上田女流三段)

Dsc_0758 (大盤解説会場から戻ってから、熱心な感想戦が行われた)

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Dsc_0776 (第2局は里見女流名人の地元、出雲で行われる。巻き返せるか)

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本局の中継は以上で終了いたします。ご観戦ありがとうございました。第2局をお楽しみに。

(吟)

両対局者が大盤解説会場に

Dsc_0697 (感想戦の前に、両対局者は大盤解説会場に姿を見せた)

Dsc_0726 

Dsc_0716 (感想を述べ合う両対局者)

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(吟)

終局直後

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Dsc_0648

―― 里見女流名人の女流王座戦で将棋を▲2四歩で前例を離れましたが、成否はいかがでしたか。

上田 2枚換えになっているのですが、後手に角を持たれているので、どうかなと思っていました。

―― △1四角に▲5八金でしたが、▲2五銀もありましたか。

上田 そうですね。どちらにしようか迷っていたのですが。銀を攻めに使いたかったので、残しておいたのですが。よく分からなかったです。打ったほうがよかったかもしれません。

―― 昼食休憩中も考えられていて、攻め合いを選びましたが。

上田 もう最終盤まで進む手順もあったので、分からなかったですが、こっちは行くつもりでいたので。△3六歩と突かれては、仕方がないかなと。

―― △7九飛から△8五桂と後手に打たれたあたりは?

上田 こちらの玉があんなに危ないとは思っていなくて。焦りました。もう少し余裕があるのかと。

―― ▲5一角が局面を打開する手になりました。

上田 これで負けたら仕方がないかなと。▲5二角と打つつもりだったのですが、はっきりしないので。偶然、▲5一角が見えたので。

―― 勝ちになったと思う局面は。

上田 自玉が安全になって、正確に指せれば勝ちやすい局面になったかなと。

―― 4期ぶりの挑戦で先勝されました。

上田 とりあえず、1つ勝てて、ほっとした部分が大きいです。先後が決まっているので、準備して頑張りたいです。

―― 久しぶりに女流名人戦で五番勝負を指して、いかがでしたか。

上田 斬り合っていく将棋が指したかったので、気持ちの面で負けないで指せたかなと。その点では自信になりました。

―― 第2局は女流名人の地元に乗り込んでの一局になります。

上田 4年前にお会いした人と、またお会いできると思うので、第2局もいい将棋が指せればと思います。

Dsc_0662

―― ▲2四歩を指されて印象をお願いします。

里見 そういう手もあると思っていました。

―― ▲5八金に△5七歩はありましたか。

里見 うまい攻めがあまり見えなくて、選びにくかったです。

―― ▲5一角と打たれたところは?

里見 △8五桂と打ったところはちょっと負けだと思っていたので、その前にもう少し、△3七銀成とどこかで入れるんだったかなと。

―― 第1局を落としてしまって、巻き返すシリーズになりましたが。

里見 勝負どころで、あまり時間を使えなかったので、しっかり腰を落として考えられるようにやっていきたいと思います。

―― 上田女流三段と4期ぶりに指してみて。

里見 戦型によると思うのですが、斬り合うような変化が多くて、途中からは、苦しかったかなと思います。

―― 第2局は地元に戻っての対局になります。

里見 しっかり時間を使って、自分の力が出せる状態にしていければと思います。


(吟)
 

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