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2016年2月

2016年2月24日 (水)

第42期閉幕

第42期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負は里見女流名人の7連覇で閉幕しました。今期もご観戦いただきまして、ありがとうございました。

Kif (第5局の棋譜)

(牛蒡)

感想戦

A513

A531

A556 (53手目に▲3二歩が検討されたが、それで先手よしとまではいえないようだ)

A560

A605

A628 (感想戦は50分ほど。中盤戦を中心に検討された)

(牛蒡)

終局直後

A448 (里見女流名人は7連覇を達成した)

【里見女流名人のインタビュー】

―― 序盤はいかがでしたか。
里見 振り飛車で戦うつもりでしたが、本譜は飛車のさばきが難しいと思っていました。

―― 中盤戦はどうですか。
里見 △2四歩(46手目)の前に△5七歩成を利かすことができて、こちらから攻められる展開になり、まずまずだと思っていました。△3三桂(58手目)で左桂がさばけて調子はいいと思いました。2枚換えになったところ(72手目△4五歩)は、こちらが指しやすいかなと思います。

―― 本局は朝から気合が入っていたように見えました。
里見 自分のいいところも悪いところも出たシリーズでした。悪いところのほうが多かったかもしれません。今日は開き直って、盤上に集中して、一生懸命考えようと思いました。

―― シリーズを通しての感想を聞かせてください。
里見 第4局が完敗でした。もちろん反省しましたが、いい勉強になった面もありました。苦しい将棋が多かったですが、最後まで諦めないでいこうと思い、第5局は自分の力を出すことができました。

―― これで7連覇を達成しました。
里見 女流名人戦では、私の地元の出雲で指させていただいているので、来期も指せるのが楽しみです。今後につなげられるように頑張っていきたいです。

―― 本年度の女流棋戦全体を通してはいかがでしたか。
里見 内容の悪い将棋も何局かありました。反省点は多いですが、結果を出せたことには満足しています。本年度は清水さんと当たることが多く、苦しい将棋も多かったですが、最後に力を出しきる将棋を指せたのは自信になりました。

―― 清水女流六段の印象を教えてください。
里見 今期の名人戦は強気にこられていると盤上で感じ、気持ちの面で押されていました。女流棋士会の会長を務められながらも、将棋ではいつも工夫をされています。私もそれを見習って、一生懸命に将棋に向き合わないといけないと思いました。

―― 来期の抱負を聞かせてください。
里見 まずは強くなることがいちばんです。結果は大事ですが、日々の過ごし方を納得できるように頑張りたいです。

A457_2 (清水女流六段はあと1勝が届かなかった)

【清水女流六段のインタビュー】

―― 昼食休憩のあたりは「先手が指しやすい」と控室では評判でした。
清水 検討してみないと分からないです。

―― どこで形勢を損ねたと感じられましたか。
清水 こちらがいいと思った局面はありませんでした。

―― シリーズを振り返っての感想を聞かせてください。
清水 始まる前からそうだったのですが、始まってからも充実していました。名人と5局も指せるのは光栄といいますか、なかなかないことなので、指せるだけでも幸せです。将棋の内容も力は出せたと思います。

―― 来期の抱負を聞かせてください。
清水 まず明日はゆっくりと休んで、それから考えたいと思います。

―― ファンに向けて一言お願いします。
清水 感謝の言葉しかありません。いつも応援していただいてありがたいことです。

A446 (終局直後)

(牛蒡)

里見香奈女流名人がタイトル防衛

20160224c

里見香奈女流名人に清水市代女流六段が挑戦する第42期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第5局は、17時14分に118手で里見香奈女流名人の勝ちとなりました。消費時間は▲清水2時間59分、△里見2時間19分。この結果、五番勝負は3勝2敗で里見女流名人が防衛し、7連覇を果たしました。

後手勝勢

05086 後手は中央に厚みを築き、先手陣を押しつぶそうとしています。控室の評判、Twitter解説の佐藤和六段の見解、いずれも後手勝勢です。

A442 (16時50分ごろの控室)

(牛蒡)

天王山の馬

05075 図の局面、里見女流名人は10分で△5五馬を指しました。5五の地点は天王山と呼ばれます。働きのいい馬で、後手がリードを広げようとしています。

「先手は歩切れです。△5五馬に▲5六歩と追えないのはつらいですね」(飯野七段)

「先手のと金攻めは時間がかかるので、△5五馬でじっくりと攻めるのがいいと思います。代えて△8四桂は速い攻めですが、速すぎて攻めが切れる恐れがありました。△4六歩も仮に最善手だったとしても指さないほうがいいですね。△5五馬よりも逆転の可能性のある手といえます」(田村七段)

1630(△5五馬から数手進んだ局面。里見女流名人はスーツの上着を脱いでいる)

(牛蒡)

後手有利

05069 69手目▲2三歩(図)まで進みました。控室では図から△1五角▲2二歩成△4五歩▲5七銀△3七角成が予想されています。後手は堅陣を維持したまま、▲飛△銀桂の2枚換えに持ち込めます。一時を思えば理想的ともいえるさばきで、控室の評判は後手よしになりました。残り時間は▲清水14分、△里見1時間23分。里見女流名人は時間の面でも有利です。


A252 (里見女流名人)

(牛蒡)

控室に女流棋士続々

15時30分、控室には続々と女流棋士が訪れています。

A431 (甲斐智美女流五段=左)

A435 (香川愛生女流三段。4月から東京に再移籍する予定)

A426(田村七段が示した▲3二歩以下の継ぎ盤)

05052

52手目の局面。田村七段は実戦の▲3五歩ではなく、▲3二歩△3三桂▲3一歩成△2五歩▲3六飛を示していました。「厳しい手ですね」と甲斐女流五段。本譜は後手に駒をさばくチャンスがくるかもしれません。


(牛蒡)

勝負手気味の動き

05050 △2四歩▲2六飛△2二飛▲5八金引△5二銀で図の局面。後手は2筋から反発しました。勝負手気味の動きと見られています。図の局面で佐藤和六段の見解は「先手やや有利」です。

「△2四歩はすごい手。あまり見たことがない筋です。少し無理をしてでも動いていこうと」(飯野七段)

「後手は少し作戦負けだったのでしょうね。△5二銀は簡単には倒れないぞ、という手です。先手が金を引いたので、自分も駒を引くのは理に適ってはいます」(田村康介七段)


A424 (左は谷川治恵女流五段、将棋連盟の理事でもある。中央は田村康介七段)

(牛蒡)

女流棋士しおり

将棋会館の売店では「女流棋士しおり」を販売中。【】【】【】【】【】【】の6種類でセット販売もあります。

A364

A368

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