2011年8月29日 (月)

決断の角

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再開後の一手は△6四角。瞬間、モニタを見ていた関係者の表情が固まる。瞠目結舌、すごい手が出た。次は△3六歩。角のラインを生かして攻める狙いがある。しかし手持ちの角を手放しての一点狙いは、失敗すれば取り返しがつかない。もちろん羽生二冠は成算があって踏み込んだのだろうが、それにしてもこんな手が成立するのだろうか? 広瀬王位は予想だにしていなかっただろう。ここは長考に沈むはず。まだ一日目の早い時間だが、盤上の緊迫度が一気に増してきた。午後は密度の高い時間帯になりそうだ。

【Twitter解説】
佐々木慎>△6四角とは決断の一手が出ましたね。狙いは単純に△3六歩ですが結構受けにくいです。(1)▲2八銀△3六歩▲3八玉は△3七歩成▲同銀△同角成▲同金△3六歩(A図)で危険です。ただ、A図以下▲4六金△3七銀▲4九玉△4六銀成▲同歩△3七歩成▲1五角(B図)で大丈夫な可能性もあります。
A_2B_2
単純に角を切ってもうまくいかないときは△3三桂や△3六歩の筋で攻めることになります。
一回(2)▲8六角と合わせる手もあるかもしれません。△5五角なら▲6六銀みたいな感じです。ただ、△8六同角▲同歩△6四角であまり変わらないかもしれません。(3)▲6六歩は△7四歩との交換になる可能性が高いと思います。▲6五歩△7三角となると一見飛車先の歩が伸びて気持ちいいですが、損得は分かりません。

(文)