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第70期王座戦五番勝負第4局

2022年10月 4日 (火)

昼食休憩中の対局室

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Dsc_0096(豊島九段が果敢に仕掛けた局面で休憩となった)

(牛蒡)

昼食休憩

22047712時10分、図の局面で永瀬王座が14分使って昼食休憩に入りました。消費時間は☗豊島1時間33分、☖永瀬1時間35分。昼食の注文は、豊島九段が「陣屋カレー(ビーフ)」、「アイスレモンティー(氷なし)」、永瀬王座が「陣屋カレー(ビーフ)」、「抹茶」、「アイスコーヒー」、「ショートケーキ」。対局は13時に再開します。

Dsc_0043(豊島九段の昼食)

Dsc_0006(永瀬王座は地元菓子店のショートケーキも注文)

Dsc_0013(カレーは陣屋対局の名物)

Dsc_0058(いちじくのぜんざい。中央はライチに餡を詰めたもの)
これらは撮影用に別途注文したものです。

(牛蒡)

打開

22047511時45分、豊島九段は23分の考慮で▲2四歩と突きました。「仕掛けたとみていいと思います。ただし、ここから歩を突き捨てる順番は難しいです」と佐々木勇七段。△2四同歩には、さらに1、3、5筋のどれか(あるいはすべて)の歩を突き捨てることになりそうです。先手はどこかで▲3四歩△同銀の形にして攻めると予想されていますが、後手から△3六歩(▲同銀△5八角)や△8六歩の反撃も見込まれます。後手の反撃を上回る攻めを先手は繰り出さなければいけません。

Dsc_9519(陣屋の館内にて。柿、栗、かぼちゃ)

(牛蒡)

千日手含み

220473互いに手待ちや手渡しを繰り返して図の局面。この戦型の宿命ではありますが、本局も千日手気配の進行です。図で仮に△4二銀右を指したとして、▲3五歩△同歩▲同角は△8六歩が気になります。以下▲8六同銀は△4八角があり、▲8六同歩は△8五歩の継ぎ歩攻めを誘発します。依然として先手の打開は難しそうです。

Dsc_9985_2 (控室の様子。瀬川六段と中村真女流三段も合流した)

(牛蒡)

秦野市

秦野市(はだのし)は神奈川県の中西部に位置する市。東京から約60キロメートルの位置にあります。北に丹沢山塊、南に渋沢丘陵があり、盆地を成しています。その豊かな地下水は環境省選定の名水百選にも選ばれています。この特色を生かした物価高対策として、市は今月から半年間、上水道の料金を半額にすると発表しました。

Dsc_9427(陣屋の最寄り駅、小田急線「鶴巻温泉駅」の駅前広場=昨日撮影)

(牛蒡)

元湯 陣屋

「元湯 陣屋」は神奈川県秦野市の鶴巻温泉にある旅館。源頼朝の側近だった和田義盛の別邸跡にあります。大正7年(1918年)、三井財閥の御寮(別荘)として建てられた「平塚園」が「陣屋」の始まりとされています。

将棋や囲碁の対局が数多く行われ、陣屋のホームページによると300局を超えます。2000年以降だけでも、女流棋戦も含めた将棋のタイトル戦は50局近くあります。古くは昭和27年(1952年)の第1期王将戦第6局、升田幸三八段(実力制第四代名人)が木村義雄名人(十四世名人)との対局を拒否した「陣屋事件」が有名です。

【元湯 陣屋】
https://www.jinya-inn.com/index.php

Dsc_9451(陣屋の入り口。来訪客を報せる太鼓がある=以下昨日撮影)

Dsc_9443(入り口の登り坂の先に本館がある)

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Dsc_9454 (敷地内の庭園)

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Dsc_9470(芙蓉(フヨウ)の花が咲いていた)

(牛蒡)

豊島九段が30分超えの長考

220467先に30分超えの考慮をしたのは豊島九段でした。図の67手目▲5六歩は33分の考慮。
図の前から前例のない形になっていました。一般的な右玉は(図の少し前がそうだったように)6三銀・6二金の形が多く、6筋に金2枚を並べるのは珍しい部類に入ります。事前研究を離れ、読みの勝負に入ったといえます。特に打開を目指さなければいけない先手は読む量が増えます。

Dsc_9906(朝の豊島九段)

(牛蒡)

今期の序盤進行

今期の五番勝負はすべて角換わり。研究勝負の側面が強い戦型で、序盤の進行は速くなりがちです。今期五番勝負について、10時までにおおよそ何手進んだのか、初めて30分を越える長考に沈んだのは何手目だったのかをまとめてみました。かっこ内の名前は、最初に30分以上の長考をした棋士です。

第1局 10時までに44手 最初の長考(永瀬)45手目 豊島勝ち
第2局 10時までに70手 最初の長考(永瀬)94手目 千日手(指し直し局は永瀬勝ち)
第3局 10時までに71手 最初の長考(豊島)76手目 永瀬勝ち
第4局 10時までに62手 最初の長考(__)__手目

本局はどちらが先に長考するでしょうか。ちなみに第66期五番勝負の中村太地王座-斎藤慎太郎七段戦(段位と肩書は当時)で10時までに指された手数は、第1局から順に、37手、29手、31手、41手、37手でした。計時方式がチェスクロック式とストップウオッチ式の違いの影響はありますが、速くなっているのは間違いありません。

Dsc_9743(永瀬王座は早めに対局室に入り、気を高めていた)

(牛蒡)

5局連続で角換わり

220455本局は角換わりになりました。第2局の千日手局とあわせて5局連続です。ただし、本局は先手穴熊、後手右玉という少し珍しい形になりました。後手は千日手で十分という姿勢、先手が打開できるかという将棋です。森下九段は、図の類似局面を実戦で経験したことがあり、千日手になったそうです。先手の打開もそう簡単ではありません。

Dsc_9944(控室で戦況を見守る森下九段)

(牛蒡)

対戦成績

両者の対戦成績は永瀬12勝、豊島10勝。第2局と第3局の連勝で永瀬王座が2つ勝ち越しました。2年前の第5期叡王戦七番勝負では、200手超えの対局が3局ありましたが、今期五番勝負は、110手(第1局)、118手(第2局千日手)、105手(第2局)、93手(第3局)と平均的な手数です。永瀬王座は開幕前の特集記事(リンク)で、2年前はコロナ禍による実戦不足の影響で、詰めの段階が甘かったことから長手数になったと分析、「今回はそういうことはないと思います」と話していました。そのとおりの結果になっています。

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(牛蒡)

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