戦型は角換わりになり、永瀬王座が▲4五桂と仕掛けました。対局開始から36分での開戦です。以下 △2二銀▲3五歩△4四歩▲3四歩△4五歩▲同歩△6五歩▲同歩△7五歩で分岐点を迎えました。
前例は2018年の王位戦☗豊島将之八段-☖澤田真吾六段戦で(肩書・段位はいずれも当時)、▲4四歩と指していました。しかし、永瀬王座は▲6四歩と手を変え、「これはやりたかったのか」と島九段がつぶやきました。▲6四歩は▲6三歩成△同金▲7二角の筋を見せて後手の攻めを牽制した意味です。先手は桂損ながら、持ち歩の多さや後手の壁銀でバランスはとれています。
木村九段は▲6四歩に手を止めて、19分の考慮で△7六歩と取り込みました。以下▲同銀△8六歩▲同歩△同飛▲8七金△8一飛▲8二歩△同飛▲7一角と進みました。
もう終盤戦です。手が止まりません。▲7一角に△7二飛▲6二角成△同飛▲7四歩△6四飛▲6六歩で、10時20分ごろの局面です。
▲6六歩は△同飛なら▲6七歩と先手で受けて、▲7三歩成と桂を取ることができます。△7四飛なら▲7五金で飛車を捕獲すればよいです。
先手は2枚換えと陣形差でペースを握ろうとしています。木村九段はどうやってバランスを保つのでしょうか。
(紋蛇)
本局は Paravi(パラビ)とABEMAで動画中継されます。ぜひご覧ください。
【Paravi】
解説:藤森哲也五段 聞き手:香川愛生女流四段
日時:2021/9/1(水) 午後5時~終局
https://www.paravi.jp/title/76546
【ABEMA】
解説:先崎学九段 佐藤和俊七段 井出隼平五段 聞き手:千葉涼子女流四段、室谷由紀女流三段
日時:2021/9/1(水 ) 午前8時30分~終局
https://abema.tv/channels/shogi/slots/9gu3NGE7ceodeo
(紋蛇)
永瀬拓矢王座に木村一基九段が挑戦する、第69期王座戦五番勝負(主催:日本経済新聞社主催、特別協賛:東海東京証券)。9月1日(水)にいよいよ開幕します。永瀬王座は3連覇を目指すシリーズです。木村九段は第56期(2008年度)以来、2回目の挑戦で初の王座奪取を目指します。
過去の対戦成績は永瀬3勝、木村3勝の五分(千日手2回)。直近の対局は2020年度の第70回NHK杯争奪戦で、木村九段が制しました。タイトル戦は、今回が初めてです。
第1局は宮城県仙台市「ホテルメトロポリタン仙台」で行われます。持ち時間は各5時間(チェスクロック使用)。対局開始は9時、昼食休憩は12時10分〜13時、 夕食休憩は17時30分〜18時。第1局のため、先後は振り駒によって決定されます。立会人は島朗九段、記録係は小高悠太郎三段(所司和晴七段門下)、日本経済新聞の観戦記は大川慎太郎さん、観戦記の解説は高崎一生七段が務めます。
本局の中継は棋譜コメントを生姜、ブログを紋蛇が担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。
【日本経済新聞電子版(囲碁・将棋)】
https://www.nikkei.com/culture/go-shogi/
【東海東京証券株式会社】
http://www.tokaitokyo.co.jp/
(紋蛇)