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第67期王座戦五番勝負第1局

2019年9月 2日 (月)

平成初の王座戦五番勝負 中原誠-青野照市

今期は令和初の王座戦五番勝負。平成初の王座戦五番勝負第1局をご紹介します。
平成元年の王座戦五番勝負は、第37期(1989年度)の中原誠王座-青野照市八段戦です。前年、中原は塚田泰明王座にリターンマッチを挑み、王座に復位したばかりでした。青野八段は36歳にしてタイトル戦初登場で、「30歳を過ぎて、初めて見合いをする心境」と語ったとされます。

第1局は9月1日、東京都千代田区紀尾井町「福田家」で行われました。

20190902aononakahara21戦型は角換わりから、青野八段が棒銀に出ました。図から△5四角(▲2四歩△同歩▲同銀に△2七歩を用意)▲3八角(次に▲2四歩△同歩▲同銀△2七歩▲同角△同角成▲同飛と攻める)の定跡から、先手が角2枚、後手が飛車2枚の乱戦に進みます。

20190902aononakahara52△4四金に▲8八角△5五銀▲5六角が絶品の角使いで、飛車を目標にして青野八段がリードを奪いました。

20190902aononakahara91中原王座は△4七金! ▲同銀△6九飛の勝負手を繰り出して差が縮まりますが、青野八段が粘り強く指し、129手で押し切りました。第2局は中原王座、第3局は青野八段が制します。青野八段は初タイトルにあと一歩まで迫りましたが、そこから連敗して奪取はなりませんでした。

先手:青野 照市
後手:中原  誠

▲7六歩 △8四歩 ▲7八金 △3二金 ▲2六歩 △8五歩
▲7七角 △3四歩 ▲8八銀 △7七角成 ▲同 銀 △2二銀
▲3八銀 △7二銀 ▲2五歩 △3三銀 ▲2七銀 △7四歩
▲2六銀 △7三銀 ▲1五銀 △5四角 ▲3八角 △4四歩
▲2四歩 △同 歩 ▲同 銀 △同 銀 ▲同 飛 △3三金
▲2五飛 △2四銀 ▲2八飛 △2二飛 ▲6六銀 △2七歩
▲同 飛 △同角成 ▲同 角 △3五銀 ▲2八歩 △4五歩
▲5五銀 △4二玉 ▲3八金 △7五歩 ▲4五角 △5二金
▲3六歩 △4四銀 ▲同 銀 △同 金 ▲8八角 △5五銀
▲5六角 △6四銀上 ▲8三角成 △7三桂 ▲5六歩 △6五桂
▲5八銀 △8六歩 ▲同 歩 △7六歩 ▲5五歩 △7七歩成
▲同 桂 △同桂成 ▲同 角 △6五桂 ▲6八角 △7六歩
▲8九桂 △5五金 ▲7九歩 △1四歩 ▲8四馬 △1五歩
▲6六歩 △7七歩成 ▲同 桂 △同桂成 ▲同 角 △7六歩
▲8八角 △7七桂 ▲5六歩 △同 金 ▲4五銀 △5五銀
▲5七歩 △4七金 ▲同 銀 △6九飛 ▲4八玉 △4六歩
▲5八銀 △2九飛成 ▲5六歩 △3三桂 ▲3四銀 △5六銀
▲2三桂 △3一桂 ▲7四馬 △4五銀 ▲4三歩 △同 金
▲同銀成 △同 玉 ▲4四歩 △3二玉 ▲3一桂成 △同 玉
▲4三歩成 △4七銀 ▲同 銀 △同歩成 ▲同 馬 △5六桂
▲5七玉 △4六歩 ▲3二金 △同 飛 ▲同 と △同 玉
▲4四桂 △2三玉 ▲3二銀

まで129手で先手の勝ち





妥協なくいく

37

△8八歩に対して、先手は強く▲7五歩と銀を取る。着手を見た佐々木大五段は「妥協なくいきました。お互いにですね。後手は銀を逃げずに△8八歩と打ちました。先手は△8八歩に対して、▲同銀△7六銀という進行も選ぶことができたはずです」と話す。

Dsc_0390(戦いが激しくなり、読み勝っているのはどちらか)

(吟)

18時対局再開

Dsc_0386(再開前、じっと盤を見る斎藤王座)

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Dsc_0400(手番は永瀬叡王)

Dsc_0404(再開前、永瀬叡王の盤側に用意されたバナナ)

※本局は指し直し局のため、夕食休憩後に撮影しました。

(吟)

夕食休憩

31

▲6七金に永瀬叡王が4分ほど使って、夕食休憩。消費時間は▲斎藤王座3時間49分、△永瀬叡王3時間19分。対局は18時に再開されます。

夕食の注文は両者「天 稲庭うどん(温)」。飲み物は齋藤王座が「アップルジュース」と「ウーロン茶」。永瀬叡王が「グレープフルーツジュース」と「ウーロン茶」。

Dsc_0377(こちらは永瀬叡王が注文した「天 稲庭うどん(温)」、「グレープフルーツジュース」と「ウーロン茶」のセット)

Dsc_0379

※対局者の食事やおやつは、撮影用に別注文したものです。

(吟)

斎藤王座が手を止める

30

△7五歩▲同歩△7二飛と後手が回った手に対して、斎藤王座が20分ほど手を止める。「後手の攻めがうるさいのかな」と阿久津八段。▲6七金と上がるのは、△7五銀▲7六歩△8六歩という攻め筋がある。

Dsc_0223(斎藤王座は後手の攻めにどう対応するのか)

(吟)

現地大盤解説会場

Dsc_0367

Dsc_0351(解説の阿久津八段)

Dsc_0359(笑顔の中村桃女流初段)

Dsc_0355(会場では対局室の様子が映し出されている。千日手が成立すると、指し直し局の初手を当てる、珍しい次の一手が出題されていた)

(吟)

指し直し局開始

Dsc_0340(指し直し局、先手になった斎藤王座は▲7六歩を着手する)

Dsc_0343(▲7六歩に永瀬叡王はすぐに△8四歩を着手しました)

(吟)

波乱の幕開け

62

△6五角で同一局面4回となり千日手が成立しました。終局時刻は15時8分。消費時間は、▲永瀬叡王2時間46分、△斎藤王座2時間31分。指し直し局は30分後の15時38分に先後を入れ替えて、斎藤王座の先手で行われます。残り時間は千日手局を引き継ぎます。

Dsc_0292(千日手成立直後の対局室)

Dsc_0295

Dsc_0304(斎藤王座が対局室を出ると、永瀬叡王は抹茶に口をつけた)

Dsc_0306(盤上に残ったままの駒。立会人の中村修九段の配慮で、少しでも早く、両対局者に自室で休んでもらおうということ。両対局者が退室したあと、記録係が駒を仕舞った)

(吟)

おやつ

おやつは斎藤王座が「チーズケーキ」と「ホットコーヒー」。
永瀬叡王が「チョコレートケーキ」と「抹茶」。

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Dsc_0283

Dsc_0285(撮影用のおやつを前にする中村桃女流初段。大盤解説は佐々木大五段とバトンタッチ)

※対局者の食事やおやつは、撮影用に別注文したものです。

(吟)


千日手の可能性

52

図の局面は6五の角を△5四角と引いた局面です。▲4五銀△6五角▲5六銀△5四角▲4五銀で、千日手の可能性があります。△5四角と引いた局面は、後手から△3六歩と△7六歩の狙いがあります。

Dsc_0271(現地では14時から大盤解説会が始まりました。すでに後方まで、お客さまが入っています)

(吟)

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