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2024年9月

2024年9月 4日 (水)

対局再開

対局室にはほぼ同時に藤井王座、永瀬九段の順に戻りました。13時、青野九段が再開を告げると、永瀬九段はうつむいたり天井を見上げたり。少しの間があって盤上に手を伸ばします。両対局者とも険しい表情で盤面に集中していました。

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昼食休憩

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12時10分、永瀬九段が約18分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲永瀬九段1時間42分、△藤井王座1時間26分。昼食は両者とも陣屋カレー(伊勢海老)を注文。カレーは伊勢海老とビーフの2種類があり、陣屋のサービスで両方が提供されました。飲み物は藤井王座がアイスレモンティー、永瀬九段が冷たい抹茶を注文しています。対局は13時に再開されます。

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一手一手が難しい展開が続く

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控室には勝又清和七段が取材で訪れ、日本経済新聞の解説を担当する森内九段と継ぎ盤で検討しています。森内九段に本局の展開について聞きました。「後手は△4六銀(34手目)と歩を取りましたが、△5五銀~△6四銀と戻ったので手が遅れています。先手は手得を生かして玉を固めました」。実戦は△4六銀以下、▲6八玉△3二玉▲7九玉△5五銀▲8八玉△6四銀▲7二歩と進みました。

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森内九段は「▲7二歩(41手目)は積極的ですね。▲9六歩など、いろいろあるところでした」と永瀬九段の指し手に注目します。ここから△7二同飛▲8三角△8二飛▲4七角成と進みました。

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先手は馬の存在と玉の堅さ、後手は歩得が主張といえます。森内九段は「馬と玉の堅さで先手を持ちたい人が多いと思います」と見解を語ったうえで、「歩切れは大きいですね。1歩入手したいんですけど、歩がぶつかるところがあまりないので、3筋で入手できれば指し方に幅が出るんですが」と先手の懸念材料について話します。

序盤は比較的早い進行でしたが、今後の展望についてはどうでしょうか。森内九段は「ここまでは作戦通りということでしょう。前例が多くない形なので、ここからポイントが見えにくくなってきます。しばらくはお互いに一手一手が難しい展開が続くと思います」と語りました。

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元湯陣屋

対局場の「元湯陣屋」は神奈川県の鶴巻温泉にある老舗旅館です。1918年(大正7年)、三井財閥の御寮(別荘)として「平塚園」が建てられ、現在の陣屋の起源になりました。囲碁・将棋のタイトル戦の舞台としても知られ、王座戦ではタイトル戦に昇格した1983年より前から対局を行ってきた縁があります。館内には対局写真や揮毫色紙など、貴重な資料が展示されています。
1952年(昭和27年)には昭和将棋史に残る「陣屋事件」が起きました。前年の12月から第1期王将戦七番勝負が木村義雄名人と升田幸三八段(肩書は当時)で争われ、第5局を終えて升田八段が4勝1敗とします。升田八段の王将位獲得が決まるとともに、当時の王将戦の規定に従って第6局が升田八段の香落ちで行われることが決まりました。ところが、対局場の陣屋を訪れた升田八段は迎えがなかったことに憤慨して対局を拒否。背景には、名人の権威を思う升田八段の葛藤があったとされます。この事件以来、陣屋では来客があると、入り口の太鼓を鳴らして迎えるようになりました。

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3三金型角換わり

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永瀬九段の先手番で始まった本局、興味深い立ち上がりになりました。永瀬九段が角換わりを目指すと、藤井王座は角交換をせず△3三角(10手目)と趣向の作戦に出ます。狙いは▲3三同角成△同金と先手から角交換させて手得することにあり、代わりに3三金型の是非が問われます。昔は悪形とされましたが、最近は上部の厚みが評価されて有力な変化になりました。

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藤井王座は手得を生かして早繰り銀から速攻し、永瀬九段が腰掛け銀から受けに回っています。部分的には先後逆、つまり後手の一手損角換わりで現れる攻防です。

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観戦記情報

本局の観戦記は大川慎太郎さんが担当します。今日の日本経済新聞朝刊には、池田将之さんが執筆した観戦記が掲載されています。今期の王座戦挑戦者決定トーナメントで豊島将之九段と伊藤真吾六段が戦った一局。勝敗を分けた夕食休憩前の一手について詳しく解説しています。

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対局開始

対局室には挑戦者、王座の順に入室しました。両対局者が駒を並べ終えると、記録係の田中三段が振り駒を行います。と金が3枚出て、第1局は永瀬九段の先手に。定刻の9時に立会人の青野九段が開始を告げて、対局が始まりました。

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対局スケジュール

現地の秦野市はよく晴れた朝を迎えました。対局は9時に開始されます。

9:00 対局開始
12:10 昼食休憩
13:00 対局再開
15:00 おやつ
17:00 夕食休憩
17:30 対局再開
--:-- 終局

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2024年9月 3日 (火)

前日会見

検分後は会見場に場所を移して記者会見が行われました。対局への意気込みについて、藤井王座は「1年ぶりの再戦。自分自身の1年間の取り組み、成長が問われるシリーズになる」、永瀬九段は「前期は技術面のみで勝負していたが、この1年間は足りていない精神的な面に向き合ってきた。自分の中で止まった時間を前に進めるために一生懸命戦いたい」とそれぞれ語りました。

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検分

対局場に到着した両対局者は夕方から検分に臨みました。検分では対局に使う棋具、部屋の照明や空調について確認します。盤と駒は陣屋が所蔵するものが用意され、駒は2組から藤井王座が静山作・菱湖書を選びました。照明は明るさや色味について藤井王座から要望があり、入念に確認が行われました。

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