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2021年9月 1日 (水)

東北研修会

今年4月から東北研修会がスタートしています。立ち上げに関わった島朗九段に話を聞きました。

【日本将棋連盟東北研修会 開設のお知らせ】
https://www.shogi.or.jp/news/2020/11/post_1966.html

島 今年で東日本大震災から10年のときが流れ、その忘れえない年に東北研修会をスタートできたことをうれしく思います。これもご協力いただいた皆さまのおかげで、心から感謝申し上げたいです。

震災前から東北に伺う縁がありまして、私自身も20092016年まで仙台に住んでいました。かねてから東北の将棋ファンの方々から研修会の要望をいただいていましたけれども、事業の継続性を考えると難しいことが多く、宿題をいただいていたような気持ちでした。

――東北研修会を設立したきっかけは何でしたか。

島  昨年8月に順位戦で、山形出身の阿部健治郎七段と対局したときですね。彼の対局姿を見ているうちに「震災から10年経とうとしているのに、俺は何をやっているんだろう」という気持ちが沸き上がってきまして、次の日からその一心で憑かれたように動き出しました。加えて、やはりコロナ禍が大きかったです。東北に住む奨励会や研修会の子ども達が東京に通えなかったので、そうなるとやはり将棋を指す場所が東北に欲しい。東京だと遠いが、仙台なら行かせようという方も東北では多いんです。

地元の公的機関やメディア、また組織や会社、人々から物心ともにご協力いただきました。東北出身の棋士には幹事を快く引き受けていただいています(幹事:中川大輔八段、佐藤秀司八段、阿部健治郎七段、熊坂学五段。幹事補佐:鈴木桂一郎指導棋士三段。指導担当:加藤結李愛女流初段)。仙台在住の弟子である、奨励会2級の須田優輝くんも手伝ってくれています。彼に限らず、トッププレイヤーは色んな面で協力を惜しみません。木村九段は昔から天童をはじめ東北によく足を運んでくれています。また永瀬王座にも東北研修会に多大なご支援をいただいています。ふたりとも、そういう話は自分からはされませんけど、なかなかできないことですね。

――今後の目標を教えてください。

島 事業としてちゃんと続けていくこと、東北の指導者の方々の受け皿になれたらいいですね。現状は始まったばかりです。しかし東北にはよい指導者の方々や才能豊かな子どもたちがいるので、3・4年もすればほかの地域の研修会に負けないくらいの規模に成長していくでしょう。プロを目指す子どもだけでなく、連盟直轄の空間で自分を高めたい、厳しい環境で上を目指したいと目標を持って通ってくれています。

 東北研修会スタートは、コロナ禍でよかった数少ないことのひとつです。逆風が背中を押してくれた気がします。私にとってライフワーク、老後の楽しみができました。佐藤会長をはじめ、連盟常務会も自分に任せてくれたことに感謝し、これから東北の方々に少しでも恩返しできたらと思っています。皆様も応援をよろしくお願いいたします。

【研修会】
https://www.shogi.or.jp/match/training/

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