角換わり今昔
大盤解説会場では中村修九段と近藤六段に解説者が交代した。「千日手で大変なのは記録係ですよね。昔はコピー機がないので4通書いていた(現在は2通)んですが、深夜に朦朧として間違えると全部書き直しで」と近藤六段。本譜の解説に移る前には、角換わりの昔の形、今の形を語っていた。
手損のない角換わりの古い定跡。昔は飛車先は伸ばすものと決まっていた。現在は▲2五歩を保留することで▲2五桂の余地を作る順が主流になっている。ここから△3四歩▲8八銀△7七角成▲同銀△2二銀で下図。先手が飛車先を伸ばしていた関係で、昔は△2二銀と上がっていた。図で▲2四歩△同歩▲同飛なら△3五角で後手よし。しかし先手が飛車先を保留するようになると、△4二銀とこちらに上がって中央にも備える手が主流になった。
本局の一手損角換わりは、図を見てわかる通り手損のない角換わりとは出だしがまったく異なる。似て非なる戦型である。
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