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2013年9月

2013年9月18日 (水)

歓声

72「夕休明けから動くなら先手」と言われていた本局。実戦は後手から△1四歩と動きました。
検討陣は「おお」と歓声をあげて、さっそく継ぎ盤を▲1四同香△同香▲1五歩△同香▲同角まで動かします。そこで後手に好手があるかどうか。▲1五同角に△1二香は▲1八香△1五香▲同香△1三歩▲1六香(参考図)がいやな形です。
実戦は上記の▲1八香まで進んでいます。

S72

K002

(控室のモニターテレビ。中村六段が身を乗り出している)

(牛蒡)

地下鉄飛車

68△1二香(代えて△8一飛は王手飛車のラインに入る)で後手の飛車の横利きが端まで通りました。▲3五歩△同歩▲同角に△1一飛を用意しています。▲3五歩が指しにくいとなれば、先手はまた別の攻め筋を探さなくてはなりません。
ただし後手も次に△1一飛から△1四歩が成立する保証はありません。依然として先の見通しが立たない将棋です。

(牛蒡)

持久戦へ

63 再開から数手進みました。▲9八香に検討陣は思わず声をあげます。穴熊を目指した手。夜戦も間合いを計るが続きそうです。
「後手はカウンター狙いの姿勢です。先手から仕掛けることになりますが、いつどの形で動くかです」(久保九段)

Pic_0850_2

(有馬の街に月が浮かぶ。明日は十五夜。満月になるそうだ)

(牛蒡)

対局者の夕食

対局者の夕食は以下のとおりです。
羽生王座は白身魚の唐揚げ膳とホットレモンティー。
中村六段はきつねうどん膳とジンジャーエール。

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(白身魚の唐揚げ膳)

H015

H004

(きつねうどん膳)

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※対局者とは別に撮影用に注文したものです。

(牛蒡)

夕食休憩に入る

60図の局面で夕食休憩に入りました。
残り時間は▲羽生1時間9分、△中村1時間25分。

K004

(夕食休憩中の対局室)

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(後手は全力で自陣を守っている)

(牛蒡)

重い進行

写真は17時40分ごろの控室。渋い攻防が続き、局面は進んでいません。検討陣同士の会話も少なくなり、検討の手も止まりました。盤上と同様、控室にも重苦しい空気が流れています。先手持ちの声が多い状況には変わりがありませんが、具体的にどう攻めるかとなると難しい問題です。

G003

指したい手がない

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羽生王座は1八にいた飛車を▲1九飛(図)と引きました。これは明らかな手渡し。後手に有効手がないと見きっています。
たとえば△7三桂は▲7五歩があります。3二玉や2二金も1筋の備えを考えると容易に動かせません。羽生王座が挑戦者をじわりじわりと追い詰めている印象です。

G004

(17時過ぎ、谷川浩司九段・日本将棋連盟会長が控室へ)

(牛蒡)

全力で受ける

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1図で先手はすべての駒を戦闘配置につけることができました。十分な態勢です。
次は▲5五歩△同歩▲4五歩△同歩▲4六歩の攻めがあります。△4六同歩は▲同銀で銀も攻めに参加します。放置しても▲4五歩から▲4六銀、あるいは▲4五桂△同桂▲同歩から▲4四桂があります。

実戦の進行は△6一飛▲8八玉△6二角(2図)でした。
△6二角は前述の▲5五歩△同歩▲4五歩の筋を全力で受けとめようとした手ですが、その代償に攻めは遠のきました。駒を引くこと自体、攻め将棋の中村六段の棋風に合いません。中村六段は苦戦を意識しているかもしれません。

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(対局開始前の中村六段)

(牛蒡)

先手から仕掛ける

4516時ごろ、本局で初めて歩がぶつかりました。仕掛けたのは羽生王座。図から△1五同歩▲同香△1三歩まで進んでいます。

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(対局開始前の羽生王座)

(牛蒡)

久保九段の見解

15時過ぎ、久保九段は「先手の模様がいいのは間違いないと思います」と話しています。

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「1図は先手が作戦勝ちを見込めそうな局面です。▲8八銀(33手目)と組み替えた順や、▲3六歩(35手目)を突くタイミングなど、羽生王座の構想がうまかったと思います。△3三桂(1図)は△7五歩▲同歩△同飛から△2五飛のような順を視野にいれていますが、じっとしていては苦しくなるとみての勝負手に見えます。できれば△3三銀型にしたかったのですが、そのような展開になりませんでした」

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「2図の▲7七銀も柔軟な手です。△7二飛で7筋を狙われたので、それに対応しています。先手は銀の動きで手損しましたが、後手陣もいい形ではないのでバランスはとれています。あとは▲8八玉まで指してから攻めれば万全です」

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「やはり後手陣は1筋が薄い。わかりやすい形をひとつ挙げるなら、歩をいくつか入手した後、6八角・4八銀型にしてから▲1五歩△同歩▲1二歩△同香▲1三歩で香を取られてしまいます。手数がかかるので実現させるのは難しいですが、後手がゆっくりできないことに変わりはありません。△7三角も動いていこうという手です。先手が作戦勝ちになるかどうか、ここ数手に注目です」

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(久保九段)

(牛蒡)

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