(終局直後)
■勝った藤井聡太王将へのインタビュー
── 出だしから序盤の戦型が決まるまで、どのようなことを考えながら指していましたか?
藤井 居飛車と振り飛車の両方可能性があったので、どちらにも対応できる手を考えながら指していました。
── 後手の構えが雁木に決まりました。1日目の形勢判断は?
藤井 角と銀を交換しあったのですが、そのあと△3五銀(36手目)と打たれて飛車が押さえ込まれたので、うまく持ち駒を生かして攻めの形を作っていけるかを考えていました。
── 封じ手の△4二玉(50手目)については。
藤井 手が広い局面で、△4二玉も有力なのかなと考えていました。
── ▲6三角(51手目)の成果については。
藤井 △4二玉に対して▲6一角か本譜か迷っていたのですが、▲6三角は△3三玉から手厚い形にされてしまうので、馬を作ったのですが、成果が上がっていないのかなと思いました。▲4一馬~▲3一馬~▲2一馬のような順が間に合えばと思っていましたが、それほど速い攻めではないので、その辺りは成算がないまま指していた感じです。▲4五歩と打って少しポイントを挙げられたのかなと思います。
── その後、馬を作って相手の中段玉を上下で挟撃する形になりましたが、どのあたりで形勢の好転を感じられたでしょうか。
藤井 ▲4五歩(61手目)と打つことで上部脱出を阻む形にできたので感触は悪くないかなと。ただ、こちらは攻め駒が少ないので難しいと思っていました。
── 昼食休憩後の戦いについては。
藤井 △8六歩(64手目)▲同歩に△7五歩と打たれて、そこで▲3一馬もあるのかなと思ったのですが、△7六歩と取り込まれる手も大きいので、本譜の順は手番を渡しますが、いったん受けに回って指そうと思っていました。
── 一局の総括は。
藤井 角と銀を交換した辺りが、どういう構想で指すのか難しくて、分からないところが多い将棋だったと思います。
── 第4局に向けて。
藤井 第4局の前にいくつか対局があるので、それらの対局を含めて、いい状態を維持して第4局に臨めればと思います。
■敗れた羽生善治九段へのインタビュー
── 後手番で雁木を選択された経緯について。
羽生 ちょっとまだ未解決の部分もあるのかなと思って指してみました。
── 1日目の展開について。
羽生 よく分からなかったですが、封じ手の△4二玉はいい手ではなかったかもしれません。あの辺のまとめ方に問題があったような気がします。ただ、ほかの手だとほかの筋が生じるので、何を甘受するかという局面だとは思ったのですが、調べてみないと何が正しかったか分からないですね。
── 玉が中段に進んだのは入玉狙い?
羽生 いえいえ、入玉というよりは相手の攻めを緩和する狙いの意図で指していました。ただ、まとめきれなかったと思います。
── 2日目に入って△8六歩▲同歩△7五歩と反撃に転じられましたが成算は?
羽生 昼休憩の時点でダメだと思うので、問題はその前の局面だと思います。
── 振り飛車は選択肢としてあったのですか?
羽生 そうですね。相手の出方次第といいますか、居飛車と振り飛車の両方の可能性を見せながら指していました。
── 第4局に向けて。
羽生 気持ちを切り替えて、次に臨みたいと思います。
(インタビュー終了後は、大盤解説会場に移動した)