2025年3月 9日 (日)

Img_7199 終局直後、両者にインタビューが行われた。

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【藤井王将の談話】
―― 後手番で△3四歩から始められました。この手はどういう想いで指されましたか。
「本局は△3四歩~△4四歩で角道を止めて戦ってみようかなというのは事前に考えていたんですけど。ただ、手の組み合わせがいろいろ考えられるので。その後はどういう展開に進むかわからないかなと思っていました」

―― 先手の▲6八金寄で封じ手になりました。一日目の進行としてはいかがだったでしょうか。
「これまで指したことのない将棋だったので、形勢判断がわからないところだったのですけれど。封じ手の辺りは、いったん局面が落ち着くような形になって。おそらくいい勝負なのかなと思っていました」

―― 今日に入って、△2一飛(58手目)と回りました。あの辺りの午前中の戦いはどうでしたか。
「3五歩の形を生かすような組み立てができればと思ったのですけど。△3四銀(56手目)のように玉から少し駒が離れていって、ちょっと薄い形なので。怖いところは多いかなと思っていました」

―― 形勢の好転を自覚されたのはどのあたりでしたか。
「自玉が薄いのでよくわからなかったのですけれども。△3五銀(88手目)と銀を立って角を捕まえた辺りでは、少し指せるのかなと思ったのですけど。ただ、そのあとも、やっぱり自玉が薄い形で、難しいところは多いかなと思っていました」

―― 新しい指し方で始まった一局を振り返っていかがでしょうか。
「本格的な戦いが始まるまでが、かなり長くて。駒組みのところでも、いろいろ選択肢の広い局面が多かったので。その辺りが非常に難しい将棋だったのかなと感じています」

―― 4勝1敗となって、4連覇ということになりました。王将戦の歴史の中で5人目の4連覇ということになるのですが。この4連覇という数字についてはいかがでしょうか。
「今期のシリーズを振り返ると、第1局から難しい局面の多い将棋が続いたかなと感じているので。指していて充実感というものもありましたし。その中で結果を残せたことも嬉しく思っています」

―― 永瀬九段との初めての2日制の対局でしたが、そのことも大きかったですか。
「そうですね。2日制の長い持ち時間で指して。いろいろ勉強になるところがあったかなと感じております」

―― また4月からお二人で名人戦ということになりますが、抱負などをうかがえればと。
「名人戦の開幕までは、おそらく公式戦の対局は少なくなると思うので。しっかり、いい状態で名人戦に臨めるように取り組んでいきたいと思います」

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【永瀬九段の談話】
―― △3四歩(2手目)と指されましたが。これについては、どうでしたか。
「開幕戦辺りは意識していたんですけど。本局だと意識が抜けてしまっていたので。準備不足だったなと思います」

―― 戦いを終えられて、こう指せばよかったとか、いま振り返られる反省点などがありましたら教えてください。
「ちょっと序盤が損しているのか、相場なのかが、ちょっと判断がつかなかったので。その点は反省点だなと思います。難しい局面が長く続いていたような気はするんですけど、急に悪くなってしまったような気がするので。▲1四歩(81手目)の辺りがまずかったのかもしれないですけど。手前からよくわからなかったので、もう少しうまくバランスを取りたかったなと思いました」

―― 七番勝負は1勝4敗で、今回は終わることになりますけれども。1局でも長くというお話を戦前もされていたかと思いますが。その部分も含めて、この七番勝負をどういうふうに振り返られますか。
「3連敗してからは、1局でも多くということをいっていたんですけど。私は2日制の経験値が浅すぎるので。それで5局指すことができましたので、よい経験ができたなと思います」

―― 藤井王将との初めての2日制という部分での収穫とか、課題とか、そういう部分について発見されたものというのはいかがだったでしょうか。
「やってみないとわからない発見というものも多くありますし。藤井王将と対局できないと、なかなか発見できなかった反省点も多く見つけることができましたので。自分にとってよい成長の糧になっていると思います」

―― 4月から名人戦七番勝負がありますが。
「引き続き、2日制の感覚を引き継いで、ということにはできますので。今回の王将戦は、結果は残念ではありましたが、また名人戦で対局できますので、そちらも集中したいなと思っています」

―― △3四歩に対して準備不足だったというお話しがありました。午前中から時間を使われていましたが、準備不足の影響があったのでしょうか。
「やりたい形がちょっとなかったので。そこは準備不足だったなと思いました」

2025030894図は17時25分頃の局面。
後手の攻めが急所を捉えて、はっきりリードを広げました。藤井王将の防衛が近づいています。

Img_7173 藤井王将がぐいぐいとリードを広げている。

渋沢栄一記念館から徒歩4分ほどの鹿島神社を過ぎて1分ほど歩くと、尾高惇忠の生家があります。惇忠は江戸時代に水戸学に精通し、明治になると富岡製糸場(世界遺産)の初代場長を務めるなど、幅広く活躍した人物です。

Img_20250309141129074 現存する尾高惇忠の生家は、江戸時代後期の建築と推定されています。焼杉の塀や煉瓦造りの倉庫など、モダンな印象を受ける建物です。

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Img_20250309141506959 煉瓦造りの倉庫。

Img_20250309141403188 かまども煉瓦造り。

Img_20250309141948193 広い庭もある。

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2025030881時刻は16時20分を回りました。
図の▲1四歩は、△1四同歩なら端で1歩を入手できるようになるので、そこで▲7五歩△同歩▲7四歩や、▲5五歩△同歩▲2二歩、あるいは▲2三歩と垂らすような手を狙っていく意味があります。先手は現状で2歩を持っていますが、激しく攻めるにはもう1歩欲しいところ、というのが検討陣の見解です。

しかし、この▲1四歩は「入らないだろう」というのが検討陣の見解です。無視して△3六歩と取り込み、▲1三歩成なら△3五銀が絶好で後手よしと見られています。
「藤井王将は、こういう手は逃さないですからね。△3六歩と取り込んだら、じりじりした展開から一転して激しくなると思います」と、現地控室に来訪した勝又清和七段。
これを見た立会人の藤井猛九段は「△3六歩と取り込んだら、和服に着替えにいくか」と、気持ちを引き締めていました。

Img_7174 藤井王将が差をつけるチャンスを迎えていると見られている。

【追記】
16時30分過ぎ、藤井王将は11分の少考で図から△3六歩と取り込みました。いよいよ激しい展開に入りそうです。

渋沢栄一記念館から徒歩4分ほどの鹿島神社を1日目に散策しました。
鹿島神社には、渋沢栄一らによって建てられた、尾高惇忠(おだか あつただ、または、おだか じゅんちゅうとも)の業績を伝える「藍香尾高翁頌徳碑(深谷市有形文化財)」が建っています。尾高惇忠は渋沢栄一の年上のいとこで、学問の師に当たる人物でもあります。

Img_6917 鹿島神社の参道。

Img_6919 鹿島神社の案内。

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Img_6940_2 藍香尾高翁頌徳碑(深谷市有形文化財)。

Img_6930 神楽殿。

Img_6943 境内は広々としている。

Img_6926紅梅は盛りを過ぎた頃。

Img_6934 入れ替わりで、これは河津桜だろうか。咲き始めていた。

2025030874時刻は15時半を回りました。
△4五歩までの消費時間は▲永瀬6時間25分、△藤井6時間24分(持ち時間は各8時間)
2日目に入って、永瀬九段は駒を引いて耐えながら陣形を立て直して反撃の機会をうかがっています。先手番として消極的な展開といえますが、藤井王将の用意の作戦に対抗するには、先手番でも辛抱するしかないと見ているのかもしれません。

Img_7150 永瀬九段は駒を引いて勝負を急がない。