第65期王将戦七番勝負第5局
前夜祭(5)
前夜祭(4)
(花束贈呈は地元企業、関西工事代表取締役の久木元悦子さんと、日興油脂代表取締役の内藤吉子さんから)
郷田真隆王将
「こんばんは。まず尼崎市市制100周年、まことにおめでとうございます。私は尼崎は初めてで、王将戦開催も初めてということでどういう感じかなと思ってきたのですが、こうしてたくさんの方がお見えになって、非常にうれしく思っております。先ほど渡会さんから17日が誕生日だとおっしゃっていただきましたが、完全に忘れておりました。35歳くらいからカウントするのを放棄しておりまして、そんな年になったのかと思いますが、盤上は若々しくと思っています。ただ最近、ご縁を大事にしようと思うようになりまして、明日からこの尼崎市で、100周年という記念する年に対局をさせていただけることは自分にとってうれしいことです。また今日はこども王将戦を見せていただきまして、こどもがたくさん来てくれたこともうれしく思いました。王将戦は将棋界では伝統のある棋戦で数多くの先輩方が熱い戦いを作ってこられました。第5局は先輩方が築いた歴史、尼崎の記念にふさわしい対局になるように自分なりにベストを尽くしていきたいと思っております」
羽生善治名人
「こんばんは。第65期王将戦七番勝負第5局の前夜祭をこのように盛大に温かく開催していただきましてまことにありがとうございます。私は尼崎に来るのはたぶん2回目で、最初に来たのは20年以上前にスパゲティを食べにきたのですが、今回は王将戦という檜舞台、晴れ舞台で来ることができ、うれしく思います。市制100周年まことにおめでとうございます。実行委員会の皆様が以前からご尽力いただきまして、とてもありがたく思っております。明日から七番勝負の第5局で天王山になります。明日は日曜日ですし、注目される一局になるのではないかと思っております。そういった舞台は全て皆さんに整えていただきましたので、私自身は力いっぱい指して、喜んでいただけるような将棋が指せればいいなと思っています」
乾杯の発声 宮崎文雄 尼崎市制100周年記念王将戦実行委員会・委員長
「何分初めてのことですので、実行委員会の皆さんにはご苦労をかけたのだと思います。スポーツニッポン新聞社の大変適切なご指導のもと、実行委員会の皆さんが役割分担をして本日を迎えることができました。私は名前だけの委員長で、7年前に先ほどあいさつしました福田さんを中心に尼崎将棋普及実行委員会というのが立ち上がっています。7年前に将棋大会を開催しまして、それから地道にコツコツと普及活動、特にこども将棋に力を尽くしてまいりました。そのときはこんなよき日、タイトル戦が来るとは思いもよりませんでした。夢のような話です。先日は第1局の前夜祭に行ってまいりまして、郷田王将、羽生名人にぜひ尼崎の対局に来てくださいと厚かましいお願いをいたしておりました。今日再びお会いすることができてうれしく思います」
(乾杯)
前夜祭(3)
谷川浩司 日本将棋連盟会長
「こんばんは。第65期王将戦七番勝負第5局の前夜祭にお越しいただきありがとうございます。厚く御礼申し上げます。まず尼崎市制100周年、まことにおめでとうございます。尼崎で王将戦が行われるのは初めてということですが、隣のアルカイックホールで、将棋ファンでもあります指揮者の小林研一郎先生のコンサートが行われ、聴きにきたことがあります。最近では尼崎城というのがあって、それを再建しようとする動きがあるそうです。私自身は尼崎は文化の香りがする街だと思っています。
尼崎は市外局番が(大阪市と同じ)『06』なので大阪府だと思っている方も多いみたいですが、実際はれっきとした兵庫県でありまして、私も兵庫県民ですので地元で王将戦が行われることをうれしく思っております。また、個人的なことなのですがこちらの都ホテルニューアルカイックには縁があり、今日もこちらに来るときに21年前のことを思い出しておりました。当時、羽生さんと王将戦を戦っておりまして、1月17日に阪神淡路大震災があり、その2日後に妻と車で大阪に出てきました。なんとか神戸を出て、初めて温かい食事を食べたのがこのホテルでした。感慨のある場所になります。
王将戦は名人戦に続く歴史のあるタイトル戦で、これまでも陣屋事件などいろいろなドラマが生まれております。今回の七番勝負はここまで2勝2敗で、第4局のあと3週間ほど空きまして、ここから改めて三番勝負と気持ちを新たにしていると思います。ぜひ残り3局、おふたりには全力を出し切って王将戦に新たな歴史を刻んでいただければと思っています」
稲村和美 尼崎市長
「こんばんは。尼崎市長の稲村でございます。本日はこのように大勢の皆様に尼崎市で前夜祭を楽しんでいただけるということで、うれしく、光栄に思っております。地元を代表しまして御礼を申し上げます。告白いたしますと私、将棋は全然経験がございません。いわゆる『ひょこまわり』(まわり将棋)をこどもとやるくらいしかわからないのですが、この王将戦を尼崎でという話を聞いたとき、『どちらかが4連勝しはったら5局目というのはこども将棋大会がメインになるんですよ』というのを伺いました。さてどうなることかなと素人ながらドキドキしていました。しかしやはり、さすがですね。市制100周年を迎える尼崎の将棋ファン、王将戦を通じて新しい尼崎市のイメージや魅力を感じてくださる皆様に、最高の形で第5局を持ってきてくださったことに御礼を申し上げなければなりません。ありがとうございます。明日は皆さんの期待を裏切らない熱戦が繰り広げられると思っていますが、私としましては将棋の魅力が伝わればと思っています。尼崎は産業都市としてのイメージが強いと思いますが、産業界・経済界の皆様にも支えていただいてこどもたちの大会をずっと中小企業センターで実施してくださるなど、地道な積み重ねが今日のこの日につながっていると思います。芸術、文化、そしてスポーツも、する人、見る人、支える人、多くの力が合わさって素晴らしい力になるということを今日、肌で改めて感じております。こういった皆様の力をいただきながら、尼崎は次の100年に向けて、次の未来の世代に、しっかりと引き継げるように一歩踏み出したいと気持ちを新たにしました」
(関係者紹介。右手前から郷田真隆王将、羽生善治名人、立会人・淡路仁茂九段、副立会人・稲葉陽八段、記録係・冨田誠也三段)
前夜祭(2)
福田勝 尼崎市市制100周年記念王将戦実行委員会・副委員長
「こんばんは。本日はこのようにたくさんの方々にご参加いただきまして、ありがとうございます。厚く御礼申し上げます。ちょうど1年ほど前に、親しくさせていただいております棋士の方から『来年は市制100周年記念と伺っております。それを記念してタイトル戦開催を考えてみませんか』とお話をいただきました。早速仲間に話してみますと、『市のお祝いだからぜひやりましょう』ということでトントン拍子に話が進みました。将棋は伝統文化の雄であると考えております。この王将戦を歴史と伝統の町、尼崎市の地において開催させていただくことは、この上なくうれしい限りでございます。王将と名人の対局、これほどドキドキワクワクする対局はありません。本当にドキドキしております。それではただいまより第65期王将戦七番勝負第5局の前夜祭を開催いたします」
渡会文化 毎日新聞社常務取締役大阪本社代表
「こんばんは。本日は第65期王将戦第5局にこんなにたくさんお越しいただきまして、ありがとうございます。今回の王将戦は郷田真隆王将に羽生善治名人が挑戦する、全国の将棋ファンが胸を躍らせるぜいたくな対局が実現いたしました。しかも、ファンの期待に応えてくれましてこれまで4戦して2勝2敗、手に汗握る展開になっています。明日からの尼崎決戦でどちらが先に王手をかけるでしょうか。
郷田王将は17日に誕生日を迎えられます。45歳です。羽生名人も45歳で、同じ学年のライバルです。最近若手が台頭していますが、まだまだ40代も負けないぞと思っておられることと思います。郷田王将はこれまでもたくさんタイトルを持っておられたのですが、なぜか防衛にうまくいかなくて、この王将戦で初めてタイトルの防衛、あと2勝ですからがんばっていらっしゃると思います。
羽生名人と言えば永世名人、永世王将など数々のタイトルを持っておられます。王将は勝てば7期ぶり。本当に明日は楽しみです。尼崎の王将戦は初めてで、市制100周年ということで市民による実行委員会まで作っていただいた熱意に脱帽いたします。この王将戦の開催が、新しい尼崎を全国にPRとなればと思います。尼崎でまさか、冒頭にプッチーニで迎えられるとは思わなかったです。これから尼崎もイメージチェンジしようとしていると思います。それにはまず自分たちが尼崎を愛しようということで『あまらぶ大作戦』というのをやっているそうです。この王将戦の開催が、文化・芸術都市としての尼崎を全国にPRできると思っております」
石井真人 スポーツニッポン新聞社取締役大阪本社代表
「あいさつでこんなことを言おうと書いて持ってきたのですが、渡会さんとほとんどかぶるので、何か違うことをスポーツ紙らしいことを言わないとと思ったのですが、何も浮かばなくて……。
おふたりとも2勝して第5局、見るほうとしては期待する対局となりました。思い返してみますと私は第2局の島根県安来市にもお邪魔しました。そのときは鉄砲隊が並んで、客席に向かって空砲を放つという、こういう出迎えはすごいなと思っていたのですが、今回はすごく高尚に迎えていただきまして、ありがとうございます。私は生のバイオリンを聴くのが久しぶりですが、私も40年以上前にバイオリンを習っていました。バイオリンは弦が4本、E(エー)・A(アー)・D(デー)・G(ゲー)があります。続けて思い出したのが、ボクシングの試合なんです。
皆さん、何を言い出すのだろうとお思いでしょうが、バイオリンの弦は馬のしっぽの毛でできていて、摩擦がないと音が出ないので松やにを塗るんです。あの松やには、ボクシングでも使われているんですね。将棋と全然関係ない話ですが、ボクサーがリングに上がるときに階段の下の箱に足を入れて、キュッキュッキュッとやるのをご存知の方はいらっしゃいますか。あの箱には、松やにを砕いたものが入っているんですね。摩擦係数を上げて、滑らなくすると。バイオリンだとどれくらい松やにが塗れたか確認するために少し弦をはじくのですが、そのときに粉が目に入るとすごく痛いんです。ボクシングでは選手がダウンしてグローブを手につくと、レフェリーがグローブを手に取って自分の服で拭いているのをよく見ると思います。あれもリングについた松やにが相手の目に入ると痛むので、ああやって拭くんです。
全く関係のない話になりましたが、これがスポーツ紙らしいところだと思っていただければと思います。最後になりましたけれども尼崎の市制100周年の実行委員会の皆さん、関係者の皆さんに御礼を申し上げてあいさつと代えさせていただきたいと思います」
前夜祭(1)
盤への揮毫
対局室検分
現地大盤解説会 お知らせ
本局の前夜祭は事前申し込み制で、既に締め切られています。
大盤解説会は下記の通り行われます。こちらは事前申し込み不要なので、お近くの方はぜひお運びください。
日時
2016年3月13日(日)13:00~18:00(受付 12:00)
2016年3月14日(月)10:00~終局まで(受付 9:00)
場所
都ホテルニューアルカイック 2F あやめの間
参加費
小学生以上 2,000円/日 (参加記念品を含む)
解説 稲葉陽八段
聞き手 村田智穂女流二段
定員
先着順100名。定員になり次第終了予定
特別ゲスト解説
内藤國雄九段 ※3月13日(日)15時ごろ予定
第5局は3月13日・14日に尼崎市で対局
皆さんこんにちは。郷田真隆王将に羽生善治名人が挑戦する第65期王将戦七番勝負第5局は3月13日(日)・14日(月)に兵庫県尼崎市「都ホテル ニューアルカイック」にて行われます。
ここまでは2勝2敗のタイ。勝者が第65期王将まであと1勝と迫る対局です。
立会人は淡路仁茂九段、副立会人は稲葉陽八段、記録係は冨田誠也三段(小林健二九段門下)が務めます。
本局の模様は棋譜・コメントを飛龍記者、ブログを翔が担当してお届けします。よろしくお願いいたします。
(都ホテル ニューアルカイックから見える風景)