第62期王将戦七番勝負第5局
方針の難しい局面
図は17時頃の局面。佐藤王将は▲5五角と歩を補充しました。
「先後ともに方針が難しい局面」と控え室の検討陣。「△3五銀を打ったことで、後手玉にすぐに迫る手が難しい。後手からもすぐに動く手は難しい。△4二角と引いておいて、しばらくは間合いの計り合いのような展開になりそうです」と真田七段。
後手からもすぐに動く手が難しいことの例として、現局面から9筋の端攻めを狙う展開を見てみましょう。図から△9六歩▲同歩△9七歩に▲同香△9五歩▲同歩(参考図)と進めば、これは後手が成功しています。
参考図以下、△9七角成で▲同玉は△9五飛が王手角取り、▲同桂は△9六歩が激痛です。
しかし途中の△9七歩に▲8六銀と受けられて、この筋はうまくいかないとのことです。
(17時頃の控え室)
大盤解説会 真田七段の解説
図は16時30分頃の局面。△3五銀までの消費時間は▲佐藤3時間25分、△渡辺2時間16分(持ち時間各8時間)。
真田七段による現局面の解説です。
まず、後手が攻めるためには△7四銀~△7三桂の2手が必要ですが、現局面はそれが間に合っていません。それは先手が2歩損の代償にスピードを付けて攻めているため。先手は後手の右側の銀桂が働く前に攻め続けたい、後手は局面を収めて2歩得を主張したい、そのあたりのせめぎ合いとなっています。
図の△3五銀では、△3三桂も考えられたようですが、将来先手に歩がもう一枚入ると▲2四歩△同歩▲2三歩△同金▲2五歩の攻めが厳しくなります。「桂を跳ねると玉が弱体化するので、渡辺竜王の好む展開ではないかもしれません」と真田七段。
△3五銀に対して先手の候補手は、▲5五角か▲6八角。▲5五角は歩を補充する狙いですが、取った瞬間は角の働きがいまひとつ。さらに△5四歩▲3七角△3三桂から次に△4五桂や△3六銀で角が狙われやすいとのこと。「1歩補充することが非常に大きいと見れば▲5五角とするかもしれません。普通は角が狭く危険なので▲6八角が本線です」と真田七段。
(大盤解説会場で詳しく解説する真田七段)