お~いお茶杯第64期王位戦七番勝負第5局
1日目昼食休憩
1日目午前の控室
師匠の将棋
佐々木七段の師匠である深浦康市九段が王位だった第50期は、木村一基八段の挑戦を受け、3連敗からの4連勝で防衛したシーズンでした。佐々木七段は挑戦者の立場で、3連敗から1勝を返しました。師匠は第5局でどのような将棋を指したのでしょうか。振り返ってみましょう。
戦型は互いの銀が5筋で向かい合う相腰掛銀となりました。先後同型となった上図から▲8八玉△2二玉▲4五歩と進むと、「木村定跡」となります。同じ木村でも、木村定跡は(故)木村義雄十四世名人の名がつく作戦で、先手必勝定跡として有名です。ただ、▲8八玉に△6五歩と先攻されると、先手が思わしくないため、深浦王位は7九玉型のまま▲4五歩と仕掛けます。この仕掛けは(故)升田幸三実力制第四代名人の名を冠して、「升田定跡」といわれています。
1日目は木村八段が攻め、深浦王位が受けに回る展開でした。上図△8五歩で封じ手となりました。2日目は▲7二角と飛車を攻め、今度は深浦王位が反撃に転じます。
攻め合いの2日目、△5八角成に▲4二歩が鋭手でした。この嫌みな歩に木村八段は対応を誤り、先手に形勢の針が振れました。終盤では二枚の飛車を駆使した寄せで勝利し、深浦王位が連勝となりました(ここまで、肩書・段位は対局当時のもの)。
第50期王位戦七番勝負第5局
平成21年 8月20日 於・徳島・徳島市渭水苑
持ち時間 ▲王位 深浦 康市
各8時間 △八段 木村 一基
▲2六歩 △8四歩2▲7六歩1△3二金1
▲7八金 △8五歩4▲7七角 △3四歩
▲8八銀 △4二銀 ▲2二角成△同 金
▲7七銀1△6二銀1▲3八銀 △6四歩1
▲4六歩 △6三銀 ▲4七銀 △9四歩1
▲9六歩 △5二金2▲6八玉1△4一玉1
▲1六歩3△1四歩 ▲5六銀 △3二金1
▲5八金7△5四銀4▲6六歩 △4四歩1
▲3六歩 △7四歩3▲7九玉1△3一玉1
▲3七桂1△7三桂1▲2五歩19△3三銀
▲4五歩1△同 歩 ▲2四歩 △同 歩1
▲1五歩 △同 歩 ▲7五歩 △同 歩1
▲3五歩 △4四銀1▲2四飛4△2三歩1
▲2六飛1△6三金13▲7四歩2△同 金2
▲3四歩 △7六歩11▲同 銀7△8六歩2
▲同 歩3△8八歩2▲同 金70△4九角75
▲6七銀右6△8六飛36▲7七金34△8一飛14
▲8六歩10△7五歩23▲8七銀4△8五歩8
▲7二角46△8四飛42▲3三歩成75△同 銀17
▲4五桂4△8六歩14▲同 銀11△7六歩69
▲同 金19△8二飛11▲3三桂不成46△同 桂13
▲8三銀 △5五桂10▲7七金1△6七桂成6
▲同金上 △7二飛1▲同銀成3△5八角成2
▲4二歩33△4三銀30▲4一歩成22△2二玉3
▲3五桂 △3四銀10▲2四歩1△同 歩1
▲同 飛2△2三歩1▲3四飛 △8七歩4
▲3一銀12△1三玉2▲1四歩 △同 馬
▲2一飛 △8八銀5▲6八玉 △1二香
▲2三桂成4△同 金9▲3三飛成△7七銀成1
▲同 玉1△7六歩5▲8七玉3△6九馬1
▲7八歩1△7七歩成2▲同 金2△5四角1
▲7六桂1△───1
まで、125手で深浦康市王位の勝ち
(消費時間=▲7時間43分、△7時間55分)