19時20分頃の局面。木村八段が時間を使っています。
当初はここで▲２二角の直接手でも先手良しと見られていました。しかし▲２二角△同金▲同歩成△同飛▲同飛成△同玉▲２四歩には△２九飛から粘る筋があり、先手玉は▲８八玉と上がっても△８六歩と取り込まれると危険な形。この変化は優劣不明とされました。

そこで新たに示されたのが▲４二歩と垂らす筋です。黙っていれば次に▲２二角と打つ狙い。△３五銀と飛車取りに来る手には▲２二歩成△同金▲３二歩△同金▲４一歩成△同玉▲２一飛成で先手勝勢です。他に△８六歩には▲８三歩△同飛▲６一角で、これも先手勝勢です。検討陣は「▲４二歩に粘るなら△同飛しかなさそう」と見ています。

（八雲）

（▲佐藤康－△千田戦が終局した直後の対局室。対局を終えた二人はすぐに別室に移動した。隣では▲木村－△広瀬戦が続いている。他局の結果ですでに優勝が決まっている広瀬八段だが、その事実は知っているだろうか）
（文）

（感想戦の様子）

（松尾七段は３勝２敗でフィニッシュ。残留には届かず）

（伊奈六段はリーグ全敗。苦い結果になった）
（文）

▲佐藤康－△千田戦は佐藤康九段が勝ちました。投了図以下、（１）△１三同香は▲２五桂△２二玉▲３三金△同金▲同桂成△同玉▲２五桂以下の詰み。（２）△５二金は▲３一馬で一手一手の寄り。終局時刻は19時６分。この結果、佐藤康九段と菅井六段が４勝１敗で並び、両者によるプレーオフが行われます。
（文）

先手：伊奈祐介六段
後手：松尾歩七段
▲２六歩 △３四歩 ▲７六歩 △８四歩 ▲２五歩 △８五歩
▲７八金 △３二金 ▲２四歩 △同　歩 ▲同　飛 △８六歩
▲同　歩 △同　飛 ▲５八玉 △８四飛 ▲２五飛 △８二飛
▲８七歩 △６二銀 ▲２四飛 △４一玉 ▲３八金 △５四歩
▲３四飛 △５五歩 ▲２四飛 △２三歩 ▲２六飛 △５三銀
▲４八銀 △４二銀上 ▲６八銀 △７四歩 ▲６六歩 △７五歩
▲同　歩 △６四銀 ▲７四歩 △８四飛 ▲６七銀 △４四角
▲３六飛 △５六歩 ▲６五歩 △８八角成 ▲同　金 △４四角
▲７七角 △同角成 ▲同　桂 △７五銀 ▲６四歩 △９四角
▲５六飛 △７四飛 ▲９六角 △７六銀 ▲同　銀 △同　飛
▲６三角成 △５二銀 ▲８五銀 △５六飛 ▲同　歩 △６三銀
▲同歩成 △６六歩 ▲６八歩 △８五角 ▲同　桂 △７六角
▲５七玉 △８五角 ▲５二銀 △３一玉 ▲４一飛 △２二玉
▲２四歩 △５八飛 ▲４六玉 △３四桂 ▲５五玉 △５四歩
▲６四玉 △５六飛成 ▲２三歩成 △同　玉 ▲２一飛成 △２二歩
▲７五玉 △７四銀（投了図）
まで92手で松尾七段の勝ち
消費時間　▲伊奈３時間42分　△松尾３時間43分

▲伊奈－△松尾戦は松尾七段が勝ちました。投了図以下は▲８六玉△６七歩成▲９五玉で詰みはありませんが、後手玉も詰まないので△７六竜で一手一手の寄りです。終局時刻は18時54分。すでに菅井六段が勝っているため、松尾七段の残留の目はなし。３勝２敗でのリーグ陥落が決まっています。
（文）

図は18時55分頃の局面。次の▲３四飛の十字飛車の狙いが厳しく控室は先手持ちの意見が多数を占めています。広瀬八段は他の結果によりすでに紅組優勝が決まっていますが、決定戦を考えればリーグ最終局は勝って終わりたいところでしょう。踏ん張りどころです。消費時間は▲木村２時間51分、△広瀬２時間53分。

（八雲）