【藤井王位の談話】
――千日手局を振り返っていかがでしたか。
「▲5八玉(47手目)と立たれたところで、手が広いかなと感じたのですけれど。それほど、しっくりくる手がなかったので。本譜だと、バランスが取れているかどうか、きわどいところかなと思いながらやっていました」
――千日手になって手番が変わったことはいかがでしたか。
「後手番ですので、千日手という結果自体は悪くはないのかなと思っていました」
――指し直し局について伺います。中盤の△4七歩(54手目)に▲2四歩と攻め合う展開になりました。ここから非常に激しい戦いになりましたが、中盤戦はどのようにご覧になっていましたか。
「そのちょっと手前、△5四角(50手目)と打たれたところで、単に▲2四歩(△同歩に▲2五歩)と継ぎ歩をやるか、▲5六銀(本譜)とぶつけるか迷ってはいたのですけど。どちらも、あまり自信があるという感じではなかったので。形勢自体はあまりうまくいっていないのかなと思っていました」
――中盤以降の攻め合いはどのように見ていましたか。
「▲4三銀(63手目)自体はちょっと足りない可能性が高いような気もしたのですが。ただ、▲7六銀とか引いても、ちょっと自信が持てない可能性が高い気がしたので。進んでみると自信のない局面になってしまっていたのかなと思っていました」
――△2五歩(72手目)に▲同桂△2七歩▲3三桂成と、この辺りから攻めていく展開になりました。この辺りの形勢判断はいかがでしたか。
「もう最終盤といっていい局面なので。▲2七飛(77手目)と取った局面がどうなっているか、かなとは思っていました」
――△6六角(82手目)に▲7七歩と受けた最終盤はどのようにご覧になっていましたか。
「▲7七歩のあと、△9六桂を利かされて、その後、上を目指されて来られるような手もありそうなので、はっきりとはわかっていなかったのですけど。ただ、こちらの玉が何か受けがありそうな形なので。そういう順を見つけられれば指しやすい可能性はあるかなと思っていました」
――激戦となった第1局を改めて振り返っていただけますか。
「△5四角(50手目)と打たれたところは、何か手があるかなというつもりでやっていたのですけれど。それが思ったよりも難しい気がしたので。形勢判断の難しい将棋だったのかなと思います」
――次局に向けて一言お願いいたします。
「10日後ぐらいですので。それまでにしっかり準備をして、いい状態で対局を迎えられるようにしたいと思います」
【永瀬九段の談話】
――千日手局はどのように受け止めていましたか。
「▲5八玉(47手目)で手を渡して、という感じだったのですが。本譜、△6四銀(50手目)のときにどう指していいかわからなかったので。千日手にするつもりはあまりなかったのですけど。ちょっとバランスを崩しやすい将棋なので。互角と思える順が正確に判断できなかったです」
――指し直し局について伺います。△5四角(50手目)と打った辺りの形勢判断はいかがでしたか。
「そうですね、難しいのかなと思っていました」
――△4七歩(54手目)に▲2四歩と攻め合う展開に進み、ここから激しくなりました。中終盤にかけての攻め合いはどのようにご覧になっていましたか。
「判断が難しいですけど、楽しみが少しあるのかなと思いました」
――△2四歩(62手目)と受け、△6七歩成(64手目)と攻めた辺りはどのようにご覧になっていましたか。
「難しいと思ったのですが、△2五歩(72手目)▲同桂に△2四銀が利かないのが、ちょっとすっぽ抜けてしまったので。それが痛かった気がします。▲2五歩(69手目)に対して△4三金(直または右)を指さなければいけなかったかなと思います」
――△2七歩(74手目)以降の最終盤はどのようにご覧になっていましたか。
「全然ダメかと思ったのですけど、難しいんですね。△2五歩(72手目)▲同桂でダメにしてしまったのかと思ったので。粘る順があればと思ったのですけど。手前でもう少し違う順を選びたかったかなという気がします」
――本局、一局を振り返っていかがでしたか。
「難しいのかなと思ったのですが、終盤で、その難しい順を拾い切れなかったのかなと思います」
――次局に向けて一言お願いいたします。
「次も後手番ですけど、しっかり準備をして臨みたいと思います」