2015年7月 7日 (火)

押さえ込みの先手、軽い動きの後手

副立会人の松尾八段にここまでの解説をお願いしました。

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「△3四歩(1図)はやや意外でした。羽生さんは△8四歩が多いので。でも△3四歩もたまに指しますね」

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「横歩取りは後手番が誘導する戦型で、どの形にするか、ある程度選択できます。なので用意の手を出しやすいという面はあります。若手の人が新しい指し方を生み出しているイメージですね」

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△5二玉(3図)はそれまで4一玉型が主流だった横歩取りに新風を起こした手です。昔ながらの中住まいだけでなく、中原囲いなど別の囲い方との組み合わせが新しく、松尾八段はこの指し方で第41回升田幸三賞を受賞しました。「これに対しては▲6八玉、▲5八玉、▲4八銀が対策として多いですね」

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「△7四飛(4図)は水面下で有力視されている手で、先手の居玉+▲3六歩をとがめにいっている感じです。次に△7六飛と走れば△8八角成の先手になります。4図で▲3五歩と飛車の横利きを通す手には、たとえば△2五歩と打ちます、横に逃げると角を打ち込まれる隙が多いですから、▲同飛でしょうか。以下△7六飛で、次に△8八角成~△3三桂と動く手もあって、先手がちょっと怖い感じです。居玉がたたる可能性があると思います。私は▲6八玉と△9四歩の交換がある形ですが、そういう順を公式戦で指しました」

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「先手は銀を繰り出してじわじわ圧力をかけて、押さえ込みを目指します。飛車を圧迫する展開にできればいい感じです。後手は金銀が前に出ていないので、歩で軽く手を作っていくことになりますね。好みの分かれる展開ですが、私は後手のほうが好みです。先手のほうが神経を使うイメージ。あまり堅くないので、一発大振りのパンチが当たってしまうとまずいです」