2015年7月

2015年7月20日 (月)

夕食会の最中に、王位戦を主催する新聞三社連合・藤本裕行記者から、本局の立会人で今春現役を引退した内藤國雄九段にサプライズで記念品が贈られました。

P72005240(内藤九段は王位2期獲得。王位戦とも縁が深い)

P72005360(焼八寸 鱸木の芽香り焼、はじかみ、唐黍冷小鉢)

P72005410(温鉢 茄子オランダ煮、貝柱小金煮)

P72005450_2([御飯 但馬産コシヒカリ、鱧山椒御飯、三つ葉]、[止め椀 合せ味噌仕立て]、[香の物 盛合わせ四種])

P72005470(果物 夏柑ゼリー寄せ、キウイ、ブルーベリー)

18時から両対局者、正副立会人をはじめ関係者一同による夕食会が催されました。

P72004890(乾杯の挨拶は日本将棋連盟理事・井上慶太九段)

以下は出された料理の数々です。

P72004950(旬彩 若鮎のぼり焼き、海老芝煮、蛸柔煮、枝豆塩茹で、彩り添え)

P72004970(造り 鯛重ね造り、鰹藁焼き、しま鯵、あしらい一式)

P72005080(煮物椀 魚そうめん、水前寺海苔、じゅん菜、冬瓜)

P72005210(強肴 黒毛和香草焼き、添え野菜)

P72005180(肉はその場で焼いたアツアツが出された)

16時30分から対局検分が行われました。対局室に入り、照明の明るさや空調に関して確認したり、対局で使う駒を実際に並べて感触を確かめたりします。

P72004240_2(羽生善治王位が駒の感触を確かめる)

P72004301_2(広瀬章人八段)

P72004371_3(中央は立会人の内藤國雄九段、向かって右隣は副立会人の酒井順吉七段)

P72004330_2(内藤九段の「全部並べなくていいの?」の声に思わず微笑む)

P72004440(検分はつつがなく進み、数分で終了した)

羽生善治王位に広瀬章人八段が挑戦する第56期王位戦(主催・新聞三社連合)七番勝負第2局は、7月21・22日(火・水)に神戸市北区の「中の坊瑞苑」にて行われます。主催は神戸新聞社、立会人は内藤國雄九段、副立会人は酒井順吉七段、観戦記担当は原田史郎さん、記録係は大橋貴洸三段(所司和晴七段門下)がそれぞれ務めます。日本将棋連盟モバイルのTwitterアカウントでは、1日目に所司和晴七段、2日目に屋敷伸之九段による解説が行われます。現地大盤解説会はありません。インターネット中継は棋譜・コメント入力を牛蒡記者、ブログを飛龍が担当します。どうぞよろしくお願いいたします。

両対局者はすでに対局場に到着し、この後16時30分から対局検分が予定されています。

【神戸新聞社(神戸新聞NEXT)】

http://www.kobe-np.co.jp/
【神戸市 有馬温泉 中の坊瑞苑 [公式HP]】
http://www.zuien.jp/
【日本将棋連盟モバイル(Twitter)】
https://twitter.com/shogi_mobile

P72004090_3(対局場は「中の坊瑞苑」)

P72004100(中の坊瑞苑外観)

P72004120

2015年7月 9日 (木)

本局の中継の棋譜・コメントを担当した潤です。王位戦第1局は羽生王位の勝利となりました。感想戦では95手目の▲6三角が敗着とされ、代えて▲8五歩△同歩を入れてから▲6三角なら先手優勢とされました。ここでは感想戦で両者が頭を悩ませた変化について、その時の両者の様子を交えながら紹介いたします。

Photo_2図は94手目、羽生王位が△8三同銀と成桂を取った局面。ここから本譜は▲6三角としましたが、感想戦ではその手が敗着とされ、代えて▲8五歩△同歩▲6三角とする順で先手優勢が結論づけられました。以下△8四香のときに、当初は先手よしの変化が出ませんでしたが、本局の立会人である福崎九段が▲7五銀打を指摘。するとこの手があまりにも難解な変化ながら、ひと通り調べられいずれも先手よしと結論づけられました。ところが、羽生王位が、「ちょっとすいません、いいでしょうか」と呟いたひと言をきっかけに、感想戦は思わぬ方向へと進んでいきます。

▲7五銀打に対し羽生王位は△9四香▲8五銀△9八歩成▲8四銀直△8八と(下図)を指摘。一直線の攻め合いですが、この順があまりにも難解だったようで、両者は険しい顔つきで下を向き、しばらくの間固まってしまいました。やがて無言で脳内盤を動かしあったあと、広瀬八段が、「うーん、こっち(先手)足りないですか、駄目ですか」と切り出しました。

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当初の両者の読みは△8八と以下▲8三銀成△7一玉▲8一角成△6二玉▲6三銀△5三玉で後手優勢というもの。そこで▲3四桂と縛っても、△7二桂▲同成銀△8九飛▲6八玉△7九飛成▲5七玉(参考1図)のときに、△6三玉が銀を取りながら5一の飛車で開き王手を掛ける一手となり、王手を受けても△7二金と成銀を取った手が飛車で馬取りとなります。

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ところが広瀬八段の問い掛けに、羽生王位が「まさかとは思うんですけど、不成、不成の筋は……」と呟きました。対して広瀬八段は、「あ、不成。そうか。そうかー」と何かを悟ったかのように返しました。二人が認識し合ったその順とは・・・・・・。

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図(再掲)から▲8三銀不成が羽生王位の「不成」を示した第一弾。△7一玉▲8一角成△6二玉▲6三銀△5三玉▲3四桂△7二桂のときに、▲同銀左不成が「不成」の第二弾。以下△8九飛▲6八玉△7九飛成▲5七玉(参考2図)のときに、7二の桂を銀成でなく銀不成で取った手が燦然と輝いていて、△6三玉とできなくなっています。この変化は95手目で▲8五歩とした変化から23手にも及ぶ順で、もちろんこの順は94手目での変化のひとつに過ぎず、両者が頭を抱え合うのも理解でき、広瀬八段にとってはあまりにも酷な局面だったと言えます。

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羽生王位は参考2図までの進行を確認すると、珍しく、「「駄目だー」と大きな声を出しました。そして、「この将棋はこちらは54手目の△4四銀で、△3四飛として千日手を狙いに行くしかありませんでした」と本局の感想を述べると、広瀬八段は、「▲6三角で▲8五歩とする順は、△同歩▲6三角△8四香のときの具体的な順が分からず断念しました」と返し、感想戦はお開きとなりました。以上、第1局のハイライトでした。

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(感想戦写真 撮影:文記者)