2013年7月30日 (火)

銀捨て

Kifu_77

行方八段は銀を取りにいって先手の攻めを催促した。銀を取らせている間に別方面からの攻めを考えそうな局面だが、羽生王位は▲5四銀!(図)と捨てる強手を放った。「見えていない攻めがあるのだろうか」と、控室では先手の継続手を探している。
実戦は図から△5四同金▲2四香△同歩と進み、そこで羽生王位が手を止めた。指された手は▲6三銀(下図)。後手玉のまわりに目がいっていた検討陣から、ため息が漏れた。

Kifu_81

直線的な寄せを目指した手ではなく、相手の攻め駒に働きかける曲線的な手だ。△8二飛とまわる手が幸便に見えるが、それは▲8三歩△同飛を利かせて飛車の横利きを守りから消したうえで▲5四銀成と金を取る。この手自体はまだ詰めろではないが、後手が銀を渡せば▲3四桂から後手玉は詰み。後手は攻め方を限定されることになる。

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(継ぎ盤で検討する田丸九段と石田四段)

(文)