2012年7月

2012年7月11日 (水)

257

259

271

278

■羽生善治王位
―― まず、指し直し局からお話を聞かせていただきます。序盤の駒組みから仕掛けのあたりはいかがでしたでしょうか。
羽生 穴熊に囲うような感じを目指していたんですが、中途半端な形になってしまったので、作戦負けになってしまったかなと思いました。
―― △8六歩(44手目)から△6五歩と仕掛けられたんですが、それ以降の戦いはいかがだったでしょうか。
羽生 少し模様が悪いので、勝負手気味にいきました。ゆっくりしてるとジリ貧になってしまうので。しょうがないかなと思っていました。
―― どのあたりで優勢を意識されたでしょうか。
羽生 そうですね。△1七歩成(68手目)で。ええ。
―― 続けて千日手局についても聞きたいのですが、序盤の駒組みから相手に仕掛けられたあたり(△3六歩~△3八歩……44~46手目)はいかがだったでしょうか。
羽生 ▲3七桂と跳べると思っていたので、長考して予定変更だったんですが……。いや本譜は少し失敗したと思って、粘りにいくという順でした。千日手ならこっちもしょうがないですね。

287

■藤井 猛九段
―― まず指し直し局のほうからですが、駒組みのあたりはいかがでしたでしょうか。
藤井 作戦の意図はそれなりに通ったとは思うんですけれども、先手番なのであまり待っているわけにもいかず、(後手の仕掛けを)誘ったのがよくなかったという感じですね。角どかす(▲6八角……43手目)タイミングが最悪――△1二香が一番生きちゃう展開にしちゃったので。相手を誘った割には最悪の展開でしたね。軽率でした。ただ、先手番なので待っているわけにもいかないので、あそこは悩みどころでしたね。
―― 続いて千日手局を振り返っていただきたいのですが、序盤の駒組みはいかがでしたでしょうか。
藤井 いやー難しい将棋でしたね。全然わからなかったです。こちらが仕掛けたのも勝負手気味だったんですけども。千日手を打開するには条件が悪すぎるかなと。だからこちらも成算はなかったですね。

290

292001

295

296

(文)

1_67▲6九歩(図)に深浦九段が押し殺したような悲鳴をあげた。ここで△1七歩成が無条件で入るからだ(▲同香は△同香成▲同玉△1九飛で寄り筋)。実戦は△1七歩成▲3九玉△6一竜と進んだ。深浦九段は「すごい手ですね。今までは振り飛車らしく筋よくいった手が裏目に出てしまっていましたが、▲8七角から▲6九歩は、非勢を認めて粘りに出ています」と話す。この底歩は受けの勝負手だ。角を投資して自陣から竜を追い出し、「もう一勝負」のすごみを利かせている。もはや形勢が明確に後手よしであることは疑いない。藤井九段の粘りは実を結ぶだろうか。

20120711_184927

20120711_184931

(文)