図は10時20分頃の局面。羽生二冠が△３二飛と三間飛車に振ったところだ。３筋の歩を伸ばしたからには自然な位置だが、▲６五角が見えている。仮に▲６五角と打てば、後手は△５四角と受ける。以下(1)▲８三角成△２七角成は、３筋の歩が伸びている分後手が得をする。そこで(2)▲５四同角△同歩▲３八金が予想されている手順。先手がただ手損したようだが、５筋の歩が動いたことは、後手にとって将来のキズにつながる可能性もある。角交換型の将棋は、単純な手の損得勘定が通用しないのだ。
すでに局面は定跡を離れ、構想力が問われる将棋になっている。これまで一日目から早い展開が続いていた本シリーズだが、本局はじっくり時間を使い合うことになりそうだ。

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