18時30分からニューウェルシティ出雲で前夜祭が行われました。
(丸山伸一・株式会社報知新聞社 代表取締役社長が主催者あいさつ)
「本日は、第45期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第2局の前夜祭を開催いただきまして、誠にありがとうございます。お集まりの皆さまにおかれましては、お忙しい中、雪で交通機手段ストップする恐れがある中、ご出席いただきましてありがとうございます。女流棋界を盛り上げたいということで、1974年にスタートしました本棋戦もおかげさまで第45期を迎えることができました。これもひとえに将棋ファンの皆さま、将棋に携わる関係者すべての皆さまの厚いご支援の賜物と感謝しております。今期は昨年歴代最多9期連続でタイトルを獲得されて記録を更新された里見香奈女流名人に、リーグ戦を勝ち抜いてこられた伊藤沙恵女流二段による2連連続の対決となりました。一週間前の20日(日)に神奈川県箱根町の岡田美術館で行われた第1局では、里見女流名人が先勝し、10連覇に好スタートを切りました。出雲市は里見さんの故郷でもあります。出雲市での開催は2011年の第37期から数えて今年で9年目となります。里見女流名人の応援を背に連勝し、1990年に林葉直子女流王将が成し遂げた『女流棋戦10連覇』の偉業に28年ぶりに並ぶべく王手をかけるのか、あるいは熾烈なリーグ戦を勝ち抜いて2年連続の挑戦者となられた伊藤女流二段が、ここで巻き返すのか。五番勝負の行方を占う重要な第2局が、手に汗を握る熱戦になることを期待しております」
(佐藤康光・日本将棋連盟会長のあいさつを代読する畠山鎮七段)
◆佐藤康光・公益社団法人日本将棋連盟会長(代読:畠山鎮七段)◆
「本日は第45期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負第2局の前夜祭に多くの方々にお越しいただき、誠にありがとうございます。今期の女流名人戦は、10連覇を目指す里見香奈女流名人と、10人のリーグを勝ち抜き、連続挑戦を決めた伊藤沙恵女流二段という、昨年に続いての対決となりました。里見女流名人の第一人者としての活躍は言うまでもありませんが、伊藤女流二段の充実ぶりにも目を見張るものがあります。箱根町の岡田美術館での第1局は、里見女流名人の中飛車、伊藤女流二段の独特の構えから、仕掛け近辺の細かい折衝が続いた神経戦でしたが、里見女流名人が先勝しました。明日からの第2局は、里見女流名人が連勝か、伊藤女流二段がタイに追いつくか、という大きな一局になります。皆さまにはどのような勝負になるか、ご注目いただければと思います」
「本日は、多くの皆さまがご出席のもと、盛大に前夜祭が開催できますことを心からお礼申し上げたいと思います。そして、この女流名人戦が開催できますのも、多くの皆さまのご支援の賜物でございます。平成22年の3月に里見さんが初めてタイトルを取りまして、当時は『女流名人位戦』でございましたが、その就位式が明治記念館(東京都港区)でありました。私はその前年に市長になり、初めて出席したときに、あいさつで『里見さんが、このタイトルを持ち続けている限り、必ず出雲の地でタイトル戦を続けます』と宣言してから、早いもので今年が9回目になります。こうして毎年続けて元気な里見さんをお迎えできるのは大変幸せなことですが、皆さまお気づきのように、まさか松葉杖でいらっしゃるとは。先ほど聞いたら、まもなく回復されるようで、早くよくなっていただきたいと思います。伊藤女流二段、昨年に続き、ようこそ出雲にお越しいただきました。アウェーでの戦いというのは、いろいろと思う部分もあると思いますが、昨年経験なさって、この出雲には非常に心の広い人が多く、皆しっかりとあなたを応援し、明日の勝負が歴史に残る素晴らしい対局になることを心から祈念しております。明日は少し天気が荒れそうな予報ですけれども、この寒さを吹き飛ばすような熱戦を期待して、私のあいさつと代えさせていただきます」
(書き起こし=夏芽、写真=吟)
里見香奈女流名人に伊藤沙恵女流二段が挑む第45期岡田美術館杯女流名人戦五番勝負。里見女流名人が先勝して第2局を迎えます。
第2局は1月27日(日)島根県出雲市「出雲文化伝承館 松籟亭」で、9時対局開始。持ち時間は各3時間。第2局の先手番は里見女流名人。
立会人・現地大盤解説は畠山鎮七段、記録係は小高佐季子女流2級、大盤解説の聞き手は和田あき女流初段が務めます。
中継は棋譜コメント入力が夏芽、ブログを吟が担当します。どうぞよろしくお願いいたします。
【主催:報知新聞社】
http://www.hochi.co.jp/hobby/shogi/joryumeijin/
【特別協賛:株式会社ユニバーサルエンターテインメント】
http://www.universal-777.com/corporate/culture/shogi/
【里見女流名人、終局直後のインタビュー】
――序盤はAbemaTVトーナメント決勝と同じ進行でしたが、予想はしていましたか。
「どんな作戦で来られるかわからなかったですが、大まかに考えていた中のひとつでした」
――右桂を活用されたのが前例と違いました。
「力戦の将棋なので一手一手考えていこうと思っていました」
――昼食休憩の局面(49手目▲2六飛)で悩んでいましたね。
「攻めていけるかなと思っていましたが、ちょっと考えがまとまらなくて。本当は攻めていきたかったんですが、わからなかったので本譜を選びました」
――長考して△3二飛(50手目)と回りました。控室では△6五歩や△1五角が検討に挙がっていました。
「本当は△6五歩などで攻めていきたかったんですが、ちょっとあまりいけているかわかりませんでした」
――△3二飛から形勢がよくなったように感じましたが、いかがでしたか。
――「3筋で1歩を切らしてしまっているので、右側(7筋方面)の戦いでリードできればなと思っていました」
――飛車を切ったあたりはいかがでしたか。
「逆に切っていかないとと思っていたので、どうなのかなと」
――形勢を引き寄せたと感じたのはどのあたりですか。
「△5七歩(92手目)~△5八歩成でと金ができたところで、手厚く攻める展開になってよくなったかなと思いました」
――1局を振り返って指し手によどみがないというか、疑問がなかったと見られていましたが。
「そんなに迷いなく指せていたと思います」
――大きな1勝だと思いますが、その点はいかがでしょうか。
「次は先後が決まっていますので、今日の将棋は忘れて次に向けて気持ちを新たに臨みたいと思います」
――足の状態はいかがでしたか。
「皆さんにはご迷惑をお掛けしてしまって。その分、集中して指すことができました。早く治せるように努めたいです」
――第2局は地元の島根県出雲市での対局です。
「本当に楽しみな場所ですし、いいコンディションで出雲に入りたいと思います」
【伊藤女流二段、終局直後のインタビュー】
――序盤は用意の作戦であったと思いますが、勝った将棋に変化を加えました。どんな構想でしたか。
「指してみたい形があったので採用しました」
――実際の進行はいかがでしたか。
「玉が薄いので、その点に気を遣いながらの進行でした。実際は苦労が多くて、あまりうまくいかなかったと思います」
――昼食休憩を挟んで長考されて△3二飛でしたが、印象はいかがでしたか。
「玉の堅さが違うので、さばき合いになってしまうと形勢があまりよくないと思っていました」
――1局を通じてどんな将棋でしたか。
「指してみたい形を採用しましたが、苦労の多い展開でした。うまくさばかれてしまって。さばかれるかどうかという将棋でもあるので、そのあたりで形勢が離れたのかなと思います」
――第2局に向けて。
「毎局、全力を尽くすだけなので、次局も集中して指せればと思います」
(琵琶)