オンライン解説会に出演
終局直後のインタビューを終えたあと、両者はYouTubeで中継されていたオンライン解説会に出演しました。映像は後日でも視聴が可能です。
(紋蛇)
終局直後のインタビューを終えたあと、両者はYouTubeで中継されていたオンライン解説会に出演しました。映像は後日でも視聴が可能です。
(紋蛇)
【西山女王・女流王将の談話】
――お疲れさまでした。本局は後手番でした。序盤はいかがでしたか。
西山 複雑な局面になって、昼食休憩のあたりは模様が悪いのかなと自信はなかったのです。
――伊藤女流名人に▲5六歩(39手目)から▲4五歩(43手目)と先攻されました。どういう感触でしたか。
西山 1回は収まるのかなと思っていたんですけど。やっぱり模様が悪いのかなと思っていました。
――(47手目)▲2六飛で昼食休憩に入り、盤の前でかなり考えていらっしゃいました。
西山 △5七歩成以外にもう少し手段があるのかなと思っていたんですけど、思っていたより思わしい手がなかったです。
――模様がよくなったと思った局面はどこですか。
西山 攻めが細くて、ずっと難解だと思っていました。△6五歩(72手目)と打ったところで、少し美濃の堅さが生きる展開になったかなと思いました。
――勝ちを確信したところは。
西山 △5四金打(104手目)で勝ちになっているかなと思いました。
――全体を振り返ってどうですか。
西山 押さえ込まれる展開で、網が破れるかなというところでした。ずっと難解だと思っていました。自信のない時間が長かったので、しっかり反省したいと思います。
――次戦以降の抱負をお願いします。
西山 次は手番が決まっています。すぐに次局があるので、しっかり準備して臨みたいと思います。
【伊藤沙恵女流名人の談話】
――序盤の作戦はいかがでしょうか。
伊藤 先手番だったら押さえ込みの予定でした。
――▲4六金左(55手目)のあたりはいかがでしょうか。
伊藤 △6二角(54手目)はあまり考えていなくて。▲4六金左は押さえ込みの方針なので、そういう感じにしたかったんですけど、ちょっと苦し紛れというか。もうちょっといい手段があったかもしれないです。角同士がぶつかる形になってしまったので、苦し紛れの感じです。
――どこで苦しくなったと思ったか?
伊藤 ちょこちょこ見落としがあって、角を成りこまれてからも受けがあるんじゃないかなと思ったんですけど、思わしい受けが見えなくて。やっぱり美濃囲いが堅いので、うまい具合に右辺に逃げられればと思ったんですけど、その順が見えなくて、思っていたより厳しいのかなという感じでしたかね。
――一局を振り返って。
伊藤 押さえ込めるかどうかが大きなポイントで、その網が破れてしまった形でした。何か手段があったんじゃないかと思ったんですけど、どこかで▲2四歩を突き捨てるとか。タイミングが難しいですが、そういう手をもっと掘り下げて考えなくてはいけなかったかなと思いますね。
――西山女王・女流王将とタイトル戦の舞台で1局戦ってみて、改めてどういう印象ですか。
伊藤 攻めに特徴があって武器とされているので、本局はそれを封じ込めたかったんですけど、うまくいかなかったので反省点の多い一局となりました。
――次戦以降の抱負をお願いします。
伊藤 気持ちを切り替えて、一生懸命頑張りたいと思います。
(紋蛇)
第1局は17時16分、110手で西山女王・女流王将が勝ちました。消費時間は、▲伊藤2時間59分、△西山2時間38分(持ち時間は各3時間)。第2局は1月22日(日)に島根県出雲市「出雲文化伝承館 松籟亭」で行われます。
(牛蒡)
西山女王・女流王将戦が順調に優位を拡大しています。図は5二の金を6三に上がったところで、後の▲7四桂を受けて手堅いです。
(紋蛇)
図は▲4四歩と取り込んだところ。ここから西山女王がうまくさばきます。まずは△6二角▲4六金左△4一飛です。▲3五金と歩を守ると、△5三金から△4四金で突破されます。実戦は▲3五歩としましたが、△4四角▲同角△同飛と角交換に成功しました。以下▲2二角△3三角▲3一角成の進行です。
▲3一角成は角交換を避けながら△7五銀を防いだ手ですが、西山女王・女流王将は△4六飛!と豪快に飛車を切っています。▲4六同飛は△5五銀、▲4六同金は△9九角成で攻めをつなぐのでしょう。
西山女王・女流王将の攻め、伊藤女流名人の受けと構図がはっきりしてきました。西山女王・女流王将の踏み込みは、自信を感じさせます。
(紋蛇)
箱根町(はこねまち)は神奈川県西部の町で、箱根峠の東側に位置します。箱根山から温泉が湧出し、古くより湯治場として温泉郷が形成されました。箱根温泉はリゾート地、観光地として人気が高く、数多くのホテルや旅館、美術館が営業しています。
岡田美術館は2013年に開館し、本棋戦を特別協賛する株式会社ユニバーサルエンターテインメントが運営しています。その広さは展示面積は約5,000m2にも及び、東洋の美術品が展示されています。
現在は展覧会「若冲と一村 時を超えてつながる」(2022年12月25日~2023年6月4日)が開催中です。伊藤若冲と田中一村は、これまでに開催された展覧会でも人気を博しています。
昨日、両対局者は小林忠・岡田美術館館長の案内で美術館内を鑑賞しました。
(ふたりが見ているのは、福井江太郎氏の「風・刻(かぜ・とき)」。俵屋宗達の国宝「風神雷神図屏風」(京都・建仁寺蔵)を、縦12メートル、横30メートルにも及ぶ巨大なスケールで描いた。足湯カフェから楽しむことができる、目玉のひとつ)
(本日の午前中に塚田九段、高見七段、中村真女流三段は改めて、スタッフの案内で館内を回った)
【岡田美術館 OKADA MUSEUM OF ART】
http://www.okada-museum.com
【開催中の展覧会】
https://www.okada-museum.com/exhibition/
(紋蛇)