2014年2月

2014年2月28日 (金)

Bm003

Bm012 (3勝目を挙げた渡辺明王将。防衛まであと1勝とした)

【渡辺王将インタビュー】

――角換わりは予定でしょうか

(2手目が)△8四歩ならと思っていました。

――前例のある進行でしたが

▲3五歩(59手目)でどうなるかとやってみたかった。

――直後の△4五銀直は予想していましたか

ばらして銀(64手目△6九銀)は一番普通かと思いました。

――封じ手の局面はどうでしょうか

手が広い局面なので、見通しは立っていませんでした。

――79手目▲1一銀の局面はどうでしょうか

角損の攻めなので、ちょっとわかりませんでしたが、ほかに手もないと思ったので。

――よくなったと思ったところは

▲6九金(95手目)のあたりですかね。

――この一局を振り返って

いろんな手があったので△8六歩(68手目)のあたりは正しく指せたかどうか。

――これで3勝になりました

もう終盤戦なので悔いの残らないようにしたいです。

Bm028 (敗れた羽生善治三冠。先手番となる第6局で追いつけるか)

【羽生三冠インタビュー】

――前例のある進行でしたが▲3五歩は予想していましたか

▲3五歩の応接はちょっとわからなかったですね。

――戦いが始まったあたりの成算は

攻め合いもどうかと思いましたが、代わる手もなかったのでやってみましたが、▲1一銀の反動も厳しかったですね。もう悪いのかもしれない。何かあったかもしれませんが、今すぐにはわかりません。

――終盤戦はいかがでしたか

難しいところもあったかもしれませんが、足りない感じはありました。

140227107第63期王将戦第5局は、107手まで渡辺王将の勝ちとなりました。終局は17時42分、消費時間は▲渡辺7時間31分、△羽生7時間11分。
勝った渡辺王将はシリーズ3勝目を挙げ、防衛まであと1勝に迫りました。

0509990手目△7八銀打以降、先手玉には常に詰めろがかかっていましたが、▲1八飛(詰めろ逃れの王手)でそれも途切れそうです。実戦は△1七歩で飛車の横利きを変えにいきましたが、歩の裏から▲1六香が厳しそう。後手は指し手が難しくなってきました。

0509090手目△7八銀打まで。この2枚銀の連携が後手の工夫で、△7八銀打に代えて△6九角は▲1二歩成△同飛▲同と△同玉▲1九飛が王手角取りになります。

先手は図から▲1二歩成△同飛▲同と△同玉(参考1図)まで進めた局面が問題です。

05090s1_2参考1図から(1)▲1八飛は攻防手ですが、△1三歩(△1七歩は▲1六香)▲5二竜△2二歩▲2三銀△同玉▲2九香△2四銀(後手は歩切れ)▲同香△同玉▲1五銀△3五玉(△2三玉は▲2八飛)▲2六金△4五玉(参考2図)と逃げられてしまいます。この変化は6三桂や4六金が受けに利きます。

05090s2_3よって参考1図では(2)▲7九香(参考3図)が冷静な手で、△6九角は▲1二歩成から清算して▲1九飛の王手角取り。また▲7九香に△同銀成は▲同玉で詰めろがかかりにくい形になります。

控室の総意は「▲7九香で先手よし」。両者とも全力で走り続けた結果、依然として先手がリードを保っているようです。

05090s3_2

Bk011 (糖分を補給しつつ検討を深める)

05084s_2△1二歩と打って図の局面。ここ数手の後手の受けは最善との評判です。先手の寄せも検討陣が見込んだほど簡単ではないようです。

一例として、▲1三歩△同玉▲1四歩△同玉▲2六銀は詰めろで上部脱出も防げますが、△1三玉(参考図)の形がまた粘り強く、一気に寄せる順はなさそうです。また先手玉も意外に危ないとわかりました。駒を渡す場合は、歩の枚数まで気をつかう必要があります。

勝又六段「意外に難しいので驚きました。高見君に何度もトン死筋をくらわされています」

深浦九段「▲5三飛成で中央の駒(4六金や4四香)がすべて空振りになりそうですが、これで難しいとはすごいですね」

Bh005 (モニター映像)

高見泰地四段が控室を訪れました。勝又六段にとっては、石田和雄九段門下の弟弟子です。後手番で苦しい受けを考え続けていた勝又六段は、すかさず継ぎ盤の先手側に移動。「これを受けてよ」と後手番を譲りました。高見四段は早速、新たな受けのアイデアを提示しています。煮詰まっていた検討が動き始めました。

Bg006

Bg023 (高見四段)

Bg024 (まずは81手目▲3一銀の対処。角銀を投入して受けるのはどうか)