先後同型に近い形から戦いが始まりました。羽生王座は待ちの姿勢で指すこともできましたが、それをよしとせず、△6五歩(38手目)と積極的に動いていきました。形勢は難しいと思います。
中村六段は中央に玉を置き、バランス重視の構えです。先ほど▲7七桂(47手目)が指されましたが、これは中村六段が好きな手に見えます。後手の6五桂が性能のいい駒なので、8九桂と交換しようとしています。
通常であれば先手の左桂は守り駒なので、8九に置いておくだけでも価値があるのですが、本譜の先手は玉を左に囲うつもりがないので、左桂も攻めに使おうということです。非常に積極的です。
本局は盤上のすべての駒に働きがあり、すべてのマス目を使う将棋になっています。これから面白い中終盤が見られるのではないかと思います。
(以上、飯塚七段の解説)