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第62期王座戦五番勝負第2局

2014年9月18日 (木)

強羅公園

強羅公園は強羅駅から徒歩数分、坂を登って行くと入口が見える。1914年(大正3年)に開園した日本初のフランス式整型庭園だ。フランス式整型庭園とは、平坦で広大な敷地に左右対称・幾何学的に池などを配置することが特徴の庭園。強羅公園は土地の特性上、傾斜面に作られている。さまざまな植物があり季節ごとに違った景色が楽しめるほか、ガラス工芸などの体験施設も充実している。

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大涌谷

約3000年前、箱根火山で起きた水蒸気爆発によって山崩れが起き、堆積物が地表を覆った。約2900年前には火砕流が発生して冠ヶ岳ができ、火山砕屑物が積もった。この2つの間にできた谷が、現在の大涌谷である。かつては「大地獄」と呼ばれていたが、のちに「大涌谷」に改称された。
ここでの名物は「黒たまご」という、地熱を利用したゆで卵。温泉に含まれる硫黄が鉄分と反応して黒い硫化鉄になり、それが卵の殻に付着するので表面が黒くなる。ひとつ食べると寿命が7年延びると言われる名物だ。

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8枚と9枚

控室には青野照市九段、河口俊彦七段が訪れている。青野九段は佐藤天七段と検討中。「8枚と9枚だな」と青野九段がつぶやいた。その意は、歩と香以外で働いている駒を数えると、先手8枚、後手9枚ということ。

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先手は敵陣深くにいる銀が働きを失っている。この銀は桂を取ったものだが、一般的には▲8一銀成と成で取り、次に▲9一成銀と香を取れるようにしておくのがよいとされる。だが、7二にいた飛車を追うために不成で入る必要があった。それだけ余裕がなかったということだ。
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ロープウェイに乗って

ケーブルカーに10分ほど乗って早雲山駅に到着。そこから箱根ロープウェイに乗り換えてさらに上を目指す。しばらくすると、黄色い塊が点在し噴煙が立ち昇る山肌が眼下に広がる。

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御歌

今回の対局室は、以前昭和天皇皇后両陛下が宿泊された部屋。昭和天皇は皇太子だったときに岩崎別邸(現在の強羅環翠楼)を訪れたことがあった。時は流れ、箱根を訪れることになった際に岩崎別邸が旅館になっていることを聞き、来ることを決めたという。館内にはそのときに昔を懐かしんで詠んだ歌が飾られている。

「思い出の ふかき山々 さびしげに そばだつ見えて 秋ぞくれゆく」

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控室の検討

Ouza201409180101_6868手目△4五飛の局面。控室では大内九段と佐藤七段が▲4五同飛からの激しい変化を調べていました。以下△同銀▲2四桂△6九銀▲3二桂成
△同金▲2四歩で参考1図。後手は△4九飛が攻防手になります。
しかし、△7八銀成▲同玉△4九飛とすると、▲6二飛△4二歩▲4一馬△3一桂▲4二飛成(参考2図。△同金は▲2三金以下詰み)△6七角▲同金△同歩成▲同玉△5六銀▲同玉△4二飛成▲同馬△6四桂▲6七玉△4二金▲4四飛(参考3図)まで進むと先手よしです。



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Ouza201409180101_sanko7よって、△7八銀成とせず、すぐに△4九飛が勝るようです。以下6二飛△4二歩▲4一馬△3一桂(参考4図)のときに▲4二飛成が利きません(銀を持っていないので△同金で後手玉は詰まない)。参考4図以下▲6八金右△7八銀成▲同金△6七金と進むと千日手の可能性がありました。
実戦は豊島七段が▲4六歩と打ち、△5五飛▲2四桂と進めました。
(銀杏)

おやつ

15時、対局室におやつが運ばれた。羽生王座はプリンとホットコーヒー、豊島七段はチーズケーキとホットレモンティー。
※両対局者と同じメニューを注文し撮影しました。

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ケーブルカーで早雲山へ

強羅からはロープウェイで箱根の山々を移動することができる。まずは強羅駅からケーブルカーを使って早雲山駅へ向かう。ちなみに強羅駅の2番ホームにはスイスから贈られたカウベルがあり、これを鳴らして発車の合図を出していたこともあったという。途中にある公園上駅のすぐそばには箱根美術館があるが、木曜定休日ということで残念ながら中は見られず。

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豊島七段の主張

Ouza201409180101_6565手目▲7三角成まで進みました。昼食休憩時に紹介した参考棋譜の▲森内-△渡辺戦とほぼ同様に進んでいます。この「ほぼ」がくせもので似ているようで全然違うということが将棋にはよく起こります。具体的には▲2四桂が生じているのが▲森内-△渡辺戦との大きな違いであり、豊島七段の主張です。図面を並べますので見比べてみてください。それを知ってなお羽生王座は▲森内-△渡辺戦と同じように進めています。局面に対する自信の表れでしょうか。静かに激しく局面が進みます。
なお、渡辺二冠は日経本社で行われる本局の大盤解説を担当します。
(銀杏)



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対局再開

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