【本局のポイント】
感想戦で渡辺新王座が悔やんだのが図の▲5六歩。
「▲5六歩では先に▲3六歩から打つべきでした。△3五桂がきつかったです。この辺りからおかしくしてしまいました」(渡辺)※棋譜コメントより抜粋
▲3六歩に△5九飛成は▲同角△同竜▲8一飛でこれは先手の攻めが早そう。従って▲3六歩には△1九竜や△8九竜が予想されますが、そこで▲5六歩と受けておけば△3五桂がないぶん本譜より優ったようです。
羽生前王座が悔やんだのが図の局面。
「(図の△3四飛に)▲5六角を打たれて、ちょっとそこでどうやるかわからなくなってしまいました。あの局面が勝負所だった気がします」(終局後のインタビューより抜粋)
感想戦では、本譜に代わる手がはっきりとは示されなかったようですが、図の△3四飛に代えて控室で検討されていた△2四飛も考えられたのかもしれません。あるいは▲5六角と打たれたあとに変化するチャンスがあったのでしょうか。
終盤のポイントは図の局面。本譜の△4九竜に代えて、控室で検討されていた△3九飛成が有力だったようです。
※以下棋譜コメントより抜粋
△3九飛成▲同角△同竜▲6二と△同金▲8一飛で「ここで何かないかと思ったのですが……」と羽生。以下△5九角▲7九玉△3一金▲3四桂△1五角成▲2六金(参考図)で「こうやるしかなかったですか」と羽生。「飛車(8一)がきついのでいいかなと思っていましたが△3一金は考えてなかったです。この辺りは首を差し出している手順です」(渡辺)。
参考図で後手よし、というニュアンスではなかったようですが、難解な勝負が続いたようです。
(八雲)
【渡辺新王座インタビュー】
――1局を振り返っていかがでしたか
「ずっと難しかったと思います。最後までわからなかったですね」
「終盤少し勝ちになったかなというところで、またおかしくなってしまって。最後は1分将棋になって、わけがわからないという感じでやっていました」※感想戦終了後に行われたテレビ局インタビューより一部抜粋
――これで3連勝で王座を奪取されました。シリーズを振り返っていかがでしたか
「そうですね。全体的にうまく指せたかなと。それはよかったと思います」
――これで二冠ということになりましたがご感想は
「初めてのことですから非常に嬉しいです」
【羽生前王座インタビュー】
――1局を振り返っていかがでしたか
「はっきりしない局面がずっと続きました。(73手目)▲5六角を打たれて、ちょっとそこでどうやるかわからなくなってしまいました。あの局面が勝負所だった気がします」
――シリーズを振り返っていかがでしたでしょうか
「結果は残念なんですけど、しょうがないかなという感じでしょうか」
――王座戦の19連覇が止まってしまいましたが、その点については
「いつかは止まることですから、その時が来たのかなと」
(八雲)
渡辺竜王が羽生王座を147手で下し、3連勝で王座を奪取した。投了以下△5四同銀は▲5二飛△5三桂▲6五角打△6四玉▲7四金まで。終局は22時45分、消費時間はともに4時間59分。
両者1分将棋の中、羽生王座が王手を続けています。先手玉に詰みはないものの、△3五飛と金を入手する手もあってまだ難しいところもあるといわれています。
(八雲)
図の▲3六歩を見て「きついな。(後手が)投げてもおかしくない」と木村八段。
控室の検討は手が止まり、モニターを見つめています。
(八雲)
図の局面で渡辺竜王が2分使って残り1分。羽生王座は残り3分。渡辺竜王は57秒まで読まれて▲5九歩と打ちました。
(八雲)
図の局面はTwitter解説で宮田六段が指摘していた順。
【Twitter解説】
宮田敦史>【91手目】△8六歩は▲4四桂△4二玉▲8二飛で後手負けだと思います。
宮田六段は後手負けとの見解。控室はまだ検討が続いています。
羽生王座はここで残り5分まで考えて△8七歩成と成り捨てました。
(八雲)