2026年1月
前夜祭(6)
両対局者は明日の対局に備えて退室。その後は関係棋士が本シリーズを展望しました。
勝又 前期の第5局で初めて藤井王将が後手番で雁木を指して戦法の幅を広げてきたなという印象です。
貞升 戦法の幅が広がったので、今期の王将戦は対策を練るのは大変ではないかと思うのですが。
神谷 明日からの対局に関して言うと、僕の勝手な予想では、永瀬九段は後手番を望んでいるんじゃないかと。藤井王将が後手番でいろいろ指されるようになったんで、何がやってくるか分からないと。だけど、藤井王将が先手のときはほぼ角換わり腰掛け銀ですから、むしろ後手のほうが対策が立てやすいんじゃないかと。
勝又 私も同意見で。後手番の方が対策を練りやすいんですよね。藤井王座はずーっと先手番だと角換わり腰掛け銀を指してきて、5年近く先手番で角換わり以外指してないんです。
ただ、藤井王将の後手番で雁木を指すようになりました。雁木模様の出だしは6局くらい指して全部勝っているんですが、そのうち4局くらいが対永瀬九段戦なんですよ。だから先手のときのほうが、藤井王将が作戦を受けて立つことも考えなきゃいけないし、雁木対策も考えなきゃいけないから、むしろ自分が後手のほうがやりやすいと思っているんじゃないかなと。
貞升 明日は第1局で振り駒が行われます。
勝又 藤井王将が後手で何を指すか、永瀬九段が先行したときに逃げきれるかどうか。永瀬九段って、2025年度は藤井戦が3勝10敗なのに年度間の勝率は7割なんです。藤井王将以外には8割7分くらい勝ってるんですね。
神谷 藤井王将は伊藤匠二冠に敗れたときは五番勝負で1勝2敗で負け越していました。永瀬九段としては、3局目までにリードすることが絶対条件に近いと思うんです。3局目を終えたときに2勝1敗に近づけることを重要視していると思います。
(書き起こし=銀杏)
前夜祭(5)
私は掛川での対局は4回目になります。第1局での開催が多く、掛川にうかがうといよいよ王将戦が始まると、自然に気持ちが引き締まるところがあります。
先ほど掛川こども王将戦を観戦しました。13回を数えて、参加者の皆さんの熱気や真剣に盤に向かう姿勢を見ていると、私もより気持ちが高まるところがありました。
久保田市長のお話しがあったように掛川はお茶のイメージが強いです。今回は抹茶を使ったおやつがパワーアップしているということで私としても楽しみにしています。
2日間高い集中力を保って、最後まで見ごたえのある熱戦を皆さんにお見せできるよう頑張ります。
私は2年連続で王将戦の挑戦者になれました。王将戦の開幕は掛川が定番と思いますが、駅から激烈な歓迎をしていただきして、熱気を感じたときに戻ってこられたのだなと感じました。
掛川対局では、食べたりジュースを飲んだりするのが多いです。キウイと紅ほっぺがとてもおいしいのですが、昨年は飲みすぎてしまってお手洗いの回数が増えてしまったので、対局に集中できるよう適度にいただこうと思います。
王将戦は2日制の対局になります。長丁場の対局になります。藤井王将と前回の対局は11月23日で2カ月近く日が開きました。明日から藤井王将と対局できることを楽しみにしています。
(書き起こし=銀杏)
前夜祭(4)
前夜祭(3)
王将戦が素晴らしいのは新年早々に番勝負が始まることです。将棋界の一年を占う意味もあります。将棋会館に近い鳩森八幡神社に将棋堂があり、大山康晴十五世名人書の大きな将棋の駒が納められています。その駒には王将と書かれています。将棋から王将という言葉を連想される方は多く、王将戦をさらに発展、飛躍させたいと考えています。掛川市では大変長い期間開催していただいております。末永く見守っていただけたらと思います。
所属は振り飛車党でございます。17年連続で掛川が王将戦の対局場となり、うれしく思います。昨年は掛川市で全国将棋サミットを開催できました。将棋の街づくりを全国的に取り組んでいる証だと思います。
PRをさせていただくと、掛川市はお茶の街です。明日の先後は決まっていませんが、初手を指される前にお茶を1杯お願いして、記事には初手は掛川茶だったと書いていただけたらと思います。
(特別協賛社挨拶 鈴木基久・ALSOK株式会社 取締役専務執行役員)
個人的には第7局まで楽しませていただけたらと思います。
ALSOKではお二人にインタビューをしました。二人の思いがあふれた内容となっております。
ALSOKは実社会で堅実な守り、先端技術を活用した攻めのセキュリティーを提供しています。将棋の盤上でもALSOKらしい攻めを意識した堅い守りの戦術を打ち出せないか夢を見ています。完成した暁には藤井王将や永瀬九段にも吟味していただいて王将戦で使っていただけたらと思います。
(書き起こし=銀杏)
前夜祭(2)
前夜祭(1)
記者会見
【藤井王将のインタビュー】
――1年ぶりに掛川に戻られて、先ほど掛川こども王将戦を観戦されました。あらためて掛川の印象をお願いします。
藤井 掛川では王将戦の開幕局を多く開催いただいています。私も掛川にきて、いよいよ王将戦が始まるのだなと気持ちが高まるところがありました。こども大会の見学をさせていただいて、13回目ということで今年は会場が市役所になって、多くの方にお越しいただいて例年以上の活気を感じられました。
――前期に続いて挑戦者は永瀬九段となりました。最近の印象をお聞かせください。
藤井 非常に充実された将棋を指されている印象を強く持っています。永瀬九段は以前は手厚い受けのイメージが強かったと思いますが、最近の将棋を見ると、受けの技術の高さはもちろん、攻めや踏み込みの鋭さが際立っている将棋が多いと感じています。
――明日からの七番勝負ですが、事前インタビューでは面白い将棋を指したい、新しい指し方をしたいと話していました。どのような戦いを見せたいですか。
藤井 永瀬九段と昨年は3つのタイトル戦を戦いました。その経験を生かして戦いたいと考えています。また、王将戦の七番勝負ではいろいろな戦型や指し方を試みることができればと考えています。
――竜王戦の防衛以降、対局が少ない期間が続きました。今年からは叡王戦を戦い、王将戦や朝日杯、棋王戦と過密になります。スケジュールが空いたり詰まったりをどのようにお考えでしょうか。藤井 竜王戦以降はしばらく対局が少ない期間はありましたが、1月からは対局がコンスタントに続きます。実際、対局で考えるのは勉強のためにも非常に価値がある経験だと考えています。それを生かして一局一局臨めたらと思います。また、体調管理にも気をつけたいと思います。
――2022年から王将戦で掛川で戦っておられます。掛川の印象や思い出をお聞かせください。
藤井 掛川での対局を4回目になります。長年対局を開催いただいて、地元の方の熱気を感じています。掛川城の二の丸茶室は落ち着いた雰囲気で集中して対局に臨めています。
――――1年ぶりに掛川に戻られて掛川こども王将戦を観戦されて検分をされました。掛川に戻ってこられての印象をお願いします。
永瀬 掛川での対局は第1局が定番です。昨年も1月のはじめで寒かった印象があります。今年は日差しを感じて、気温も高かったと思うので、例年と違って暖かい環境や状況と感じています。
先ほど、こども大会を観戦しました。私が出たのは20年以上前になります。こども大会は熱気があって見ていて楽しい気持ちになりました。
――明日から藤井王将との対局になります。最近の戦いぶりをどう見ていますか。
永瀬 直前のタイトル戦(竜王戦)も隙がなく防衛された印象があります。ただ、藤井王将が対局されている方は限られていて、調子のよしあしは判断しにくいですが、精度の高い将棋を指されている印象が常にあります。精神的な上下がない方だと思うので、1年を通して安定して対局に臨まれているのかなと思います。
――事前インタビューで七番勝負で拮抗したスコアにしたいと話していました。そのためにどのような戦いにしたいですか。
永瀬 最近少し時間があって、過去の自分の対局を振り返りました。見直したときにチャンスはきていて、それを勝てていたらフルセットになる将棋もあったと思いました。最近、結果を出されている伊藤二冠は、チャンスという局面でしっかりつかみきっています。やはりチャンスを一度逃してしまうとなかなか次がきませんので、そこをつかみきれるかどうかは勝負にとって大きいと思っています。そこが、長年の私の課題ではありますけど、チャンスを作れている回数では結構上位だと思いますので、そこをうまく勝敗に直結できるようにしたいと思っています。
――藤井王将との番勝負は王位戦以来になります。しばらく期間が空いて、ご自身の中でこういうところが進歩したと盤面で見せたいところなどがあれば教えてください。
永瀬 2日制の対局が、王位戦から少し時間が空きます。早指しではJT杯決勝で対局はできたんですけど、私が藤井王将のお顔を拝見するのは2ヶ月近くぶりになります。久しぶりに藤井王将にお会いできたなと思うわけなんですけど、タイトル戦に多く出ていれば藤井王将の顔を見られるのはモチベーションの一つではあります。盤上の方でどう表現していくかというと、難しいところではあるんですけど、最近はここ数年とは違うアプローチというか違う形で勉強に取り組んでいます。時間自体はさほど変わらない気はしますが、取り組み方を変えていて、それが藤井王将に対して通用するかどうか。あと、藤井王将になかなか公式戦で当たらないと、豪速球というかスピードの速さを体験できませんので、たくさん対戦して、多く見ることで地力を上げていくしかないと思っています。王位戦からだと、9月から長い期間空いていますが、藤井王将は竜王戦で2日制を4局経験されています。自分が少しブランクはありますけど、ここ数年で見ますと2日制を多く指せていますので、対抗できるように頑張りたいと思っています。
――掛川での対局ということで、全国いろいろ回られていると思いますが、掛川での対局に何か期待すること、あるいは掛川の印象をお聞かせていただけますか
永瀬 静岡県ですと、やはりお茶がおいしい印象です。掛川ですとキウイとイチゴ、イチゴは紅ほっぺだったと思うんですけど、昨年はたくさんいただきました。実は本日も夜に2杯頼んであります。対局中は飲み過ぎるとお手洗いの回数が増えてしまうので、そこが少し難点です。フレッシュジュースを楽しみつつ対局に専念したいと思っています。
掛川対局ですと、デザートは抹茶を多くご用意していただいています。1月ということで、イチゴが出始めかなと思いますが、本当に品ぞろえがよく、どれを頼もうか今迷っているところです。掛川対局は王将戦の1局目が定番ですので、フレッシュジュースをたくさんいただいて、いい将棋を指せればと思っています。
――藤井王将は先日のインタビューで「正月は家族でゆっくり過ごす時間があった」と話されていました。永瀬九段は以前「正月の概念をなくした」と話されていましたけど、今回の年末年始はどのように過ごされましたか。
永瀬 年末やお正月は、普段通り過ごすことを目標にしています。ただ、普段と違う点が1個ありまして、1月1日は飲食店が閉まってしまい毎年どうしようかと。今年も困ってしまい、配送サービスを利用して過ごしました。いつもと違うリズムにしてしまうと、少し調子が狂うこともあるので毎年課題だなと。
藤井王将がご家族でゆっくりされたということで、直接は聞いてはいないですが、伊藤匠二冠もゆっくりされていた印象がありますので、皆さん人並みに静養を取られているのかなという印象はあります。
私も最近は静養を多く取っていますので、その延長というか、年末年始は体力を回復させるために横になるとか、そういう時間を多く設けて過ごしました。1月3日ぐらいで年始が終わるとすると、すぐ1月11日から王将戦第1局で藤井王将との対局です。気が休まることはないんですけど、それが棋士冥利に尽きるところもありますので、大舞台で戦えることを糧に頑張らなければいけないと思いながら年末年始を過ごしていました。
(書き起こし=銀杏)
18時30分からは前夜祭が開催されます。





























