2025年2月

2025年2月16日 (日)

184

(終局直後)

191

(大勢の報道陣が詰めかけている)

193

(勝った永瀬拓矢九段)

【永瀬拓矢九段インタビュー】

--序盤、△3一玉(44手目)は準備をしていた手でしょうか。
「先後逆の類形がある将棋で、それよりは損をしていますが、どれだけ頑張れるか。全然わからない展開になってしまって、どこを見ても特殊な箇所が多く、判断が難しい将棋と思って指していました。読み抜けがないようにしようと思っていました」

--対局中、形勢はどのように感じていましたか。
「難しいと思っていました。こちらが崩れずに指せるかがポイントと思います」

--△1八飛(88手目)のあたりはどう見ていましたか。
「▲2二成香(89手目)に△同玉の組み立てで考えていたが、思わしくないような気がしました。△5三金との分岐がわからず、難しいと思いながら指していました」

--△5二金▲3四銀(93手目)周辺はどういう印象ですか。
「▲3四銀には本譜の順で耐えているかどうかと考えていました。(△5二金に代えて)△5五歩では届かないと判断しました」

--勝ちを意識したのは。
「△6九銀(110手目)まで進めば、先手玉が受けなしになりやすいのかなと思っていました」

--本局で1勝を返しました。
「1勝を返せばもう1局指せる、そういうモチベーションで準備をしていました」

--これまで藤井王将とのタイトル戦において永瀬九段は2勝(12敗)していますが、その2勝は後手番で挙げています。
「先手は0割ですので、なんとかしないといけないです」

--次局に向けては。
「いままで以上にしっかり準備したいです」

207

(敗れた藤井聡太王将)

【藤井聡太王将インタビュー】

--1日目の△3一玉(44手目)についてどう思われましたか。
「考えたことのある手ではありましたが、そのあとの組み合わせがいろいろあって難しいと感じていました」

--1日目の手応えはいかがですか。
「全体的に分岐が多く、こちらの玉が薄い形で封じ手あたりはやりきるしかないので、成算が持ててはいませんでした」

--中盤の将棋の組み立て方、構想については。
「9二角が働く前にどれだけ戦果を挙げられるかという展開でした」

--▲3四銀(93手目)は42分考えましたが、この手に至った判断はどのようなものでしたか。
「本譜は△3三歩(94手目)を軽視してだめになりました」

--長考が多かったですが、タイムマネジメントについては。
「分岐が多い将棋で、まとまった時間(での考慮)を強いられた手が多い印象です」

--二日制のタイトル戦の先手番において、32連勝中でした。
「まったく知りませんでした。本局に関していうと、全体的に難しいと感じていたが、最後、崩れてしまったのが残念です」

--次局に向けて。
「次は後手番なので大変な戦いになると思います」

20250215124

ALSOK杯第74期王将戦七番勝負第4局▲藤井聡太王将-△永瀬拓矢九段は、124手で永瀬九段が勝ちました。これで七番勝負の成績は藤井王将3勝、永瀬九段1勝となりました。終局時刻は18時28分。消費時間は、▲藤井聡7時間58分、△永瀬7時間17分(持ち時間各8時間)。
第5局は3月8日(土)、9日(日)に埼玉県深谷市「旧渋沢邸『中の家(なかんち)』」で行われます。

20250215109

上図で△6九銀▲同玉△4八飛成と進むと詰めろ角取りになっています。先手の持ち駒に銀が増えても後手玉は詰みません。控室では、後手勝勢になったと見られています。

20250215100

図は▲4二歩成の詰めろを受けて△4一香と打った局面です。▲6二銀成と金を取ると△3四歩で後手玉の上部が開ける上に、△6九銀▲同玉△4八飛成~△3七竜が生じます。後手は攻めながら上部を開拓できるでしょうか。
山崎九段は「後手がしのいで、反撃のチャンスが来ようとしています」と話しています。

2025021592

永瀬九段は△5二金と寄って受けました。2日目の午後に入って4時間近くたつのに6手しか進んでいません。

ここで▲3八銀では△4三金と歩を払われてしまうので先手は攻め続けなければなりませんが、攻めをつなげるのは大変と言われています。▲4二銀は△3二玉のあと、△2四歩が軽い受けになっています。

藤井王将の残り時間は20分を切りました。

111

(昼食休憩明けの対局室)