2025年2月
感想戦(1)
終局直後
(終局直後)
(大勢の報道陣が詰めかけている)
(勝った永瀬拓矢九段)
【永瀬拓矢九段インタビュー】
--序盤、△3一玉(44手目)は準備をしていた手でしょうか。
「先後逆の類形がある将棋で、それよりは損をしていますが、どれだけ頑張れるか。全然わからない展開になってしまって、どこを見ても特殊な箇所が多く、判断が難しい将棋と思って指していました。読み抜けがないようにしようと思っていました」
--対局中、形勢はどのように感じていましたか。
「難しいと思っていました。こちらが崩れずに指せるかがポイントと思います」
--△1八飛(88手目)のあたりはどう見ていましたか。
「▲2二成香(89手目)に△同玉の組み立てで考えていたが、思わしくないような気がしました。△5三金との分岐がわからず、難しいと思いながら指していました」
--△5二金▲3四銀(93手目)周辺はどういう印象ですか。
「▲3四銀には本譜の順で耐えているかどうかと考えていました。(△5二金に代えて)△5五歩では届かないと判断しました」
--勝ちを意識したのは。
「△6九銀(110手目)まで進めば、先手玉が受けなしになりやすいのかなと思っていました」
--本局で1勝を返しました。
「1勝を返せばもう1局指せる、そういうモチベーションで準備をしていました」
--これまで藤井王将とのタイトル戦において永瀬九段は2勝(12敗)していますが、その2勝は後手番で挙げています。
「先手は0割ですので、なんとかしないといけないです」
--次局に向けては。
「いままで以上にしっかり準備したいです」
(敗れた藤井聡太王将)
【藤井聡太王将インタビュー】
--1日目の△3一玉(44手目)についてどう思われましたか。
「考えたことのある手ではありましたが、そのあとの組み合わせがいろいろあって難しいと感じていました」
--1日目の手応えはいかがですか。
「全体的に分岐が多く、こちらの玉が薄い形で封じ手あたりはやりきるしかないので、成算が持ててはいませんでした」
--中盤の将棋の組み立て方、構想については。
「9二角が働く前にどれだけ戦果を挙げられるかという展開でした」
--▲3四銀(93手目)は42分考えましたが、この手に至った判断はどのようなものでしたか。
「本譜は△3三歩(94手目)を軽視してだめになりました」
--長考が多かったですが、タイムマネジメントについては。
「分岐が多い将棋で、まとまった時間(での考慮)を強いられた手が多い印象です」
--二日制のタイトル戦の先手番において、32連勝中でした。
「まったく知りませんでした。本局に関していうと、全体的に難しいと感じていたが、最後、崩れてしまったのが残念です」
--次局に向けて。
「次は後手番なので大変な戦いになると思います」
永瀬九段が1勝を返す
ALSOK杯第74期王将戦七番勝負第4局▲藤井聡太王将-△永瀬拓矢九段は、124手で永瀬九段が勝ちました。これで七番勝負の成績は藤井王将3勝、永瀬九段1勝となりました。終局時刻は18時28分。消費時間は、▲藤井聡7時間58分、△永瀬7時間17分(持ち時間各8時間)。
第5局は3月8日(土)、9日(日)に埼玉県深谷市「旧渋沢邸『中の家(なかんち)』」で行われます。
終局が近づく
後手勝勢
上図で△6九銀▲同玉△4八飛成と進むと詰めろ角取りになっています。先手の持ち駒に銀が増えても後手玉は詰みません。控室では、後手勝勢になったと見られています。
後手、上部開拓へ
図は▲4二歩成の詰めろを受けて△4一香と打った局面です。▲6二銀成と金を取ると△3四歩で後手玉の上部が開ける上に、△6九銀▲同玉△4八飛成~△3七竜が生じます。後手は攻めながら上部を開拓できるでしょうか。
山崎九段は「後手がしのいで、反撃のチャンスが来ようとしています」と話しています。