2023年1月

2023年1月29日 (日)

感想戦

藤井王将

藤井王将

羽生九段

羽生九段

感想戦

以上で七番勝負第3局の中継を終了いたします。次戦、第4局は2月9、10日(木、金)に東京都立川市「SORANO HOTEL」で行われます。お楽しみに。本日はご観戦ありがとうございました。

大盤解説会場
(大盤解説会場で来場のファンにあいさつする両対局者)

藤井王将
(藤井王将は2勝目を挙げ、防衛に一歩前進)

羽生九段
(羽生九段は次の第4局でタイに戻せるか)

大盤解説会場
(あいさつを終えると、両対局者は大きな拍手で見送られた)

I終局直後
(終局直後)

藤井聡太王将

■勝った藤井聡太王将へのインタビュー

── 出だしから序盤の戦型が決まるまで、どのようなことを考えながら指していましたか?

藤井 居飛車と振り飛車の両方可能性があったので、どちらにも対応できる手を考えながら指していました。

── 後手の構えが雁木に決まりました。1日目の形勢判断は?

藤井 角と銀を交換しあったのですが、そのあと△3五銀(36手目)と打たれて飛車が押さえ込まれたので、うまく持ち駒を生かして攻めの形を作っていけるかを考えていました。

── 封じ手の△4二玉(50手目)については。

藤井 手が広い局面で、△4二玉も有力なのかなと考えていました。

── ▲6三角(51手目)の成果については。

藤井 △4二玉に対して▲6一角か本譜か迷っていたのですが、▲6三角は△3三玉から手厚い形にされてしまうので、馬を作ったのですが、成果が上がっていないのかなと思いました。▲4一馬~▲3一馬~▲2一馬のような順が間に合えばと思っていましたが、それほど速い攻めではないので、その辺りは成算がないまま指していた感じです。▲4五歩と打って少しポイントを挙げられたのかなと思います。

── その後、馬を作って相手の中段玉を上下で挟撃する形になりましたが、どのあたりで形勢の好転を感じられたでしょうか。

藤井 ▲4五歩(61手目)と打つことで上部脱出を阻む形にできたので感触は悪くないかなと。ただ、こちらは攻め駒が少ないので難しいと思っていました。

── 昼食休憩後の戦いについては。

藤井 △8六歩(64手目)▲同歩に△7五歩と打たれて、そこで▲3一馬もあるのかなと思ったのですが、△7六歩と取り込まれる手も大きいので、本譜の順は手番を渡しますが、いったん受けに回って指そうと思っていました。

── 一局の総括は。

藤井 角と銀を交換した辺りが、どういう構想で指すのか難しくて、分からないところが多い将棋だったと思います。

── 第4局に向けて。

藤井 第4局の前にいくつか対局があるので、それらの対局を含めて、いい状態を維持して第4局に臨めればと思います。

羽生善治九段

■敗れた羽生善治九段へのインタビュー

── 後手番で雁木を選択された経緯について。

羽生 ちょっとまだ未解決の部分もあるのかなと思って指してみました。

── 1日目の展開について。

羽生 よく分からなかったですが、封じ手の△4二玉はいい手ではなかったかもしれません。あの辺のまとめ方に問題があったような気がします。ただ、ほかの手だとほかの筋が生じるので、何を甘受するかという局面だとは思ったのですが、調べてみないと何が正しかったか分からないですね。

── 玉が中段に進んだのは入玉狙い?

羽生 いえいえ、入玉というよりは相手の攻めを緩和する狙いの意図で指していました。ただ、まとめきれなかったと思います。

── 2日目に入って△8六歩▲同歩△7五歩と反撃に転じられましたが成算は?

羽生 昼休憩の時点でダメだと思うので、問題はその前の局面だと思います。

── 振り飛車は選択肢としてあったのですか?

羽生 そうですね。相手の出方次第といいますか、居飛車と振り飛車の両方の可能性を見せながら指していました。

── 第4局に向けて。

羽生 気持ちを切り替えて、次に臨みたいと思います。

終局直後
(インタビュー終了後は、大盤解説会場に移動した)

Ousho20230128010195図の局面で羽生九段が投了しました。終局時刻は16時10分。消費時間は▲藤井6時間41分、△羽生6時間44分。藤井王将はシリーズ成績を2勝1敗としました。第4局は2月9・10日(木・金)に東京都立川市「SORANO HOTEL」で行われます。

▲3七桂

局面は75手目▲3七桂まで進み、控室では先手の藤井王将が優勢と言われています。△3五金には▲2七飛△同銀成▲6六角が一例で、先手の厳しい攻めが続きます。

▲3七桂の局面で残り時間は▲藤井王将1時間32分、△羽生九段1時間35分です。

藤井王将

時刻は15時を回り、両対局者に午後のおやつが用意されました。藤井王将のおやつは、はちれもソーダと加賀棒茶(アイス)、羽生九段のおやつは「五郎島のおいもプレート」とホットコーヒーです(写真はいずれも撮影用)。

藤井王将のおやつ
(藤井王将は飲み物2種。左が加賀棒茶、右がはちれもソーダ)

羽生九段のおやつ
(羽生九段のおやつ)

五郎島のおいもプレート
(3種のおいもスイーツが味わえる一皿)

石川四高記念文化交流館

金沢東急ホテルから徒歩数分の場所にある「石川四高記念文化交流館」。1893(明治26)年から約60年、旧制高等学校・中学校として使用された四高(第四高等学校)の風土と時代を知るための展示施設。館内の見学は無料です。

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(明治時代のレトロさを感じる階段)

廊下

教室
(教室は有料で多目的利用室として使える)


■石川四高記念文化交流館

〒920-0962石川県金沢市広坂2-2-5
TEL:076-262-5464/FAX:076-261-1609
http://www.pref.ishikawa.jp/shiko-kinbun/

金沢東急ホテル5階「ボールルーム」では、14時から大盤解説会が始まりました。解説は高見泰地七段。このあと島九段や森下九段もゲストで出演する予定です。

大盤解説会場

解説会

高見七段
(解説を務める高見七段)

△7五歩

再開後、羽生九段が△8六歩▲同歩△7五歩と反撃に出ました。以下▲同歩に△7六歩の桂取りを見せた実戦的な順です。

しかし、本譜の順は相手に歩を渡してしまう面があり、▲3六歩△2六銀▲3五銀と攻め合われても怖いところ。藤井王将は攻めか受けか悩ましい局面です。

羽生九段