2017年3月

2017年3月 2日 (木)

127「後手がこれほど攻める展開になるとは、先手は驚きの勝ち方だね」と佐藤八段。先手玉は怖い形にも見えますが、まだ先手が残しているようです。図から△4一歩▲7九香と進んだ18時44分、佐藤義八段は対局室に向かいました。


107郷田王将は▲6九歩(図)と自陣に手を入れました。万が一にも負けられないという思いを感じます。ただ、勝負は長くなりそうです。形勢は先手よしと見られていますが、「後手は元気が出たのでは?」という声も。


A428 (時刻は18時、加茂湖の水面に揺れる街の灯)

92郷田王将、図から▲3二竜△同金▲1二飛と進めました。後手の囲い崩しに手をつけようとしています。先手の持ち駒はかなり強力で、次は▲5四香が厳しそう。久保九段は耐える終盤戦になりそうです。「粘りのアーティスト」の本領発揮なるか。


A051(苦しい将棋になった久保九段。ここからは粘り強い指し回しが求められる)

S1佐藤義八段にここまでの流れを解説してもらいました。

「△3七歩(1図)は凝った手ですが、以下▲2六飛△3八歩成▲同金△3四歩に▲3七桂が銀取りの先手になりました。後手が少し苦しくしたと思います」


S2「▲3六同飛(2図)には△2一金のほうが先手も迷ったと思います。本譜は△3五銀と辛抱しましたが、以下▲1六飛△2一金▲3六歩に△4四銀と銀を引かされ、さらに▲2六飛△3一金に▲2四とが間に合いました」


S3「3図で△2二飛としましたが、これは後手が苦しいと認めた手です。▲2三と△5二飛▲2四と△2二飛の千日手になるならいいと」(実戦は▲2九飛△5一角▲2三歩で先手が打開)


S4「▲3四と(4図)とは、しゃれたと金寄りです。△同銀なら▲2二歩成△同金▲3四桂です」

先手は2筋で作ったと金をうまく活用しました。


68図は6二にいた角を5一に引いた局面。宮田敦六段は「先手有利」から「先手優勢」に評価を上げました。

以下▲2三歩△3二飛▲4六桂まで進んでいます。佐藤義八段も「先手の調子がよさそう」と同調しています。


A041 (郷田王将がペースを握った=2日目朝に撮影)

62_2 1図で宮田敦史六段の形勢判断は「先手有利」。現地控室も同じ判断です。実戦は以下▲2六飛△3一金▲2四と(2図)と進みました。どれも駒の働きをよくする手であり、本筋といわれています。


652図で予想されているのは△2二飛。次に△3三銀を見ています。△2二飛に(1)▲2三と△5二飛▲2四と△2二飛は千日手。この順は先手が選ばないでしょう。(2)▲2九飛は有力で△4五銀直や△3三銀が飛車取りにならないようにしています(6二角のラインを避けている)。「▲2九飛は格調高いね」と佐藤義八段。


A406 (続々・佐渡のお菓子。佐渡の「金」は歴史的に有名だ)

A416

2日目午後のおやつ、郷田王将はアイスレモンティー、佐渡のしんこ(あんこ入り)、久保九段はホットコーヒー、イチジクのコンポートでした。

A396 (郷田王将のおやつ)

A395 (久保九段は1日目と同じおやつ)

2階は「鬼太鼓」に関連する展示。鬼太鼓は佐渡の伝統芸能であり、島内125の集落に受け継がれています。面をつけた舞い手が家々を回り(これを門付けという)、その家の魔をはらいます。集落によって面や踊り方に違いがあるそうで、興味深い内容でした。

A250 (2階の展示場)

A260

A305

A302 (面の一例。ほかにもバラエティ豊かな面が展示されていた)

「あいぽーと佐渡」で現在開催されている展示を見学してきました。同施設は2015年3月1日にオープン。その十数日後に第64期王将戦第5局が開催され、大場解説会場になりました(対局場は「両津港海鮮横丁・きん亭」)。

A319 (写真左が「あいぽーと佐渡」。右奥は第64期の対局場となった「両津港」)

A249_2 (1階は、ちりめん細工教室「ままごとクラブ」のみなさんの作品展示)

A219 (こちらは「つるしびな」。ひとつに49個の人形がつるされる)

A222 (犬のつるしびなは、「お産がうまくいきますように」の願いが込められている)

A226 (レンコンは「先の見通しがよくなりますように」。将棋もそうありたい)

A216 (一般的なものに近いひな人形もある)

A231

A364 (13時28分、郷田王将が席に戻った)

A369_2 (おしぼりで首筋を冷やす)

A375 (頬をふくらませる。「うーん、いやー、あー、そうかー」と何度もうなる)

A387 (久保九段は13時37分まで戻ってこなかった)