図の局面で千日手が成立しました。終局時刻は16時50分。消費時間は、▲広瀬２時間44分、△木村２時間21分。指し直し局は30分後に先後を入れ換えて、消費時間を引き継いで行われます。

（すぐに駒が片づけられた）

（指し直し局は30分後に行われる）

（八雲）

▲佐藤康－△千田戦は先手の駒がきれいにさばけて先手好調の流れです。後手は６筋の銀がやはり出遅れているのがつらいところ。図で△５六歩は角の利きを通して飛車当たりですが、先手は角の位置が変わったので、▲７七角が王手の切り返しになります。

（文）

16時20分ごろ、控室に大内延介九段と千葉幸生六段が訪れました。人が増えて徐々に賑やかになっています。続いて田中寅彦九段も来訪。険しい表情で継ぎ盤を見つめます。

（談笑しながら継ぎ盤を囲む。左から千葉六段、野月七段、大内九段、先崎九段）

（「そういえばまだ先ちゃんにお祝いを言ってなかったな、おめでとう」と大内九段。先崎九段は今期の順位戦でＢ級１組に昇級した）

（継ぎ盤に向かう千葉六段）

（田中寅九段が検討の様子を見つめる）

（注目の的は▲広瀬－△木村戦）

（文）

先手：田村康介七段
後手：佐々木勇気五段

▲２六歩 △８四歩 ▲２五歩 △８五歩 ▲７八金 △３二金
▲２四歩 △同　歩 ▲同　飛 △２三歩 ▲２八飛 △９四歩
▲９六歩 △７二銀 ▲３八銀 △３四歩 ▲４六歩 △８六歩
▲同　歩 △同　飛 ▲４七銀 △８二飛 ▲８七歩 △８三銀
▲５六銀 △８四銀 ▲７六歩 △８五銀 ▲２二角成 △同　銀
▲８八銀 △４二玉 ▲６六歩 △７六銀 ▲４五歩 △３三銀
▲６八飛 △３一玉 ▲８六歩 △８七歩 ▲９七銀 △９三桂
▲６五歩 △２二玉 ▲６六飛 △８五桂 ▲７六飛 △９七桂成
▲同　桂 △７四歩 ▲同　飛 △８八歩成 ▲６八金 △８六飛
▲２四歩 △９九と ▲２三歩成（図）

図は16時過ぎの局面。15時過ぎに野月七段が予想した通りに進行し、途中の△８八歩成に先手は▲６八金とかわして９九の香を取らせている間に、後手の玉頭にアヤをつけています。消費時間は▲田村２時間11分、△佐々木２時間14分。
「金をかわしたんですね。なるほど、これで難しい勝負ですか」（野月七段）

（居玉のまま激しい戦いに臨む田村七段）

（八雲）

先手：山崎隆之八段
後手：阿部光瑠五段

▲２六歩 △３四歩 ▲７六歩 △８四歩 ▲２五歩 △８五歩
▲７八金 △３二金 ▲２四歩 △同　歩 ▲同　飛 △８六歩
▲同　歩 △同　飛 ▲３四飛 △３三角 ▲５八玉 △４四歩
▲３六飛 △８二飛 ▲８七歩 △５二金 ▲２六飛 △２二銀
▲３八銀 △４三金右 ▲３六歩 △２三銀 ▲４六歩 △２四歩
▲４七銀 △５四歩 ▲１六歩 △１四歩 ▲３七桂 △６二銀
▲６九玉 △５三銀 ▲５八金 △４一玉 ▲２九飛 △３一玉
▲３五歩 △５五歩 ▲同　角 △６四銀 ▲８八角 △６五銀
▲２五歩 △同　歩 ▲１五歩 △７六銀 ▲４五歩 △８七銀不成
▲８三歩 △同　飛（図）

図は16時過ぎの局面。△８七銀不成と８筋を突破する手に対して、先手は▲８三歩とひとつたたいたところ。さらに▲８四歩△同飛に▲６六角と飛車に当てながら角を脱出狙いがあります。ただ▲８四歩が入るかどうかは微妙なところ。ひとつたたいて後手の飛車の位置を悪くしておいて、別の手を指す可能性もあるのかもしれません。いずれにしろ、先手は一歩間違えれば崩壊する危険があります。山崎八段らしい、ギリギリの綱渡りが続きます。消費時間は▲山崎２時間23分、△阿部光１時間59分。

（危険な局面をかいくぐって行くのが、山崎将棋の真骨頂）

（八雲）

図は16時過ぎの局面。飛車取りの△５五角は八方にらみの好位置。次に△４五銀と桂を取った際の自陣の隙を消す効果もあります。先手はただ飛車を逃げるのではやや弱気でしょうか。▲２五飛と切るなど、ここで飛車を逃げない手を考えてみたいところのようです。消費時間は▲広瀬２時間８分、△木村１時間51分。

（木村八段は八方にらみの角に勝負の命運を託した）

（八雲）