図では▲5四飛成が予想されていました。実戦は▲4三歩成です。△同角で後手の角に逃げられますが、6二馬の利きが1筋まで利いてきます。このことから▲4三歩成は寄せを目指した先手の勝負手と推測されますが、控室の検討では後手玉が寄る順は見つかっていません。
第55期王位戦七番勝負第4局
2014年8月21日 (木)
意表をつく手順
図では△6七金が予想されていました。以下▲5八金は△7八桂成から迫ることができます。しかし実戦はじっと△5九飛成。これには現地検討陣も杉本七段も驚いていました。△6七歩の狙いはありますが、先手に上部開拓の時間を与えるおそれがあります。「19時までに終わることはないでしょう」と現地検討陣。
後手よし
盤全体を使った戦い
羽生王位は5四桂を6六に跳ねました。△6六歩では間に合わないとみて、スピードアップを図った手です。(1)▲6六同銀△同金▲4三歩成は△5六角の味がいいので、(2)▲7九金△5四角が実戦の進行です。最後の△5四角は攻防の一手。互いに盤全体を使って戦っています。
ちなみに控室では△5四角ではなく△5八歩成▲4三歩成△5七角▲6八銀打△同とが検討されていました。先手玉はその瞬間に相当詰みにくい形になりますが、後手玉も▲3三と△同金▲4一飛成が詰めろになりません。この順も難しそうでした。
(牛蒡)