2024年1月14日 (日)

形にこだわらない対応

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図は55手目▲5四香まで。福間女流四冠が9筋から攻めたのに対して、西山女流名人は駒損甘受で対応して反撃に出ました。片美濃囲いの遠さを生かした指し回しです。
▲5四香からは、△6二金打▲5二馬△同金左と進みました。最後の△5二同金左は形にこだわらない受け方。△5二同金右だと▲9二飛成△9一歩に▲7二竜と潜り込まれて後手苦戦でした。本譜の△5二同金左なら、6二に金がいるため▲7二竜とできない理屈です。読みの入った応酬です。(銀杏)

Dsc_7231 (14時35分ごろの控室。井出五段と竹部女流四段が大盤解説会の休憩時間に神谷八段と検討)

対局者のお盆

対局前日の検分時、対局者のお盆に水のほか、炭酸水、清涼飲料水、紅茶、コーラが用意されていました。西山女流名人は清涼飲料水と紅茶の代わりに緑茶、福間女流四冠はコーラと紅茶の代わりに水を頼みました。また、両対局者にはほうじ茶も用意されています。(銀杏)

Dsc_6858 (西山女流名人のお盆)

Dsc_6863 (福間女流四冠のお盆。お盆の横にあるのは、岡田美術館とピエール・エルメ・パリとのコラボレーションチョコレート)

午後のおやつ

14時30分になり、午後のおやつが出されました。西山女流名人は「小豆の生どらやき、アイスコーヒー」。福間女流四冠は「小豆の生どらやき、アイスミルクティー」。 (銀杏)

Dsc_7035 (西山女流名人のおやつ)

Dsc_7037 (福間女流四冠のおやつ)

岡田美術館での対局

岡田美術館では、第42期から五番勝負第1局で行われています。今期で9期連続となります。これまでの対局結果は以下の通り。

     先手             後手
第42期 里見香奈女流名人  ●-○  清水市代女流六段
第43期 上田初美女流三段  ○-●  里見香奈女流名人
第44期 伊藤沙恵女流二段  ●-○  里見香奈女流名人
第45期 伊藤沙恵女流二段  ●-○  里見香奈女流名人
第46期 谷口由紀女流三段  ●-○  里見香奈女流名人
第47期 加藤桃子女流三段  ●-○  里見香奈女流名人
第48期 伊藤沙恵女流三段  ○-●  里見香奈女流名人
第49期 伊藤沙恵女流名人  ●-○  西山朋佳女王・女流王将
第50期 西山朋佳女流名人  ???  福間香奈女流四冠

いきなり打ち込む

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図は36手目△6九角の局面。昼食休憩に入ってからもしばらく考えていた福間女流四冠。対局再開後に△6九角といきなり打ち込んでいきました。先手の飛車が7六にいたら▲8八金で無効ですが、図の場合は▲8八金に△8六歩▲同飛(▲同歩は△9六角成と飛車を取られてしまう)△同飛▲同歩△6八飛と隙を突くことができます。
実戦は△6九角に▲9八飛△8六歩▲同歩△同飛▲8七歩△8四飛(下図)と進行。△7八角成▲同飛△8七飛成を狙って、福間女流四冠が主導権をつかんだようです。(銀杏)



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Dsc_7194 (鋭い角打ちで攻める福間女流四冠)

8棋戦目のタイトル戦

西山女流名人と福間女流四冠は、今回の女流名人戦五番勝負で8棋戦すべてのタイトル戦で顔を合わせました。将棋界で初めてのことです。2019年の第12期マイナビ女子オープンで初めてタイトルを争ってから5年弱での達成は、二人の棋力や勢力図を示すものといえるでしょう。
なお、7棋戦での対戦は、谷川浩司十七世名人-羽生善治九段戦と福間女流四冠-加藤桃子女流四段の2組があります。(銀杏)

Dsc_6924 (西山女流名人と福間女流四冠は、女流タイトル戦すべてで顔を合わせる)

対局再開

Dsc_7182 (西山女流名人は12時53分ごろ対局室に戻った)

Dsc_7190 (福間女流四冠は12時55分ごろに戻った)

Dsc_7210001 (13時の対局再開から数十秒後、福間女流四冠は△6九角と打ち込んだ)

(銀杏)

昼食休憩時の対局室

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Dsc_7142 (昼食休憩時の盤面。35手目▲9六飛の局面で昼食休憩に入った)

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Dsc_7124 (使用されている駒は、大竹竹風師作の菱湖書)

(銀杏)

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