第63期王将戦七番勝負第7局 Feed

2014年3月29日 (土)
2014年3月28日 (金)
2014年3月27日 (木)

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―― 本局についてうかがいます。ゴキゲン中飛車は予定通りの投入でしょうか。
渡辺 そうですね。後手番なら。
―― 封じ手のあたりではどのように思われていましたか。
渡辺 ちょっと苦しいんじゃないかと思っていました。
―― うまく仕掛けられたと?
渡辺 4一の金が残ってしまったので。指し掛けのところは自信がないですね。
―― その後玉頭に殺到できる態勢になりましたけれども、そのあたりはうまくいったという感じでしょうか。
渡辺 そうですね。攻め合いになったので、大変にはなったかなと思っていましたね。形勢はわからなかったですけども。
―― どのあたりでよくなったと?
渡辺 飛車を取ったあたりで。△8五金(100手目)ですね。よくはなったかなと思いましたけど、はっきりはしないなと。
―― 終盤勝ちを意識されたのは?
渡辺 最後、銀を取って△5六銀(110手目)と縛る手が見えたので。それまでは自玉が詰む筋があったりして、確信はしていなかったです。
―― 一局を振り返ると、どのような印象の将棋ですか。
渡辺 2日目はまずまず指せたかなと思ったので、よかったかと思います。

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―― 1日目が終わったあたりではどのように思われていましたか。
羽生 手が広いのでどう指すか迷うところではあったんですが、左側で攻められる展開になってしまったので、つまらない中盤かなと思って指していました。
―― その原因について、ご自身で今のところは?
羽生 そうですね……。具体的に何が悪かったのか、すぐにはわからないですね。
―― その後は受ける展開になりましたけれども、難しい終盤戦だったと思うのですが、いかがでしょうか。
羽生 ちょっとやっぱり足りない感じですね。こちらのほうが先に玉が露出してしまったので。ちょっと悪いと思っていました。
―― 最後は逆転は難しいでしょうか。
羽生 そうですね、はい。
―― そうすると中盤で何か問題があったのでは?
羽生 調べてみないとわからないですけど、もしかすると結構さかのぼらないといけないかもしれないです。

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―― 七番勝負についてうかがいます。初防衛となったわけですけれども、このシリーズは連勝から始まりました。
渡辺 長かったのでいろいろありましたね。
―― 先行しながら2度タイに持ち込まれるという展開でしたが、そのあたりいかがでしたか。
渡辺 負けた将棋の負け方があまりよくなかったので、ちょっとまずいかなとは思っていました。
―― 最終局に臨むにあたってはどんな心境で?
渡辺 負けた将棋の内容が悪かったので、負けるにしても内容のある将棋を指したいなと思っていました。
―― ダブルタイトルマッチということもありましたが、その点は。
渡辺 去年もやっているので。体調も問題なかったです。
―― 王将初防衛となったわけですが、それについてはいかがですか。
渡辺 フルセットだったので……。そうですね、うれしいですね。
―― この七番勝負で得たものや、改めて感じたことはありますか。
渡辺 大変なシリーズだったので、そういう経験が今後に生きればいいかなと思います。
―― これはうまく指せたという将棋はありますか。
渡辺 そういう会心の将棋はなかったんですけど、粘り強く指せたのがよかったと思いますね。
―― ゴキゲン中飛車を初めてタイトル戦で指されるなど、意欲的な、新しいことをという意識はあったのでしょうか。
渡辺 そうですね、新しいことをやってみたいなということがあったので。それで今日も一回やってみようと思いました。

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―― このシリーズは最終局まで来ましたが、どのように感じておられますか。
羽生 結構ミスもあったし、いろいろあったシリーズではありました。
―― 内容的にはいかがでしょうか。
羽生 いいのと悪いのとあったというところですね。二日制なのでもうちょっと安定した将棋を指さないといけないかなと思いました。
―― これからの課題については。課題というと変ですが。
羽生 やっぱり、きめ細かいところで掘り下げるということが大事なのかなと思いました。
―― 久々の第7局でしたね。
羽生 あ、はい、ええ。連敗スタートだったので、そこまで来れたのはよかったです。

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渡辺明王将に羽生善治三冠が挑戦する第63期王将戦第7局は、110手まで渡辺王将の勝ちとなりました。終局は18時36分、消費時間は▲羽生7時間55分、△渡辺7時間56分。
これで七番勝負は渡辺王将の4勝3敗。フルセットにもつれこんだ激戦を制し、初防衛を果たしました。

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渡辺王将は△8五金(図)と打ち、攻め駒を狙いつつ先手玉に圧力をかけた。後手玉は詰めろのかからない穴熊、対する先手玉は露出して後手の攻めにさらされている。上下挟撃ですぐにでも寄せられてしまいそうだ。うまいしのぎはあるだろうか。

さまざまな変化を検討すると、次第に先手の手段が次々とつぶされていく。外は日が落ちて暗くなり、小雨がぱらついている。大盤解説会では飯島七段、勝又六段が解説中。飯島七段は「差が開いたでしょうか」と話し、勝又六段は「先手がどう粘るかですね」と答える。形勢は渡辺王将よしのようだ。勝又六段は先手の立場になってあれこれ手を探しながら、「別に羽生さんをひいきしているわけではなく、悪い側になって手を探すのが棋士の習性なんです。やっぱりいい将棋を見たいですから」と話していた。

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16時50分、△8八歩(図)の局面で羽生三冠が時間を使っている。ここから後手玉に迫るには▲7二歩が最速の手段だが、△7七金▲同金(▲同桂は△8九金で詰み)△同歩成▲7一歩成△同銀(参考図)と進んだ局面で後手玉に詰めろが続かない。

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すぐ目に映るのは▲8三金の詰めろ(▲9二金~▲8三金)だが、△8二金と受けられて後続が難しい。以下▲9二金△同金▲8三金とかぶせてどうかが調べられたが、これは△同金(参考2図)で先手玉に詰めろがかかる。

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先手玉は△8九歩成▲同玉△7九金以下の詰めろ。ここで▲9二香の王手が際どい筋で、△同玉▲8三銀成△同玉▲8四歩と王手で追いかける順がある。以下△同玉なら▲6五歩!が先手角のラインを開けての王手だ。しかし参考2図から△7四玉で後手玉は逃れているようだ。この▲8三金からの順で詰めろがかけられないとなると、後手玉が遠い。